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一般的にはアメリカザリガニを見かけることが多いと思います。
しかしながら、当然アメリカザリガニ以外にもザリガニはいます。
種類によって特徴が異なるので、それぞれの種類と一緒に特徴を紹介していきます。
外来種ではありますが、今、 日本で1番よく見られるザリガニ です。
体長は8cm~12cmほどが多く、稀に20cm近い大きさの個体もいます。
体色は基本的に赤色か褐色の2色です。
稀に色素変異などが原因により青色や白色をしている個体もいます。
元々はアメリカのミシシッピ川流域が原産地です。
1927年にウシガエルのエサとして日本に持ち込まれました。
平野部の水田、用水路、池などに生息しています。
水深が浅くて流れの穏やかな泥底の環境に多く生息し、流れの速い川には生息していません。
環境適応能力が高いため、生活排水の流れ込むような劣悪な水質でも生息できます。
湿地に穴を掘って生息し、夜になると出歩いてエサを探します。
雨天では日中もしばしば活動し、岸辺に上陸して動き回る姿も見られています。
冬は穴にひそんで冬眠します。
雑食で水草などの植物から水生昆虫や小魚まで幅広く食べます。
エサが少ない場合などには共食いもします。
水草を切断したり、水生昆虫を捕食するなど、日本古来の環境や生態系に影響を与える事や、在来種のニホンザリガニの生態を脅かす存在になっていることから、 日本の侵略的外来種100選 にも選ばれています。
繁殖期は春~秋で、交尾を終えたメスは直径2mmほどの大粒の卵を数百個産卵します。
寿命は5年程度です。
※アメリカザリガニの関連記事: アメリカザリガニの特徴・生態・飼い方
日本に住む3種のザリガニのうち唯一の 在来種 です。
かつては北日本の山地の川に多く分布していましたが、現在は北海道、青森県、岩手県及び秋田県の1道3県に少数が分布するのみになっています。
そのうち、秋田県・大館市にある生息地が国の天然記念物に指定されています。
川の上流域や山間の湖沼の、水温20℃以下の冷たくきれいな水に生息し、巣穴の中に潜んでいます。
湧き水などがある綺麗な淡水を好み、環境が損なわれるとすぐに姿を消してしまうために生息地がどんどん減少しています。
外来種のザリガニと比べて成長が遅く、個体の成熟までに5年ほど必要とします。
さらに繁殖活動は年1回、産卵数が50個程度と、外来種のザリガニに比べて繁殖力が極めて低く、これも減少の原因と考えられています。
成体の体長は5cm~6cm程度が多く、稀に7cmに達する個体もいますが、アメリカザリガニよりは小さいです。
体色は茶褐色です。
アメリカザリガニに比べて体や脚が太く、ずんぐりしているのが特徴です。
おもに広葉樹の落葉を食べます。
寿命は5年~10年です。
体長は15cmほどになり、 日本に住むザリガニの中では1番大型 です。
タンカイザリガニとも呼ばれています。
アメリカのコロンビア川水域とミズーリ川源流部が原産地です。
1930年にアメリカから食用として摩周湖に持ち込まれ、その後各地に広がりました。
近年では在来種であるニホンザリガニを捕食してしまうことや、ザリガニペストという病気による被害の危険性が高いことから、2006年からは新たな放流や、個体の移動などが規制されています。
アメリカザリガニと同様に、 日本の侵略的外来種100選 にも選ばれています。
単に駆除するだけにとどまらず、本種を料理にして観光資源として活用する動きも各地で行われています。
冷水性の湖畔や河川に生息しています。
低水温についてはマイナス33℃まで、また高水温も30℃で1週間耐えることができるとされています。
さらに本種は耐塩性も備えており、原産地の一つコロンビア川では汽水域での生息が確認されています。
このためウチダザリガニは、繋がっている水域を伝って自力で分布拡大する能力が高いとみられています。
繁殖期は10月で、メスは100~500個程度を産卵し、翌年の春から初夏に幼体を放ちます。
寿命は6年程度です。
次に日本では野生化していませんが、ペットとして主に流通している種を紹介していきます!
元々はドイツの愛好家たちの間で流通していました。
大理石のような美しい体色が魅力の1つです。
世界では一般的にマーブルクレイフィッシュと呼ばれていています。
ミステリークレイフィッシュは日本だけで用いられている名前です。
ミステリーは不思議、クレイフィッシュはザリガニという意味なので不思議なザリガニという名前です。
では何が不思議なのか…
ミステリークレイフィッシュの最大の特徴は、 単為生殖 をするということです。
つまり、オスがいなくてもメスが単体で子どもをつくることができます。
というより、ミステリークレイフィッシュは メスしか確認されておらず、オスは未だに見つかっていません。
単為生殖なので、100%メス親の影響を受けるため、生まれてくる子どもはクローンと言えます。
十脚類で単為生殖が発見されたのは世界で始めてのことなので、発見当時は大ニュースになりました。
ただし、クローンとはいえミステリークレイフィッシュには様々な模様やカラーバリエーションの個体が存在します。
本記事の執筆次点では、赤や青、白、茶色の体色をした個体が確認されています。
ミステリークレイフィッシュはアメリカザリガニやその他のザリガニに比べ、与えるエサや環境の影響を受けやすく、体色が変化しやすいです。
繁殖力が旺盛で爆発的に増えていきます。
性格は温和で充分にエサを与えていれば共食いをすることはありません。
しかし、仮に共食いをしても、1匹でもいれば容易に増えていきます。
ですので、 絶対に自然界に放流してはいけません。
特定外来生物に指定されるのも時間の問題とされています。
(2019年2月28日に環境省から特定外来生物に指定する方針が専門家に示され、夏頃には指定される見込み。)
最大体長は9cm程度です。
寿命は飼育下で2~3年程度です。
「メキシカンドワーフザリガニ」
「メキシカンドワーフクレイフィッシュ」
「テキサスドワーフザリガニ」
「テキサスドワーフクレイフィッシュ」
「オレンジドワーフザリガニ」
「オレンジドワーフクレイフィッシュ」
など、流通名はたくさんあります。
体長が最大でも4cm程度までにしかならず、その小さくてかわいらしい姿がペットとして人気を呼んでいます。
「フロリダブルー」や「エレクトリックブルー」とも呼ばれています。
フロリダハマーの名前の由来はフロリダ在住のハマー氏が、作出した品種改良の青いザリガニより来ています。
2002年に大ブレイクし、メスは1匹で何万円もしていましたが今では個体数も増え1匹1500円前後で購入できるようになりました。
品種改良なので成長しても色があせることがありません。
非常に美しい青色をキープできることがフロリダハマーの最大の魅力です。
ザリガニはそれぞれ生息環境に多少差はあるものの、ペットとしての飼育方法は大まかには同じです。
一般的なアメリカザリガニの飼育方法を紹介します。
用意するものを紹介しながら説明を加えていきます。
容器に関しては、プラスチックの昆虫用の飼育ケースでも飼育は可能ですが、魚用の水槽をおすすめします。
プラスチックの飼育ケースで飼育しているとだんだんケースが白くなってきて鑑賞しづらくなります。
ガラスの魚用の水槽ならそうなる心配がありません。
水槽の大きさは飼育するザリガニの数に応じて決める必要があります。
共食いの危険性があるので単独飼いが理想です。
水槽の大きさと飼育数のバランス次第では複数飼いも可能です。
目安として、30cm水槽ならオスメスのペア1組、60cm水槽なら2組です。
60cm水槽であれば3組も可能ですがギリギリなのでおすすめしません。
これ以上増やすと共食いのリスクは格段に上がります。
もちろんエサを充分に与えていればリスクは下がります。
水温は急激な変化を与えなければ特に気にする必要はありません。
温かいと活動しますし、冷たいと冬眠します。
フロリダハマーだけは例外で寒さに弱いため、冬でもヒーターを使って24℃程に保ってあげる必要があります。
水換えはろ過装置があれば週1回、なければ週2回~3回が目安です。
水はカルキ抜きをして与えますが、実際カルキを抜かなくても全く問題はありません。
アメリカザリガニなどは適応能力が高いので平気で暮らします。
不安であればカルキ抜きをしてあげてください。
水槽の底に敷くために用意しておくことをおすすめします。
ただし、 後述の理由で砂はあると無難なものではありますが、なくてもザリガニ自身が代用品を体内で生成できるため必ずしも砂が必要というわけではありません。
ちなみに選ぶ砂はザリガニ専用でなく、金魚やメダカ用のもので構いません。
選ぶポイントはできるだけ小粒な砂を選ぶことです。
ザリガニは前述した通り、泥底の環境に生息しています。
そのため、出来る限り野生の生息環境に近づけてあげる=小粒な砂を選ぶのが無難と言えるでしょう。
また、ザリガニ飼育に砂があると無難な理由ですが、 ザリガニは砂を短い触角の根元に入れて体のバランス感覚を調節しています。
脱皮をすると砂がこぼれるので、ハサミで頭に砂をかけて自分で補充します。
これは前述の通り、体内で代用品を生成することが出来るので必ずないと困るというものではありません。
野生のザリガニは、休むとき穴を掘って隠れ家をつくります。
飼育する上でも寝床が必要となる訳です。
複数飼いするときは1匹1匹が隠れられるだけの隠れ家をつくりましょう。
ペット用品で売られている物でなくても、隙間をつくることができる物であれば大丈夫です。
流木と組み合わせると隠れられるスペースは一気に増えます。
隠れ家がここまで増えると共食いのリスクも大きく減ります。
隠れ家は多い分には全く問題ないので工夫してみてください。
水草や流木を入れるメリットは主に2つあります。
1つ目は 隠れ家になる ということです。
共食いのリスクを減らせます。
また、流木は足場にもなります。
2つ目は 非常食になる ということです。
雑食のザリガニは動物も植物も食べます。
水草や流木も好んで食べます。
エサをが少ないと共食いするし、多かったら食べ残しが出て水が汚れるし、といった悩みを解決してくれます。
また、水草は水質を保ってくれる効果もあるのでおすすめです。
エアーポンプは水中の酸素を保つためのものです。
ザリガニを飼育する場合、エアーポンプが必要なときと不要な場合があります。
それは 水槽の水量で決まります。
ザリガニを飼育するときの水量は一般的に2パターンあります。
水槽いっぱい水を入れる場合と、ザリガニが自力で水面に届くぐらい(5cm程度)の水量で飼う場合です。
水量が多い場合はエアーポンプが必要となります。
それは、なぜかと言うとザリガニの呼吸方法に理由があります。
ザリガニは魚と同じエラ呼吸です。
でも特殊なエラをしていて水に濡れていれば陸でも呼吸ができるようになっています。
水中に酸素が不足すると、片側の足を下にして横向きになり、水面からエラに空気を取り入れて呼吸します。
横向きになるので、死にかけなのでは?と心配になってしまいますが安心してください。
つまり、 自力で水面から呼吸できそうならエアーポンプ不要、水面に届かない程の深さであればエアーポンプが必要という訳です。
水量が多い場合にはザリガニが脱走しないように蓋をしてください。
ザリガニは脱走が上手で、流木やエアーポンプのホースをつたって外へ出てしまいます。
1日1回~2回、食べ残さないように与えましょう。
食べ残したエサは水を汚すので必ず取り除きましょう。
ザリガニはエサを丸飲みにするのではなく、少しずつかじりながら食べるので、食べカスが出て水を汚しやすいです。
だからと言ってエサが少なすぎると共食いの原因になります。
見極めが難しいので前述の通り、水草や流木を入れましょう。
にぼしなども食べると聞いたことがあると思いますが、おすすめはできません。
水を汚しやすくてニオイも出やすいからです。
また、雑食で動物と植物を共に摂取するので、栄養が偏り、ザリガニが弱る可能性があります。
市販のザリガニのエサを与えましょう。
これでザリガニの成体の飼育は大丈夫です。
ここからは繁殖のさせ方を紹介します。
繁殖させるためにはミステリークレイフィッシュでない限り、オスとメスを一緒にしてあげなければなりません。
では、そのオスとメスはどのように見分ければ良いのでしょうか。
見分けるポイントは3つです。
生殖器
ハサミの大きさ
足の長さ
この3点を見比べてみましょう。
オスは胸の足の付け根のところに白い生殖器があります。
そしてオスはメスに比べてハサミが大きいです。
メスは抱卵するため、お腹の足がオスに比べて長くなっています。
これらのポイントを押さえれば簡単に見分けられます。
見分けることができるようになったところで、繁殖のさせ方を説明していきます。
ザリガニは、自然では春と秋の2回が繁殖シーズンです。
しかし、飼育の場合は、水温が20℃前後であれば、年間を通じて繁殖をさせることができます。
春先から雄と雌を一緒の水槽に入れ飼育していると、交尾します。
頭から尾までの長さが6㎝ぐらいに成長したら繁殖できます。
オス1匹に対し、メス1~2匹で飼いましょう。
ザリガニ同士にも相性があるからです。
共食いしないようにエサは充分に与えておきましょう。
オスとメスのサイズが違ったり、ハサミが両方とも無い場合は交尾しません。
交尾するとき、雄は雌を仰向けにし、ハサミを押さえ込んで交尾するため、ハサミがないと交尾できないからです。
交尾をすると夜中から早朝に、メスは身体を折り曲げて水底に横たわり、数百粒を産卵します。
メスの産卵を確認したらオスを取り出してメスだけで単独飼育してください。
メスは卵の付いたお腹をゆすり、卵に新しい水を送ったり、 脚で卵の掃除をして、大切に卵を守ります。
卵は酸欠に弱いので、エアーポンプで充分に酸素を送ることが大切です。
また、卵を抱いている期間、メスはあまりエサを食べないので、エサの量もぐっと減らします。
メスを驚かせないように静かな環境をつくりましょう。
水温は、20~25℃が適温で、30℃を上回らないように注意してください。
また、急激な水質の変化も危険ですから、孵化するまでは、なるべく水換えも控えた方が良いでしょう。
孵化するまでの間に死んでしまった卵は、明るいオレンジ色に変化します。
見つけたらピンセットなどで静かに取り除きましょう。
死んだ卵は自然に落下する場合がほとんどですが、中には水カビまみれになる場合もあり、そうなると他の卵にも影響を与えます。
卵の色は紫色から徐々に黒っぽくなって、孵化間近には透けて中の赤ちゃんザリガニが見えるようになります。
水温にもよりますが、2週間~3ヶ月で卵が孵化します。
孵化したばかりの赤ちゃんザリガニは約2週間ほど母親のお腹とくっついています。
母親からから離れるまで赤ちゃんザリガニにエサはあげなくて大丈夫です。
赤ちゃんザリガニ母親のお腹から離れて動き回りだしたら、母親を別の水槽に移してください。
母親が子ザリガニを食べてしまいます。
ひとり歩きが始まればもう成体と飼育方法は同じです。
赤ちゃんザリガニのエサは、普通のザリガニのエサで大丈夫です。
そして、体長2cm位になったら共食いしない程度の広さのある水槽に分けます。
このときにどれだけ余裕のある水槽にするかでザリガニたちの生存個体数が変わります。
隠れ家を多く与えることで生存個体数は上がります。
共食いしないようにエサはたくさんあげましょう。
そうすると、水は汚れやすくなりますが、ひとり歩きが始まれば水換えをしても問題はありません。
水質が急激に変わらないようにだけ注意してください。
体長5cm~6cmまで成長する約半年の間は、子ザリガニ同士の共食いが最も多く発生する時期でもあります。
余裕があれば大きくなるにつれて小分けにしていきましょう。
同じ時期に生まれたザリガニでも、エサの食べ方などですぐに大きさが違ってきます。
また、メスよりもオスの方が最初の成長スピードは早く、単独で飼育すれば脱皮の回数も多くなり、さらに早く成長します。
ザリガニの数が多いので、ある程度育ったら飼育するザリガニ以外は誰かにあげるか親ザリガニがいたところに放流してあげましょう。
しかし、アメリカザリガニは外来種で自然界への影響力も大きいです。
むやみな放流は、生態系を破壊する恐れがあります。
しっかり考えて無責任な放流は絶対にやめましょう。
放流しないことが理想なので、飼うことができないと思うなら繁殖は控えましょう。
捨てることのないよう、最後までかわいがってあげてください。
凶暴な反面、癒しもたくさん与えてくれるはずです!
意外と知っているようで知らなかったこともあるのではないかと思います。
今まで以上にザリガニに親しみを持ってもらえたなら幸いです。
ぜひザリガニを探しに出かけてみてください!
最終更新日 : 2022/05/16
公開日 : 2016/09/07