本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
まずはナマケモノの生態と特徴からご紹介します。
ナマケモノの名前は、ゆったりとした動作から「怠け者」という意味で付けられています。
別に怠けている訳ではないのに、ナマケモノと言うのもなんだか可哀想な気もしますね。
体長は約41~74cmで、体重は4~9kgほど。
丸く短い頭が特徴です。
歯は生涯伸び続け、首は270℃も回すことができます。
また、1日に15~20時間も眠ると言われています。
四肢は長く、前脚の方が後脚より長く発達しており、長い鉤爪を持っています。
この鉤爪を木の枝に引っ掛けて、木にぶら下がります。
なお、体臭はあまりありません。
野生での寿命は10~15年ですが、動物園では30年以上生きたという例もあります。
南アメリカ、中央アメリカの湿度の高い熱帯雨林に生息しています。
生涯のほとんどを樹にぶら下がって過ごしています。
食事や睡眠から交尾、出産までも樹にぶら下がったままです。
ちなみに、地上に降りるのは週に1回程度で、排便や排尿を行うときです。
日中は頭を前脚の間に入れ、枝に張り付くようにして丸くなって眠るので、遠目には樹の一部の様に見えます。
これが野生ではジャガー、ピューマなどの捕食者から身を守る擬態となっているのです。
また、年齢を重ねた個体の被毛には藻類が生えることもあり、これも樹皮への擬態の一部ともなります。
移動はとてつもなく遅く、1時間に16mほどしか移動することができません。
あまりにも移動速度が遅すぎて天敵に見つかりにくいという利点もあります。
主食は葉や新芽などの植物。
また、自毛に生えた苔も食用としています。
16世紀にヨーロッパに初めて紹介された当初は、餌を全く摂らず、風から栄養を摂取する動物だと考えられていました。
実際には1日に8gほどの植物を摂取していることが明らかにされています。
ちなみに、生態が近いとされているコアラですら、1日に500gほどユーカリの葉を食べるそうです。
1日に8gで生きていけるのは、代謝の低さが影響しています。
外気に合わせて体温を変化させることにより代謝を抑えているという、現生哺乳類では珍しい変温動物です。
これに加えて、ゆったりとした行動から基礎代謝量が非常に低くなっているため、ごく少量の食物摂取でも生きていくことができるとされています。
また、ナマケモノは排泄によってエサを確保しているという不思議な動物です。
ナマケモノは7~10日に1回、木を降りて排泄をするのですが、この排泄物に蛾が卵を産みます。
孵化して成長し、成虫になった蛾が樹上のナマケモノに寄生すると、蛾から発生する窒素や排泄物によってナマケモノの体表に苔が生え、ナマケモノの餌となります。
そして、また排泄をすることで循環するというナマケモノと蛾は共生関係にあるのです。
ナマケモノはどういったときに死ぬのでしょうか。
そこにはナマケモノならではの命の落とし方があります。
これはエサを手に入れられなくてではありません。
エサを食べたのに餓死するのです。
ナマケモノは消化に関しても、ものすごく時間がかかります。
胃の中にいる微生物の働きによって、1ヵ月ほどかけて食べた物を消化しています。
しかし、場合によってはなかなか消化されず、胃の中に食べ物が残ったままになり、新しい餌を食べることなく栄養が足りなくなって餓死することがあるのです。
ナマケモノは樹上で生活しているため、地上の動物に捕まることはあまりありません。
木に登ることができるジャガーなど、例外はいますが、基本的にはワシやハゲタカに捕まります。
ナマケモノが天敵に捕まらない方法は1つしかありません。
それは 「見つからないこと」 です。
動物界は基本的に「かくれおに」と一緒で、見つかっても逃げきれたら大丈夫です。
しかし、ナマケモノは「かくれんぼ」と同じです。
ナマケモノが天敵より速く動くことは当然不可能ですから、見つかったら最後です。
ナマケモノの体色は擬態に効果的であるため、じっとしていれば意外と生き残ることができます。
代謝が低すぎるナマケモノは、運動しすぎると体のエネルギー量が足りず、命を落とします。
仮に速く動いて天敵から逃げることができても、自分の体が対応できずに死んでしまいます。
ゆったりとした行動は、生きるために必要なのです。
1万1000年前から、南アメリカ大陸に生息していたとされているのが「メガテリウム」です。
メガテリウムはナマケモノの祖先と考えられています。
クマのような外見の巨大生物で、史上最大のナマケモノとされています。
成長すると全長7~8m、体重3tにもなったとされているので、その姿を想像してみると驚きますよね。
過大な体重のため木に登ることはせず、現生するナマケモノとは異なり地上性でした。
巨大な爪、立派な骨格、太くて長い尾を持っており、動きは緩慢で草食性であったと考えられています。
一方で、肉食だったという説もあります。
フタユビナマケモノは、コロンビアとベネズエラの北部のほか、スリナムやブラジル北部、ペルーの北部などの密林地帯に生息しています。
名前の通り、前足は指が2本という特徴があります。
後足の指は3本です。
体長は50~60cmで、尾長は7cmです。
フタユビナマケモノに似ていますが、指が前後足とも3本あるところがフタユビナマケモノとの違いです。
また、頸椎が8~10個ある(フタユビナマケモノでは6~7個)こと、尾があることなどで区別されています。
ここでは、ナマケモノをペットとして飼うために知っておきたいことや基本的な飼育方法に関してまとめていきます。
ナマケモノの値段は購入場所によって差があります。
70万円弱で購入できるところもありますが、100万円近くする場合もあります。
購入金額に30万円も幅があることには驚きですが、希少動物ですので、総じて値段は高めです。
値段が高いことが、ナマケモノを飼っている人が少ない要因の1つであることは間違いありませんね。
ナマケモノの飼育環境で気をつけるべきことは温度と湿度です。
熱帯雨林に生息している動物なので、 温度は30℃前後、湿度は70% ほどが理想です。
人間にとっては暮らしづらい環境ではありますが、これを保たないとナマケモノにとってストレスになります。
エアコンと加湿器で温度と湿度をしっかり保ちましょう。
電気代はかかりますが、餌代など他でコストは抑えられます。
あとは、ぶら下がったりできるほどの大きめの木を用意してあげましょう。
排泄のときには木を降りるため、登り降りができるように木を設置します。
木を設置するのも大掛かりな作業ではありますが、飼育する上で欠かせません。
トイレは7~10日に1回程度しかしません。
また、決まったところにするので対応はしやすいです。
元々、排泄したら地面に埋めるという性質があるので、しつけは必要なく、砂場をつくってあげる程度で良いでしょう。
用意するものは少ないので、実はナマケモノはしっかり環境を整えてあげれば飼いやすい動物です。
先述した通り、ナマケモノは 1日に8g しかエサを食べません。
エサの量は非常に少ないので、食費の負担は大きく抑えることができます。
与えるものはほうれん草、小松菜、キャベツ、ニンジン、バナナ、リンゴなどの野菜や果物で大丈夫です。
最初は食べなくても、口へ入れてあげると食べます。
食べられるものだと分かれば自分で食べるようになります。
少量ですが、毎日エサはあげてください。
今回はナマケモノの生態や特徴、飼い方についてご紹介しました。
ナマケモノの魅力が少しでも伝わったら幸いです。
ペットとして飼いたい方はもちろん、飼われないという方も、ぜひ動物園に行った際にはナマケモノを観察してみてくださいね。
公開日 : 2016/11/04