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ご経験のない方は「猫が夜泣きをするの?」と不思議に思うかもしれません。
実は猫も夜鳴きをすることがあります。
「アオーン」と大きい声で鳴いたり、「ニャーニャー」鳴き出したりと様々です。
人間にとっては、困った行動である夜泣き。
原因として考えられることは何があるのでしょうか。
猫の夜鳴きの理由や原因は大きく分けて、精神的要因と身体的要因(生理的、病的)の2つが考えられます。
それぞれの原因に対しては対策方法が変わってきますので、まずはどのような原因で鳴いているのかをしっかりと探ることが非常に重要です。
お迎え初日の子猫や保護したての猫では、環境の急激な変化により不安感が高まり鳴いてしまうことがあります。
慣れるまでは、あまり無理せず見守ってあげるのが良いでしょう。
猫が嫌がってるのに、隠れ場所から引っ張り出すような行動はしないようにしましょう。
猫にとってとんでもないストレスになります。
また、環境の変化が無くても老齢の猫は体がうまく動かなくなったり、眼や耳が以前より弱ってきたことにより、不安を感じて鳴くようになってしまうこともあります。
それでは不安を感じて鳴いてることが疑われる場合、どのように対策をしてあげたらいいのでしょうか。
猫は狭い所に落ち着きを感じる子が多いです。
体にピッタリ合うような全身を隠せるサイズの箱などを、隠れ場所として用意してあげることがおすすめです。
もし部屋で自由にさせてる場合は、何箇所か隠れ場所を作り、その中に猫がいるときには決して邪魔しないようにしましょう。
隠れ場所の近くには猫がごはんや排泄をしやすい環境を作ってあげることも重要です。
慣れるまでケージで飼育している場合は、隠れ場所をケージ内に設置し、ケージに目隠しの布をかけるのもおすすめです。
布を中に引き込んでぐちゃぐちゃにしてしまう場合は、周りをダンボールなどで囲ってあげると良いでしょう。
明るいと落ち着かなかったり、真っ暗でも不安になってしまう猫もいます。
明かりを小さくしてつけておいてあげると、落ち着くことができる可能性が上がります。
中には真っ暗が落ち着く子もいますので、いろんなパターンを試してみるのが良いでしょう。
寝床の掃除を毎日行うと、自分のニオイがすぐに消えてしまい猫はなかなか落ち着くことができません。
嘔吐したり排泄物で汚れたりなど、激しい汚れがついてなければ頻繁なタオルの交換や寝床の掃除は避けましょう。
激しい汚れがなければタオルの交換は1週間ごとでも構いません。
ただし、環境変化による緊張がなかなか解けない場合は、その限りではありません。
猫の様子を見ながら、無理のない範囲で掃除をするようにしましょう。
特に緊張している時期は、可能な限り掃除やごはんの時間を固定してあげると、猫も安心することが出来ます。
また、こまめに行うよりも、回数は少なくしてあげた方が猫も落ち着けるでしょう。
慣れて猫がリラックスしてきたら、トイレ掃除はこまめにしてあげることがおすすめです。
マタタビには猫をリラックスさせる効果もあります。
個体によっては全然効果がないこともありますが、効果がある子にはかなり効きますので、少量から寝床などにふりかけてみるのもおすすめです。
個体によってはこのようなものを使用することで、リラックスできたり環境へのストレスが軽減されることもあります。
この商品は、猫のフェロモンを科学的に再現しているものです。
リキッドで部屋に拡散するタイプとスプレータイプとありますが、不安をやわらげるためには拡散タイプの方がおすすめです。
特に子猫で多く認められる要求鳴き。
お腹が減ってしまった、排泄したい、遊びたいなど、何かしてほしいことがあるときに大きな声でお母さんである飼い主さんを呼びます。
その時の状況によって何を求めているか判断しましょう。
子猫がとても幼く自力での排泄や食事が不可能という場合は除きますが、基本的には要求鳴きをしているときに猫の要求に応えてしまうと、何かしてほしいことがあるときにしつこく鳴くようになってしまいます。
ある程度成長している猫の場合は 鳴き止むまで構わずに無視し、鳴きやんでから構ったり、ごはんを与えたりするようにしましょう 。
エネルギーの発散不足で鳴いている場合は、 よく遊んであげるようにしましょう 。
猫の性格にもよりますが、子猫の場合は月齢の近い猫をもう一匹お迎えするのもひとつです。
相性が良ければ一緒に遊んでくれるようになり、二匹で寄り添うことで不安も軽くなり、鳴きの軽減が期待できます。
女の子によく認められる行動です。
発情期を迎える と大きな声で頻繁に鳴き、男の子に自分の居場所をアピールします。
猫は季節繁殖動物なので、 気温、日照時間によって発情時期は決まる といわれています。
また、体重も大きく発情時期に関わってきますので、その子の生まれた時期や成長速度によっても変わってくるのです。
一般的に女の子は体重が2.5kg以上(生後約7〜12ヶ月)になってから、自然光下では1〜8月に発情を繰り返します。
飼育環境下では、照明によって条件が異なるので、時期がずれることもあります。
ただし、早熟な子では生後半年ほどで発情する子もいますし、長毛種は短毛種よりも初回発情は遅いともいわれているのです。
鳴く以外にも床を転げ回ったり、お尻をあげたような姿勢をとり、尾を左右に避けるような仕草をします。
その他、男の子を引き寄せるために、いつもと違った場所でおしっこをしてしまうこともあるのです。
未避妊の子でこのような行動が認められる場合は、発情が疑われます。
避妊手術を行いましょう 。
発情期がきているのに、交尾を行うことができず発情を繰り返すのは、猫にとって体にも心にも大きなストレスになってしまいます。
発情期の行動はいつもと異なることも多いため、家での管理が大変になってしまうこともあります。
また、猫は交尾排卵動物なので、妊娠の確率はとても高いのです。
万が一脱走されてしまったら、望まない妊娠をしてしまう可能性も高いため、子猫を産ませることを望んでいない場合は早めの避妊手術がおすすめです。
自分の体長の何倍もの高さをジャンプしたりと、軽やかな印象のある猫。
しかし、歳を重ねてきたり、肥満になってしまったりすると 関節炎を発症してしまうことも多い です。
そのような 体の痛みや、他の病気による痛みなどで、鳴いてしまうことも あります。
夜鳴きが出た場合は食欲や元気、歩き方などいつもと違うところはないか注意して観察しましょう。
痛みを緩和するサプリメントの使用や、お灸・鍼なども効果があります。
どのような原因で痛みを起こしているかを特定し、コントロールする方法をかかりつけ医と相談しましょう。
一般的に 老化が進むと 筋肉量が減少するため、代謝が落ちてしまい 体温が低下する傾向 があります。
そのため、寒さで眼を覚ましてしまうこともあるといわれています。
猫は老齢になると腎機能が低下してしまうことが多い動物です。
腎機能が低下することによっても低体温や多飲多尿が起こり、夜中の覚醒の原因になるといわれています。
寝床の温度に気をつけて あげましょう。
湯たんぽやホットカーペット、ふかふかベッドの導入もおすすめです。
ただし、老齢の猫は温度の感知能力が衰えていることもありますし、自分でうまく体を動かすことができない場合もあります。
そのような場合は 低温やけどの危険 がありますので、気を付けて使用するようにしましょう。
また、老猫の場合は夜間にトイレまで行くのが大変なこともあるため、 トイレを寝床から行きやすい場所にも作ってあげること も大切です。
猫にも人間の認知症のような症状があることが知られています。
単なる老化のサインだと思っていたものが、実は認知機能低下のサイン だったということもあります。
ある研究では、 猫の11〜14歳齢の30%、15歳以上の50%で何らかの行動の変化が認められている という報告もあります。
トイレの失敗、昼間寝てる時間が長くなった、動きが鈍い、なかなか起きないなども認知機能が低下しているサインなのです。
認知機能が低下すると、夜鳴きの症状がでてしまうこともあります。
まずは認知機能低下兆候が認められた場合は少しでも進行を遅らせるために、 抗酸化作用や、抗炎症作用のある物質を含む専用のサプリメントの服用を検討 しましょう。
動物病院でしか取り扱っていないものも多いため、かかりつけ医に相談すると良いと思います。
また、フードにそのような物質を含んでいるものもあるので、愛猫がシニアになった時点で脳の健康のためにも フードを切り替えてみる こともおすすめです。
その他、 日光浴 をすることも脳に良い刺激を与え夜間に眠りやすくすることができます。
症状が進んでしまうと、改善させることが難しくなってくるため、 早めの対策が重要 です。
甲状腺からホルモンが過剰に出てしまう病気です。
日本では8歳以上の猫の3〜4%が罹患してるといわれているのです。
3〜4歳で認められることもありますが、 多くは8歳齢以上で発症します 。
甲状腺ホルモンは代謝を活性化する作用があるので、体は常にフルスロットルの状態になってしまいます。
そのため、 やたら食欲があるのにどんどん痩せてしまった り、胃腸も動きすぎることから 軟便や下痢など消化器症状 を起こしたり、 興奮しやすく夜間に鳴いてしまう行動 もよく認められます。
また、猫は犬と違い口を開けて呼吸することはあまりなく、病気のサインのことが多いです。
この病気でも 安静時に開口呼吸 を行うことも認められます。
さらに、急変してしまって命に関わる症状になってしまうこともあるのです。
血液検査によって診断し投薬治療で管理できることも多いため、疑わしい症状が認められる場合には動物病院で検査を受けて、適切な治療を受けさせましょう。
どのような原因で鳴いていたとしても、大きな声で叱ったり、体罰を与えることは逆効果なので絶対にやめてください。
まずは原因を究明し、対策をしていくことに努めましょう。
色々試したが効果がない、近所からの苦情で早急な対応が必要など、自分で対応することが難しい場合もあります。
そのようなときはどうしたら良いのでしょうか。
まずは、病的要因など体に異常がないかの確認を動物病院で行い 、特に問題がないようであれば精神的要因も検討していきましょう。
猫にも分離不安症などの精神疾患はあります。
また、不安が強い場合には投薬治療が有効となることもあります。
精神的要因に関しては、きちんと診察できる獣医さんは多くありません。
一般的に獣医さんは体の健康管理をメインの業務としているので、問題行動に関してはあまり詳しくない獣医さんも多いのです。
問題行動に関しては、動物行動学という動物の心療内科のような分野に精通している獣医さんの診察を受けることが必要です。
特にすでにご近所から苦情が出ているような場合、一刻を争う事態です。
そのような場合は、ご自分で工夫をすることと並行して、 獣医行動診療科認定医の行動診察を受けることをおすすめ します。
お近くに認定医がいない場合は、認定医の往診や電話相談などの利用を検討してみるのも一つでしょう。
行動学の診察が一度で終わることは、まずありません。
メールや電話でのフォローアップを行ってくれる先生もいます。
相談が出来るというのは飼い主さんにとっても安心できることなので、一人で抱え込まずぜひ診察を受けてみましょう。
また、少しお値段は張りますが、 ケージ用の防音カバー もあるため、ひどい夜鳴きで緊急的に対策が必要な場合は検討することも良いと思います。
ご近所からの苦情も気になってしまう猫の夜泣き。
猫との幸せな生活のためにも、早急に解決したい問題行動です。
事態が深刻化してしまうと、愛猫と一緒に暮らすことが難しくなってしまったり、猫にも人間にも大きなストレスがかかることがあります。
対策を試みてもあまり改善がない、何で鳴いてるのかよくわからないという場合は、一人で抱え込まずになるべく早く専門家に相談するようにしてください。
執筆・監修:獣医師 にしかわ みわ
大学卒業後、一般小動物病院にて臨床獣医師として勤務、一次診療業務に携わる。
その後、都内大学付属動物病院にて研修獣医師として勤務、高次診療業務に携わる。
再び各地の一般小動物病院に勤務する傍ら、電話における動物健康相談業務にも従事。
海外にて動物福祉を勉強するため、2019年に欧米諸国へ留学。
現在は留学や臨床業務の経験を活かし、動物の健康や各国の動物福祉に関する記事の執筆業務を行う。
最終更新日 : 2021/01/28
公開日 : 2020/11/27