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【獣医師が解説】猫にコーヒーは危険!その理由や飲んでしまった時の対処法について






猫にコーヒーを与えてはいけません。
コーヒーに含まれるカフェインは猫にとって有毒なので、体内に入ると中毒症状が出ることもあります。

本記事では、猫がどのくらいの量のコーヒーを飲んでしまったら危険なのかをはじめ、もし猫がコーヒーを飲んでしまった場合はどのように対処すれば良いのかを現役の獣医師である筆者が解説します。

くれぐれも猫にコーヒーを飲ませないよう、飼い主様は十分に注意してくださいね。

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【目次】【獣医師が解説】猫にコーヒーは危険!その理由や飲んでしまった時の対処法について

 

猫にコーヒーが危険な理由

1. コーヒーの中毒成分

2. 猫のコーヒー中毒の症状

コーヒーの中毒量

猫がコーヒーを飲んでしまったら動物病院へ

1. 動物病院での流れ

2. 動物病院でかかる費用の目安

猫に危険なのは液体のコーヒーだけではない

猫をコーヒー中毒にしないための対策

 

 

猫にコーヒーが危険な理由

 

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人はコーヒーによって眠気が抑えられ、気分が高揚して心拍数が増える、代謝が向上する、あるいは記憶力が向上するなどの効果が期待できるため、1日に2〜3杯のコーヒーを飲むことが推奨されています。

 

しかし、身体の小さな猫にとってはそれらの作用が強く出てしまうことがあります。

猫がコーヒーを飲みすぎると異常な興奮や吐き気、下痢を引き起こしてしまう可能性があるので、猫にコーヒーを与えてはいけません。

 

それでは、コーヒーの中のどのような成分が猫にとって中毒症状を起こさせるのでしょうか。

 

1. コーヒーの中毒成分

 

猫にとって中毒症状を起こすコーヒーの成分はカフェインです。

カフェインとは、コーヒー豆に含まれるアルカロイドの一種で、動物の神経に作用する物質の1つです。

 

カフェインは中枢神経の中でアデノシン受容体に拮抗することで、神経の興奮や心拍数の上昇を引き起こします。

カフェインは神経に作用する物質であることから、効果が出すぎると危険なのです。

 

2. 猫のコーヒー中毒の症状

 

猫にカフェインの作用が強く出すぎてしまうと、以下のような中毒症状が現れます。

 

  • 眠れない
  • 下痢になる
  • 吐き気を催す
  • ブルブルと震える
  • 肝臓の値が上がる
  • 腎臓の値が上がる
  • ショック状態になる
  • ヨダレがダラダラでる
  • 心拍数が異常に上昇する
  • いつもより活発に動いてソワソワしている

 

実際のところ、コーヒーを飲んだ猫で、ここまでの症状になることはほとんどありません。

 

しかし、カフェインを増強してあるコーヒーを大量に飲めば、こういった中毒症状が出る可能性があります。

カフェイン中毒はコーヒーを摂取してから1〜2時間で症状が出ることが多いので、もし誤飲してしまった時は目を放さないようにしてください。

 

 

コーヒーの中毒量

 

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コーヒーに含まれるカフェインの量で中毒量が決定します。

 

体重1kgあたりカフェインを15〜20mg摂取すると中毒症状が出る可能性があり、致死量は100〜200mgと言われています。

体重が4㎏の猫では、カフェイン中毒量は80mg、致死量は800mgとなるので、コーヒーに換算すると以下が目安となります。

 

<体重4kgの猫のコーヒー中毒量>

  • インスタントコーヒー:カップ一杯(150ml)
  • 缶コーヒー:一缶(180ml)
  • ドリップコーヒー:カップ一杯弱(120ml)

 

ただ、コーヒー豆によってもカフェインの含有量が大きく異なるので、あくまでこれは目安だと考えてください。

致死量になるにはコーヒーを1Lほど飲むことになるので、猫がコーヒーで死んでしまうという可能性は低いと言えるでしょう。

 

つまり、カップにあるコーヒーをひとなめしたくらいであれば、大きな問題にはならないことがほとんどです。

ただし、放置していた飲みかけのコーヒーカップのコーヒーを猫が飲んでしまって、空になっていたという場合は早急の対処が必要になります。

 

もし重度の中毒症状が出てしまった時は、後遺症が出ないかどうかが心配です。

カフェインをどの程度摂取すると肝不全や腎不全が慢性化するのか、不可逆なものになってしまうのかというデータは無いのですが、ショック状態になってしまった猫は、少なからず肝臓や腎臓に影響は残るでしょう。

 

肝臓は再生能力が高いので正常に戻る可能性が高いものの、腎臓の障害は元通りに戻らないケースが多いため、猫の症状が良化した後も、経過観察として定期的に血液検査などを行うことが推奨されます。

 

 

猫がコーヒーを飲んでしまったら動物病院へ

 

cat_coffee3

 

ひとなめ程度ではなく、コップ一杯ほどのコーヒーを飲んでしまった時には、すぐに動物病院に連絡するようにしてください。

夜間であれば、夜間救急病院に連絡しなくてはいけません。

 

1. 動物病院での流れ

 

動物病院では、獣医師に猫がいつ・どのくらいの量のコーヒーを飲んでしまったのか、またその後に猫に変化があったのかを伝えましょう。

 

<猫がコーヒーを飲んでしまった時に獣医師に伝えること>

  • いつ頃飲んでしまったか
  • どのくらいの量のコーヒーを飲んでしまったのか
  • 今出ている症状

 

もし猫が中毒量のコーヒーを飲んでしまった場合、病院での検査と治療は以下のような流れで行われます。

 

問診と身体検査:症状と原因を推定し、体重の確認と体温、心拍数、不整脈を確認

催吐処置:飲んでしまったのが30分以内、あるいは胃内にまだありそうな時には実施

血液検査:肝臓、腎臓、アンモニアなどの値を確認

心電図検査:不整脈が出ていないかの確認

点滴治療

痙攣が出てきたときには抗痙攣薬の投与

 

猫の状態や、摂取したコーヒーの量によっては必ずしもこの流れ通りではありませんし、ここまで重症な経過を辿ることはごく稀と言えます。

 

2. 動物病院でかかる費用の目安

 

かかりつけの動物病院に受診するか、夜間救急を受診しなくてはいけない時間なのかによっても費用は異なりますが、以下を参考にしていただけると良いでしょう。

 

夜間救急診察料:1万円~2万円

催吐処置:1万円~4万円

血液検査:1万5,000円~3万円

各種検査:1万円~5万円

治療費:1万円~15万円

 

大きく料金に幅があるのは、中毒症状が無いケースから重症なケースまであるためです。

夜間救急の病院で一晩に渡り呼吸管理を実施することになれば、1泊で30万円ほどの請求がくることもあるので、その点ではあらかじめ  ペット保険  に入っておくことも重要かもしれません。

 

 

猫に危険なのは液体のコーヒーだけではない

 

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液体のコーヒーだけに注意しておけば良いという訳ではなく、コーヒー成分の入った食品には全て気を付ける必要があります。

 

<コーヒー成分入りの食品の例>

  • コーヒー牛乳
  • コーヒーゼリー
  • コーヒー味のお菓子
  • カフェイン増量のコーヒーアメ
  • コーヒークリーム入りの菓子パン

 

このうちとても危険なのが、カフェイン増強されたコーヒーアメやサプリメントです。

通常のコーヒーより何倍もカフェインが増量されていることがあり、数粒で猫のカフェイン中毒量や致死量になってしまうことがあるからです。

 

猫にとっては人用のサプリメント類が危険であることがあるので、服用している場合は十分に注意してください。

 

 

猫をコーヒー中毒にしないための対策

 

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猫にコーヒーやコーヒー食品を盗食されないためには、飼い主さんがコーヒーを飲まない、またコーヒー食品を食べないという方法がありますが、人によってはそれは現実的ではないかもしれません。

 

やはり猫が食べないように対策する必要がありますが、以下に挙げる方法は「大丈夫だと思っていたのにダメだった失敗例」なので、把握しておくようにしてください。

 

<猫の盗食防止対策として失敗する例>

  • 戸棚に入れた
  • 蓋をしておいた
  • 高い所に置いた
  • ラップをかけて置いた

 

猫は手を使って戸棚や蓋を手で開けたりすることができますし、高い所には上り、ラップは食いちぎってしまいます。

そのため、以下のような方法で猫の盗食を防止すると良いでしょう。

 

<おすすめの猫の盗食対策>

  • 冷蔵庫に入れる
  • 飲み残しや食べ残しは出さない
  • チャイルドロックを付けた戸棚に入れる

 

 

人にとっては健康食品となりつつあるコーヒーですが、身体の小さな猫には大量摂取によってカフェイン中毒が起きることがあります。

コーヒーをひとなめする程度では問題ありませんが、もし大量に飲んでしまった場合はすぐに動物病院を受診するようにしてください。

 

 

監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)

 

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。

ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。

その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。

 

今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。


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