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キセキレイ(学名:Motacilla cinerea)は、スズメ目セキレイ科の 鳥 です。
日本では九州以北のほとんどの都道府県で、特に秋・冬の時期、観測することができます。
主に渓流の水辺や湖沼、住宅地などで生活しています。
全長は約20cmほどで、身体は細く、尾は長く、胸・腹・腰のカラーが黄色であることから、「黄鶺鴒(キセキレイ)」という名が付けられました。
脇や眉斑が白く、足が黄褐色であることも、キセキレイの特徴です。
オスとメスは、のどの色で見分けることができます。
オスならが黒、メスなら白いですが、稀にメスでも黒っぽい個体がいるため、見分けが難しいこともあります。
キセキレイは、主にユーラシア大陸、アフリカ中部〜南部に分布しています。
日本では、留鳥のキセキレイと漂鳥のキセキレイ、いずれも見ることができます。
九州より北のエリアで観測することができます。
東京・神奈川・埼玉などの都市部で撮影された例も多いです。
日本で見られるキセキレイに似た鳥としては、「セグロセキレイ」や「ハクセキレイ」が挙げられます。
「セグロセキレイ」は頭・肩・背・胸部が黒く、腹部が白いです。
一方「ハクセキレイ」は体の大部分が白っぽく、頭から背にかけての色が黒またはグレーで、胸部は黒腹部は白いという特徴があります。
セグロセキレイとハクセキレイは、個体のカラーによっては見分けにくい場合がありますが、目の下・頬の部分が、セグロセキレイなら黒く、ハクセキレイなら白いという点を知っておくと判別できます。
キセキレイは、「チチン、チチン」「キシキシキシ」「チチッチチッ」「チョイチョイチョイ」という声で鳴きます。
ハクセキレイもよく似た地鳴きをしますが、キセキレイの鳴き声の方がやや高音です。
大きな波形を描いて飛翔しながら鳴くことが多く、仲間とのコミュニケーションであるという説が有力ですが、複数羽で見晴らしの良い場所で鳴いている場合には、縄張りのアピールをしている可能性があります。
セキレイの仲間たちは、基本的に湖や沼といった淡水域に生息しているため、夏場に渓流沿いを歩いていると出会える機会が多いです。
大きく分けると、ハクセキレイは川の下流部、セグロセキレイは中流部、そしてキセキレイは上流部で生活する傾向があります。
虫を主食としており、水辺や地上を歩きながら昆虫を捕食することもあれば、飛んでいる虫を飛翔して捕らえることもあります。
特に繁殖期(4〜8月頃)のキセキレイは、河川の上流や、高山帯の湖沼といった高い場所を好みますが、平野部でも河川が流れる地域であれば、周辺の住宅地やビル街でも産卵・子育てをします。
夏場はつがいで縄張りを分散し、特にオスは縄張り意識が強いことから、キセキレイ・セグロセキレイ・ハクセキレイと縄張り争いで追いかけ回す姿もしばしば見られます。
産卵する数は1腹4〜6個で、抱卵期間は2週間前後、無事に産まれた雛は約2週間で巣立っていきます。
冬場になると、単独や小群れで縄張りを作ります。
平地・暖地へ下りてきて越冬するため、都市部でもたくさん観測できるようになります。
営巣は石垣・樹木の茂み・橋げた・看板など、影となる場所で行う習性があります。
このため、住宅の屋根の隙間や軒下、雨どいの側に巣を作られてしまうケースも多いです。
上述したような特性から、キセキレイは民家に巣を作ってしまうことがありますが、原則として、卵や雛がいる巣の撤去は「鳥獣保護法」で禁止されています。
そうとは言え、室外機・雨戸の戸袋・車のエンジンルーム・雨どいの水が溢れる箇所など、卵や雛にとって危険な所に営巣されてしまうこともあるため、「どうしても」という時の対処法についてご紹介しておきます。
先述した通り、キセキレイは孵化してから2週間程度で巣立ちを迎えますが、台風が近付いているような緊急時には、別の場所に巣を移すことも検討して良いでしょう。
ただし法律違反となってしまわないよう、都道府県の担当部署へ相談し、許可を取ってくださいね。
移動する際の注意点として、必ず親鳥が自分の巣であると判断できるように、元の位置からなるべく離れないよう工夫する必要があります。
万が一どこに自分の巣があるかわからなくなると、抱卵や子育てを放棄することになってしまいます。
また、巣が複数ある場合には、親鳥同士で縄張り争いをする危険性があるため、できる限り間隔を空けてあげましょう。
ちなみに、雛が巣立った後の空っぽの巣であれば、自治体に無断で取り去っても問題ありません。
巣の痕跡があると、次の年にまた同じ場所へ巣作りに来てしまうので、再度営巣されてしまうと困る場合には、跡が残らないよう綺麗に取り除きましょう。
巣は作らずとも、キセキレイが自動車のミラーや、ベランダの窓ガラスをつつく様子も時々見られます。
これは、鏡に映った自分の姿を敵であると勘違いし、威嚇している行動と思われます。
自動車のミラーであれば、駐車中にきちんと畳むことで解決しますが、ベランダの窓ガラスの場合には、ホームセンターやインターネットの通信販売で「ベランダ用の鳥よけネット」を購入して設置すると良いでしょう。
自然界で生きる彼ら「鏡」という概念はおそらくないため、キセキレイの姿が反射して映らないように工夫してください。
キセキレイは、四季に合わせて生活する場所や暮らし方を少しずつ変えていきます。
また、同種だけではなく、セグロセキレイやハクセキレイとも、棲み分けたり住まいの場を争ったりする習性もあります。
可愛らしい姿を見て触れたくなったり、あるいは困った場所に営巣されて追い払いたくなったりすることもあるかもしれません。
しかし、野鳥は保護しなくてはいけないことが法律で定められており、自然のままに見守ることが義務付けられています。
川辺や市街地でキセキレイの姿を見かけることがあったら、遠くから優しい目で見守ってあげてくださいね。
最終更新日 : 2021/11/02
公開日 : 2018/10/22