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トイプードルの平均寿命は15歳前後で、だいたいは12〜18歳で寿命を迎えます。
各保険会社の統計では、年々少しずつ平均寿命は伸びてきており、長生きするトイプードルが多くなっていることがわかります。
診察では18歳のトイプードルもちらほら見かけます。
20歳はなかなかいないですが、長寿の犬種であることは間違いありません。
保険請求額から見ても、先天的な病気も少なく、消化器症状(吐き気や下痢)や皮膚病での通院が多く、寿命を短くする病気になりにくいことがわかります。
また、トイ種で体重も重すぎないため、飼い主さまが動物病院に連れてくるのが大変ではないということも大きいでしょう。
もし大型犬が立てないような病状になってしまうと通院が難しく、治療も万全に行えないケースが多いですが、トイプードルサイズであれば、腎不全で点滴に通うということも問題なくできる飼い主さまが多いです。
人と同じく、適度な運動と良質な食餌、適切な体型を保つことで、健康寿命は長くなります。
高齢になってきたら持病も増えてくるため、余力のあるややポチャくらいの体型でも良いかもしれません。
病気で食べられなくなった時にもともと痩せすぎていると、食欲が出る前に亡くなってしまうことがあるからです。
もちろん、太り過ぎは大病のもとなので、肥満は良くありません。
毎日の散歩や室内運動で筋肉をしっかり維持して、代謝を良くすることが大切です。
そして、人と同様にストレスの少ない生活を送ることも寿命に影響を与えます。
トイプードルは他の犬種に比べると飼いやすい賢い性格である反面、考え過ぎたり感じ過ぎたりする繊細な気質を持っています。
そのような特性も理解して、毎日の習慣を見直してみましょう。
トイプードルは他の犬種に比べて賢く繊細で、攻撃性が少なく、寂しんぼであることが多いです。
また、飼い主さまとの絆も強くなる傾向が多く、常に飼い主さまがいないと落ち着かないトイプードルも多く見かけます。
飼い主さまの仕事が忙しくて遊ぶ時間が少なくなってしまったら、皮膚を舐め壊して掻き壊してしまうなど、精神面からくる皮膚病が多いのも特徴です。
賢いので無駄吠えが多い犬種ではないですが、それでも吠えると良いことがあると学習すると、どんどん吠えるようになってしまいます。
食餌に関しては、ただ出された食餌を大喜びで食べるというトイプードルは少なく、「え…これ?またこのドッグフードなの?なら食べない」と空腹を貫いて美味しいものが出てくるまで待つことがあります。
このように、トイプードルは知能の高さによる繊細さが目立つ性格と言えるでしょう。
トイプードルは学習能力が高いので、飼い主さまのリアクション一つで良い習慣や悪い習慣がすぐに身に付いてしまいます。
基本的に飼い主さまの興味を強く、長く引けるかどうかがトイプードルの行動原理になっているので、以下のようなリアクションには気を付けてください。
このように、飼い主さまの行動が問題行動の動機付けになってしまうことがよくあります。
トイプードルの困った行動に対して、飼い主さまがすぐに声をかけたり、抱きあげたり、オヤツでごまかしたりすると、それらがご褒美になって止めて欲しい行動(吠え、噛み、食ムラなど)を助長してしまいます。
良い行動をしたときにすぐに褒めることで、その良い行動が習慣化されるようにしましょう。
もし問題のある行動が出たときには、なるべくノーリアクションを貫いてください。
賢く繊細な性格であるがゆえに、トイプードルに出やすい問題行動があります。
他の犬種に比べて、単純な一人遊びでは飽きてしまうことも多く、暇を持て余したストレスを発散するために手足を執拗に舐め、肢端皮膚炎になるプードルが多くいます。
また、舐めていると飼い主さまがやってきて「駄目よ!舐めないで!」など声をかけると、賢いトイプードルは構ってもらえると学習してさらに舐めてしまうという悪循環に陥ります。
対策としては、下記のようなことがおすすめです。
飼い主さまと離れてお留守番をすると、シッポを噛みちぎる、モノを噛んで破壊して口から血が出る、ずっと吠えて声を枯らす、吐く、下痢をする、まったく食べないなど、不安からくる問題行動が多く見られます。
お留守番のトレーニングがとても大切で、「必ず飼い主さまは必ず帰ってくる」「独りでお留守番していても良いことがある」と少しずつ学習してもらいます。
分離不安という診断がつく場合には、クロミカルムなどの不安を和らげるお薬を処方することもあります。
その場合でも、お薬を飲むだけでなく、必ず行動療法(お留守番のトレーニング)を併用するようにしてください。
「食ムラがあって、ドッグフードを食べません。オヤツならたくさん食べます。」と困っている飼い主さまが多くいます。
賢く、根性もあるトイプードルも多いため、美味しいものが出てくるまでは食べずに、ついには胃液まで吐くというケースも見られます。
胃液まで吐いてしまうのであれば心配なので、「何か食べて欲しい!オヤツでも良いから!」という気持ちになってしまうのは仕方のないことです。
しかし、この結果「やっぱり我慢すれば美味しいものが出てくるんだ!」と強く学習付けされてしまいます。
獣医師に相談して病的ではないことが確認できたら、せめて人用のご飯ではなくドッグフード(主食になるもの)を選ぶようにしましょう。
沢山のドッグフードが売られているので、喜んで食べてくれるものも見つかるはずです。
諦めずにドッグフードをあげ続けるようにしましょう。
音に対してとても敏感なトイプードルもいます。
ドアホンが鳴ると物凄く吠える、電話が鳴ると会話できないほど吠えるという場合、実は飼い主さまに一生懸命お知らせしている可能性があります。
あるいは、音に対して過敏症である可能性もあるので、まずはドアホンや電話の音を最小限にしましょう。
音が鳴った時に飼い主さまが慌てて行動している様子に、犬は不安を覚えることもあるため、意識して落ち着いた様子を見せることも大切です。
長生きの秘訣である適正体重について解説します。
人もトイプードルも、肥満や痩せ過ぎは健康に良くありません。
そのためには理想体重を知っておく必要があります。
大体のトイプードルの理想体重は2~5㎏の範囲にあります。
しかし、トイプードルのサイズによって数値で〇◯kgとは簡単に決められません。
適正体重とは、理想的な体格をしている時の体重と認識するようにしてください。
犬の健康的な体格のチェックポイントは以下の通りです。
このような体格の時の体重は、適正体重になっていると判断できます。
逆に、肥満のサインはこちらです。
その他にも、イビキをかいて寝るようになった、すぐにハアハアと息をするようになったなども肥満傾向の犬に見られるサインです。
肥満のサインが見られるのであれば、減量をして理想体重に近付けるようにしましょう。
ご褒美としてどんなオヤツをあげたら良いか迷う飼い主さまも多いのではないでしょうか。
あまり食べ物に対して執着の無いことが多いトイプードルですが、こだわりが強い面があります。
「貰えるものなら何でも嬉しい!美味しい!」というよりは、「このご飯なら食べなくても良いや。食べたいのはこれじゃない」という性格。
そのため、主食であるドッグフードを食べずにオヤツしか食べない、あるいは人と同じものしか食べないという状況が多く存在します。
これは寿命を延ばすためには良いことではありません。
できればオヤツは最小限にしましょう。
そして、オヤツは本来の目的(補う食餌)という面を考えて、ドッグフードの一部をあげるという形を取るのが理想的です。
どうしても特別なものをご褒美としてあげたいという場合には、茹でたササミなど、添加物や味付けのないものを活用することをおすすめします。
寿命を左右することといえば、病気や事故を予防できるかどうか。
トイプードルが注意しなければいけない病気は以下の通りです。
体質として、普通にドッグフードを食べていても高脂血症(血液中に脂肪分がたくさんある状態)になっているトイプードルがいます。
人間は高脂血症によって血管が痛んで、心臓や血管の病気が出やすいのですが、トイプードルにはそのリスクは報告されていません。
その代わり、高脂血症のままであると膵炎になるリスクが上昇します。
もともと高脂血症の傾向があるトイプードルに、「お誕生日だからワンちゃん用のケーキを!」と食べさせてしまうと、その後に吐き気と下痢が出てしまって膵炎になることがあります。
脂肪分の多い食餌をとってしまうと、消化酵素を出す膵臓に負担がかかって膵炎になるのです。
膵炎は、重症化すると死ぬこともある病気です。
脂っぽいものを食べさせてしまった後に、吐き気や下痢、食欲不振が出た時には、すぐに受診するようにしましょう。
膵炎を何度も繰り返すうちに、膵臓からインスリン分泌が足りなくなる糖尿病になることがあります。
糖尿病は、発見が遅れると腎臓や目に障害が出ることも多く、治療の難しい病気です。
「お水を飲む量が増えたかな?」と思った時には一度は検査をしてみましょう。
他の犬種に比べて、トイプードルの保険請求が多いのが骨折です。
筋肉量も多くない細い足であるため、抱っこの状態から地面に飛び降りたり、ソファから降りた時に「キャン!」と鳴いて、肢をあげたまま歩けないという事態になります。
また、トイプードルの骨折の恐ろしい所は骨折が治りにくい特性です。
もともと足や血管が細いため治りが悪く、そして体重も重くないので、折れた足を使わずに三本足で生活できてしまいます。
骨は、丁度良い圧力がかからないと太くなりません。
折れた足を庇って使わないと、骨折がさらに治らなくなってしまって再手術になったというケースも多く見かけます。
抱っこからの飛び降りや、段差の移動には十分に注意してください。
平均寿命が延びているトイプードルは高齢期まで長生きできるので、心臓病になることも増えています。
心臓病の初期はほとんど症状がありません。
段々と咳が出たり、運動を嫌がったりという変化がでます。
心臓病が見つかった場合には、半年から1年ごとに心臓の検査を受けましょう。
心臓の飲み薬を続けることで、心臓がすぐに疲れてしまうことを防ぐことができます。
トイプードルの寿命は平均で15歳前後であり、今でもどんどん延びている状況です。
人気犬種なのも頷ける、飼いやすい特性がたくさんあります。
とても賢く、そして繊細な性格を理解してトレーニングすることで、さらに家庭犬として愛される存在になることでしょう。
大きな病気やケガもしづらく、生活習慣を改善することで予防できるものばかりです。
長寿なゆえに心臓病が出ることもありますが、治療薬を飲むことで安定した生活をすることもできます。
トイプードルの特徴を理解して、健康寿命が長くできるように暮らしましょう。
執筆・監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2021/09/29
公開日 : 2021/09/29