本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
猫の血尿とは、文字通り猫のおしっこに血が混じる症状です。
しかし、血だからといって赤く見えるかというとそうではない場合もあり、なかなか飼い主さんが気が付きにくいことが多いです。
筆者は保護活動をしているため、多くの猫の面倒を見た経験があり、血尿の子の世話も何度もしています。
おしっこの色がおかしいなと思い病院で検査してもらうと、血尿が出ていると診断されることがありますが、その際のおしっこの色は明らかに血が混じっているとはわかりにくい色のことが多いです。
明らかに血が混じっていると分かるほど赤いおしっこが出ている場合は、かなりの重症です。
一見はっきりと血が混じっていると判別できないときも、実は血尿であることは珍しくありません。
血尿は猫には比較的多く見られる症状ですが、もちろん放置していいものではありませんので、おしっこの様子がいつもと違うと感じたらすぐに病院を受診するようにしてください。
血尿が出るときは病気であることがほとんどなので、血尿の他におしっこの匂いがいつもと違う、何度もトイレに行くなどの症状も見られることがあります。
血尿を発症する病気にはどんなものがあるのでしょうか。
血尿と何回もトイレに行く様子が見られる頻尿のときに疑われる病気をご紹介します。
猫の通常のトイレの回数は1日に2回程度です。
多くても3~4回程度まででしょう。
それ以上トイレに行く様子が見られる場合は、頻尿であると判断できます。
そして、トイレに行ってもおしっこが出ないこともあるため注意が必要です。
おしっこが24時間以上でなければ、命にかかわる危険がありますから放置してはいけません。
猫がよくかかる病気の一つが膀胱炎です。
膀胱炎にかかったときに、血尿の症状が現れることがあります。
膀胱炎の原因にも種類がありますが、猫はあまり水を飲まないという点も、膀胱炎を発症しやすい原因であると言われています。
膀胱炎には膀胱の中に細菌が入ってしまって起こる細菌性膀胱炎と、主にストレスが原因とされる突発性膀胱炎があります。
細菌性膀胱炎は初期に治療ができれば抗生剤の投与や療養食での治療もできるため、治療はそれほど難しくありませんが、一度発症してしまうと癖になってしまうこともあります。
特発性膀胱炎は体質や気持ちの問題、飲水量など、様々の要素が関与しているので、何度も再発してしまうことがあります。
どちらも重症化してしまうとカテーテルを使って排尿を促すなど、他の治療も必要になってくることがありますので、血尿に気が付いたら早急に病院を受診するようにしましょう。
おしっこが作られる腎臓から尿道までの間に結石ができてしまうことを尿路結石と言います。
猫は水をあまり飲まない上に、マーキングをするためにおしっこが濃くなっています。
そのため、猫は尿路結石が出来やすいとされているのです。
オス猫もメス猫も尿路結石を発症しますが、特にオス猫の場合は、細長い尿道に結石が詰まってしまうとおしっこができなくなって命を脅かすこともあります。
この状況を尿路閉塞と言います。
ドライフードがメインで肥満傾向にあり、繊細なタイプのオス猫さんはリスクが高いです。
初期であれば療養食を食べることで結石を溶解することができますが、あまりにも結石が大きくなると手術が必要になることも出てきます。
尿路結石になったときは、おしっこが出にくいので、何度もトイレに行くという頻尿の症状が合わせて見られることが多いです。
尿路閉塞によって体内から毒素を排出できずに、尿毒症になっていることがあります。
その場合は血尿とともに吐き気や下痢の症状が出ます。
急性腎不全は腎臓への負担も大きく、その後には慢性時不全へと移行します。
頻尿、血尿、そして吐くときには命に関わるほどの事態が隠れているかもしれませんので、すぐに受診するようにしましょう。
血尿とともに下痢や嘔吐を伴う場合は、何らかの中毒が考えられるでしょう。
外に出して飼育している場合は、外で何らかの毒物や食べてはいけないものを口にしてしまう可能性は高いですよね。
完全室内飼育をしていても、観葉植物によって中毒を起こすことも考えられます。
血尿で下痢や嘔吐の症状も見られるときは、かなり重症な中毒であることが考えられますので、早急に病院へ連れて行きましょう。
また、室内に猫に害を及ぼす観葉植物は置かないように気を付けてください。
膀胱や腎臓のガンにより、出血して血尿を発症することがあります。
ガンは高齢猫がかかりやすいので、高齢猫でおしっこの色が濃い場合や、血尿が認められる場合は注意が必要です。
ガンも早期発見することが命を救い、そして延命することに繋がりますので、異常に気が付いたときにはすぐに病院に連れて行ってください。
高い場所から落ちる、交通事故に遭うなどによって内臓が傷つけられ、その結果血尿が出ることがあります。
猫は痛みをがまんする動物なので、大きな怪我をしても一見して普通に過ごしているように見えることがありますが、尿管や膀胱が破れてしまっている場合は手術のリスクを伴う治療が必要になってくることもあるでしょう。
このような内臓に損傷を与えるような大けがを負う事故は大抵の場合、外で遭遇することがほとんどであると考えられます。
猫の安全を守るためには室内飼育をすることが大切です。
血尿が出ていても、猫自身はたいして苦しい様子を見せないこともあります。
しかし、猫は自分が具合が悪いことを隠す傾向にあるため、平気そうに見えてもそれは我慢しているだけということもあります。
猫の血尿は珍しい症状ではありませんが、どこも不調がないのに血尿が出ることはほぼ考えられません。
病気やけがが原因である可能性が高いでしょう。
元気に見えても血尿の症状が見られるときは、すぐに病院に連れて行ってあげてください。
血尿の症状があり猫を病院に連れて行くときは、できればおしっこを採取して病院に持っていきましょう。
ここでは、おしっこの採取の仕方をご紹介します。
固まるタイプの猫砂(普通の猫トイレ)を使用している場合は、猫がトイレにおしっこをすると砂が吸収してしまうので採取できませんね。
そのときは、猫がトイレでおしっこをしようと屈んだときに、猫のお尻の下に使わないお玉やお皿などを差し入れて採取すると、上手におしっこを取ることができます。
それをおしっこが漏れないような容器に入れて病院に持って行きましょう。
システムトイレを使用している場合、おしっこの採取は簡単です。
システムトイレは上の部分におしっこを吸収しないタイプの猫砂があり、下のトレイにおしっこを吸収するシートが敷いてありますね。
おしっこを採取したいときはそのシートを取り除いておき、トレイに溜まったおしっこを採取すると良いでしょう。
猫の健康管理にはおしっこのチェックは欠かせません。
毎日、愛猫のおしっこの様子を観察して異常がないか確認しましょう。
猫は1日に2~4回程度おしっこをします。
それよりも回数が多くても少なくても注意が必要です。
回数が多ければ頻尿ということになりますし、おしっこの回数が少なすぎればおしっこを出すことができない、水分の摂取量が少ないということが考えられ、どちらも何らかの不調がある可能性があります。
猫のおしっこの1日の量は、体重1㎏あたり22~30ml程度です。
体重が4㎏の成猫であれば、1日のおしっこの量は100ml程度ということになります。
システムトイレを使用しているときは、前述したおしっこの採取の仕方を参考に、ときどきおしっこの量を測ってみると良いでしょう。
固まるタイプの猫砂を使用している場合は、おしっこをした後の砂の塊の大きさがいつも通りであるかどうかを確認すると良いですね。
おしっこに異常がある場合は、匂いもいつもとは違うことがあります。
筆者の愛猫は膀胱炎を発症しやすいのですが、膀胱炎を発症するといつもと匂いが違います。
猫のおしっこは凝縮されているため匂いがきついのですが、いつもと違う匂いがしたら病院を受診することをおすすめします。
おしっこの色も多少個体差があるのですが、猫のおしっこも人間のおしっこと同じで、普通は黄色っぽい色をしています。
血尿は一見して血が混じっていることが分からない場合も多いのですが、いつもより色が濃い茶色である、ピンクっぽい色であるなどの場合も、血尿である可能性が高いです。
そのようなおしっこが認められたときは、迷わず病院に行きましょう。
膀胱炎や尿管結石でおしっこが出にくい、痛みがあるなどの症状があるときは何度もトイレに行ったり、痛みのために鳴き声や叫び声をあげたりすることがあります。
また、落ち着きがなく何回もトイレの周りをうろうろしているという様子が見られることもあります。
いつもと違う様子が見られる場合は何らかの下部尿路系の不調が考えられますので、獣医に相談しましょう。
猫は下部尿路系の病気にかかりやすい傾向があります。
また、猫は腎臓病を発症しやすいですが、原因ははっきりとはしていないものの、やはりおしっこが凝縮されることで腎臓に負担がかかるためであるとも言われています。
血尿を発症し、おしっこが出にくくなるようなことは、腎臓にも悪影響を及ぼすリスクがあるでしょう。
愛猫の健康守るためには、毎日のおしっこチェックがとても重要です。
猫ちゃんの様子やおしっこの様子がいつもと違うと感じたときは、すぐに病院に相談してください。
早期発見することによって治療が簡単に済むことが多いですし、治療の選択肢も広がり、リスクが大きい治療を選択しなくても良いかもしれません。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/09/07
公開日 : 2018/12/14