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1. メガバクテリア感染症(メガバクテリア症、AYG、マクロラブダス症)
セキセイインコの平均的な寿命は、5~10年ほどといわれています。
時には15年以上生きることもあり、ギネスには29年と2ヶ月という驚異的な記録が掲載されています。
一般的にはほ乳類より、鳥類の方が長生きする傾向にあります。
実際にセキセイインコと同じくらいの体重である ハムスター は、寿命が2~3年だといわれています。
セキセイインコはその大きさから考えると、かなり長生きする動物だといえるでしょう。
それぞれの病気に対して、その症状と原因、対策方法についても説明していきます。
マクロラブダス感染症をご存知ですか?
— いなば動物病院 (@inabadoubutsu) November 13, 2018
俗称メガバクテリアと呼ばれています。
新たにお迎えされた子達の半数以上はこの感染症に感染しています。
早期治療を行わないと慢性化し、最悪の場合死に至る病気です。
新しい子をお迎えしたら、すぐに検診を受けさせてあげてください。 pic.twitter.com/xB4cpZa9nb
メガバクテリア感染症はカビ(真菌)の1種 「マクロラブダス」 に感染し、急性の胃炎や胃拡張を起こす病気です。
発症すると嘔吐、下痢、血便、食欲や元気がなくなる、羽根を膨らませるといった症状が見られます。
急性型である場合は、発症から数日内に亡くなってしまうこともあります。
このカビはあらゆる鳥類に感染し、また鳥から鳥へと感染していくやっかいな性質を持っています。
セキセイインコは母子感染が多く、親が雛に吐き戻しのエサを与える習性によって感染が広がります。
また、感染している個体のフン、発情したオスが行う吐き戻しからも感染する可能性があります。
そうとはいえ、マクロラブダスは感染しても、必ず発症するものではありません。
体力が落ちた時、ストレスで免疫力が下がった時に発症のリスクが高まることを覚えておきましょう。
なお、早期に発見して抗真菌剤を投与すれば、完治させることも可能です。
セキセイインコを迎える時は、フンや血液を使った各種感染症やそのう検査を含めた「バードドック」(総合的な健康診断)を受けることを強くおすすめします。
1週間くらい前のぴのこちゃん。
— ぴのぴのこ (@1115Pinoko) February 16, 2020
ツクツクは今回もほとんど抜けちゃいましたが、首の後ろに立派な羽根が2枚生えました😊 #PBFD pic.twitter.com/Os4DzsWpZW
PBFDは 「サーコウイルス」 に感染することによって引き起こされる病気です。
3歳以下のオウムやインコに感染しやすく、セキセイインコは特に感染しやすいといわれています。
PBFDは世界中で見られる症状で、フンや脂粉中のウイルスを経口摂取、もしくは吸入すると感染します。
別名「くちばしと羽の病気」とも呼ばれるこの病気の症状としては、全身の羽が抜け落ちる、くちばしや爪が異様に長くなる、弱くなる、食欲や元気が無くなるといったものが見られます。
PBFDは残念ながら今も治療方法が確立していませんが、早期発見すれば回復する可能性はあります。
この病気を避けるためには、以下の3点に注意することが大切です。
人獣共通感染症「オウム病」妊婦で日本初の死亡例 https://t.co/mUxWx0HlL0 pic.twitter.com/usDFJOIOxV
— LINE NEWS (@news_line_me) April 9, 2017
オウム病はクラミジア菌に感染することによって起こる、 「人獣共通感染症」 (ズーノーシス)です。
ズーノーシスとは、人とそれ以外の脊椎動物の両方に生じる感染症のことです。
「オウム」という名前が付いていますが、あらゆる鳥類に感染する可能性があります。
この病気になると食欲や元気が無くなる、羽根が膨らむ、下痢、鼻水といった症状が見られます。
人に感染・発症するとインフルエンザ様の症状(高熱や咳など)が現れ、肺炎を起こすこともあります。
オウム病は鳥同士でも鳥と人の間でも、クラミジアが付着したほこりや羽などを吸い込むこと、口移しでエサを与えることなどによって感染が広がっていくと考えられています。
そんなオウム病を防ぐためには、以下の3点に注意することが大切です。
ここまでセキセイインコに起こりやすい、3つの病気について説明してきました。
ここからはセキセイインコを長生きさせるための、ちょっとしたコツを解説していきます。
セキセイインコのエサにはペレットや皮付きシード(種子)、むき餌(皮をむいたシード)があります。
この中で最も理想的な主食はペレットですが、どうしてもペレットを食べない個体もいます。
そういった個体の場合は、皮付きのシードを主食にしましょう。
むき餌は病気やケガで体力が落ちている時以外は、主食にしてはいけません。
なぜむき餌を主食にしてはいけないかというと、シードは皮の付近にも多くの栄養があるからです。
皮の有無による違いは、玄米と白米の様なものだと考えるとわかりやすいかもしれません。
むき餌のメリットは、皮をむいてあってゴミが出ないこと、そして消化が良いことが挙げられます。
しかし、多くの栄養が失われているため、むき餌を与えて長生きを目指すのはとても困難です。
皮付きのシードであれば皮をむく作業があるため食事に時間がかかり、暇な時間を少しでも減らせます。
本能に基づく行動をすることによってセキセイインコのストレス発散になり、またくちばしをすり合わせることによって自然にくちばしが削れて伸びすぎも防げます。
なお、ペレットや皮付きのシードに加えて、新鮮な野菜を常に食べられる状態にしておくことも大切です。
そして、新鮮な水を好きな時に飲めるように、必ず水入れも用意しておいてください。
主食:セキセイインコ用ペレット、皮つきのシード
野菜:コマツナ、チンゲンサイ、豆苗、水菜、春菊など
セキセイインコを健康的に育てるために、日光浴をさせましょう。
日光浴をするとホルモンバランスが整い、カルシウムを吸収するために必要なビタミンDが合成されます。
時間としては1日あたり、30分も行えば十分です。
日光浴をする時はケージやキャリーバッグに入れ、外に置くあるいは網戸越しに日光を浴びさせます。
ガラス越しでは一部の光が遮られて日光浴にならないと考える方もいますが、本当かどうかは定かではありません。
日光浴をさせる時に大切なのは、外に逃がさないこと、そして熱中症に気を付けることです。
ケージやキャリーバッグの上に布や新聞紙などを置き、日陰になる場所を作ってあげると良いでしょう。
外に出して日光浴をさせる時は、カラスやネコなどの襲撃にも気を付けましょう。
16歳 #長老ピピちゃん
— 麗春 (@shodo_reishun) February 11, 2019
体重測定⚖️
12/27は、28g
今日は‥ #セキセイインコ pic.twitter.com/8H0w6uDPaL
セキセイインコの平均的な体重は30~40g程度です。
体重の変化を見ることで体調管理がしやすくなるため、こまめに体重を量る習慣をつけましょう。
体重を量るときはデジタル式のキッチンスケールを使い、常に同じ条件で量ります。
キッチンスケールに乗ってくれない場合は止まり木に乗せて量る、あるいはプラスチックケースなどに入れて量ると良いでしょう。
セキセイインコの場合、1日で体重が3g以上増減したらやや注意が必要です。
もちろん体重はエサを食べる前と食べた後、フンをする前とした後では1~2gくらいは簡単に変わります。
しかし、体重が急増した場合は腹水や腫瘍などがあるか、メスの場合は抱卵している可能性があります。
逆に体重が激減した場合は、何らかの感染症にかかっている可能性を疑いましょう。
セキセイインコをはじめとした鳥類は、ストレスに弱い傾向にあります。
ストレスがたまると免疫力が落ちて感染症にかかるリスクが上昇するほか、自分で羽を抜く自傷行為(毛引き)を起こすことがあります。
まず、ケージのサイズは、最低でもセキセイインコが両方の翼を広げられるものを選びましょう。
そして、ケージは強い光や音、においがない安定した場所に置きましょう。
可能であればある程度自然光が入り、昼は明るく夜は暗い場所に設置するのが望ましいです。
毎日30分から1時間ほど放鳥して十分に運動させて、ストレスも発散させます。
ケージの中にも止まり木やおもちゃを設置して、なるべく暇な時間がないようにしてあげてください。
セキセイインコを長生きさせるためにはストレスが少なく、退屈せず、運動不足にもならない環境を整えることが大切です。
セキセイインコを迎える前に、セキセイインコの診察ができる動物病院を探しておきましょう。
なぜなら、イヌとネコ以外の動物は診察しない(できない)という動物病院も少なくないからです。
また、残念なことに小動物の診察が可能と掲げていても診察経験が少なく、せっかく病院に行ったのに逆に調子を崩してしまうということもあり得ます。
動物は本能的に体調不良を隠す傾向があるため、何かあってから動くのでは遅すぎます。
あらかじめ小鳥の診察に強い動物病院を探しておくことを強くすすめます。
可能であればペットショップやブリーダーから、行きつけの動物病院を教えてもらうと良いでしょう。
筆者は以前、とある動物園の飼育員として働いていました。
そして、元職場の動物園の園内では、30羽近くのセキセイインコを飼育していました。
エサは年齢や性別を問わず、全羽に皮付きの小鳥用シードとコマツナ、塩土を与えていました。
飼育している数が多かったためシードは常に置きっぱなし、食べ放題にして食べた分だけ毎日補充していました。
セキセイインコ舎の壁は網張りで、自然の風が吹きつけるような環境でした。
ですが、舎内には複数の巣箱やヒーターを設置し、自分で好きな場所で過ごせるように工夫していました。
建物は高さが3m近くあってそれなりに広かったので、セキセイインコは自由に遊び飛び回っていました。
木の枝やおもちゃも複数設置していたため、割と良い環境だったのではないかと思います。
セキセイインコ舎では、オスとメスを分けずに飼っていました。
ただし、卵を産んで増えすぎてしまうと困るので、巣箱には偽卵を置いて繁殖しないようにしていました。
そうというのも、セキセイインコはオスとメスと一緒にしておくと、あっという間に増えてしまうからです。
実際園内のセキセイインコは、飼っていたペットが増えすぎて困った方から引き取った個体でした。
そのため、いつ生まれたのかわからない個体ばかりでしたが、病気もせずに10年近く、あるいは10年以上経過している個体がほとんどでした。
なお、基本的に動物園がペットとして飼われていた動物を引き取ることはありません。
なぜなら、動物を引き取って欲しいという問い合わせが次々と来て、収集がつかなくなるからです。
一度飼った動物には責任を持ち、必ず最後の時まで自分で面倒を見て欲しいと切実に思っています。
コンパニオンバードの代表格、セキセイインコの寿命について説明してきました。
セキセイインコの寿命は5~10年といわれていますが、これはあくまで平均的な値です。
こだわりぬいた良い環境で飼育しても1年2年で亡くなってしまうこともあれば、あまり良くない環境にも関わらず10年以上生きることもあるでしょう。
また、最後の時を見とれることもあれば、何の前触れもなく亡くなってしまうこともあるでしょう。
ですが、一番大切なのは、セキセイインコに対してどんなことをしてあげられたのかという事実です。
小さな家族とのお別れの時に後悔しないように、日頃からできる限りのことをしてあげたいものですね。
公開日 : 2020/06/10