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珍しい動物をペットにしたいという時は、そもそも購入して良いものなのかどうかが気になりますね。
気を付けたいポイントは大きく2つあります。
ひとつめは、絶滅危惧種として国際取引が規制されていないかどうか。
もうひとつは国内飼育が規制されていないかどうかです。
まずはこの手続きについて、順番に見ていきましょう。
絶滅が危ぶまれる動植物の国際取引を規制するものとして、ワシントン条約があります。
日本語では「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」と言います。
ワシントン条約では付属書において、規制対象となる動植物をリストアップしています。
付属書は3つあり、どの付属書に掲載されているかで規制のあり方が異なります。
絶滅のおそれがあり、取引を行うことで種の存続に影響が及ぶ種です。
原則として商業目的で輸入することはできません。
学術研究目的での輸入は可能で、輸出国の許可と経済産業大臣の輸入承認が必要です。
取引を厳重に規制しなければ絶滅のおそれが出てくる種です。
商業目的で輸入することができ、輸出国政府による輸出許可書および経済産業大臣の確認が必要です。
マクジャクはこれに該当します。
条約締約国が国内で捕獲を規制する必要があると認め、さらに他の締約国にも協力を求める必要があるとされる種です。
商業目的で輸入することができ、輸出国政府による輸出許可書および経済産業大臣の確認が必要です。
インドクジャクがこれに該当します。
さらに日本の国内法でも、ワシントン条約付属書にのせられた動植物について種の保存法が定められ、希少生物について措置が講じられています。
クジャクの国際取引については、手続きが必要ではあるものの可能であることがわかりました。
では、国内飼育にあたって規制はあるのでしょうか。
ペットの飼育に関しては動物を適正に扱うよう、動物愛護法が定められています。
それと共に、飼育に気を付けるべき動物についても定めがあります。
どんなに可愛くても、周りに危害を及ぼす恐れのある動物もいます。
例えば トラ やワニを飼っていて、万が一逃げてしまったら大変ですね。
そうした危険な動物は「特定動物」としてリストアップされており、飼う場合には都道府県知事あるいは政令市の長の許可が必要です。
もっともクジャクは「特定動物」にはあがっていません。
もともと日本国内に生息していなかった外来種が繁殖し、生態系を駆逐してしまう事例が頻発しています。
セイタカアワダチソウがよく知られた例ですね。
このため、生態系や農林水産業に被害を及ぼしてしまう動植物については「特定外来生物」として輸入や飼育が禁止されています。
クジャクは特定外来生物に指定されてはいないものの、沖縄では野生化したクジャクによる被害が深刻なものとなっており、事態の推移が見守られています。
クジャクを飼う場合、国際的な輸入手続きは必要、国内での飼育手続きは不要とまとめることができます。
もっとも国内のペットショップ等で購入する場合には輸入手続きは済んでいますから、直接手続きが必要になる場面はそうそうありません。
日本国内で繁殖した個体も販売されています。
少しややこしい話が続いてしまいましたね。
具体的にペットとしてのクジャクの飼い方を解説する前に、クジャクの種類をご紹介します。
日本でもっとも多く飼われているのは、このインドクジャクです。
インドの国鳥でもあります。
つやのあるブルーのボディと鮮やかな尾羽、ポンポンのついた扇子のようなキュートな冠羽を持ちます。
顔の模様ともあいまって、何ともいえない愛らしい表情をしています。
広げた羽の美しさはもちろんですが、体の色の美しさも魅力。
青色は光の加減によって淡い青色になったり、緑がかった青色に見えたりします。
クジャクの中でもっとも大きい品種です。
冠羽の形やボディの色に、インドクジャクとは違った特徴があります。
インドクジャクの冠羽が開いた扇子なら、マクジャクの冠羽は閉じた扇子をイメージしていただくと良いでしょう。
束ねられた冠羽が真っ直ぐに伸び、引き締まった表情をしています。
また、”Green Peafowl” という英語名の通り、ボディの色はにぶい緑色です。
風流な美しさがあり、日本では襖絵にも多く描かれてきました。
その美しさから乱獲されて激減してしまいましたが、意外と日本人になじみのあるクジャクです。
インドクジャクの品種改良によって生まれた、全身が真っ白なクジャクです。
冠羽のかたちにはインドクジャクと同じ特徴が見えます。
羽を広げた姿は夢のように美しく、とても神秘的です。
物凄く希少というわけではなく、普通に学級飼育でも飼われています。
シロクジャクはこのように 真っ白な色をしていますが、アルビノではなく突然変異で生まれた品種です。
目は青みがかった薄いグレーで、瞳の色は黒。
冠羽から羽、体と全てが白いシロクジャクは、カラフルなインドクジャクやマクジャクとはまた違った神秘的な美しさが魅力です。
クジャクはキジ科に分類される鳥です。
キジ科に属する鳥には、他にニワトリなどがいます。
意外に思われるかもしれませんが、クジャクの飼育にもニワトリを参考にできる部分が少なからずあります。
クジャクはインドやスリランカ、パキスタンといった南アジアを原産とする鳥です。
日本にクジャクがやってきたのはおよそ1400年ほど前、6世紀のことです。
「日本書紀」にはすでにクジャクが登場しています。
日本画や襖絵にも多く描かれ、意外と日本になじみのある鳥だと言えるでしょう。
羽を広げたクジャクを見ると非常に大きく、迫力を感じられると思います。
そう、クジャクはなかなかに大型の鳥なのです。
オスの方がメスよりも鮮やかで大きく、あの長いかざり羽を持っているのもオスだけです。
このかざり羽まで含めるとインドクジャクのオスで2m、メスで80cmほどの大きさになります。
マクジャクはより大きく、オスで2.5m、メスで1mほどです。
オスの大きなものは3m近くになることもあります。
クジャクのオス・メスの違いは一目で見分けがつきます。
メスは小柄で茶色く、尾羽だけを持ち、かざり羽はありません。
オスがかざり羽を広げてメスにアピールする求愛行動は「ディスプレイ」と呼ばれます。
クジャクの性格はなかなか攻撃的であると思っておいて良いでしょう。
特にオスはけんかしやすく、同じ小屋の中で数羽のオスを一緒に飼うことはあまりおすすめできません。
自然にはもともとオス1羽にメス複数羽の群れで生活していることもあり、複数羽を飼育するならオス1羽にメス1~2羽ほどの組み合わせがよいとされています。
また、地面を歩いているイメージの強いクジャクですが、時にはかなりの高さまで飛ぶことがあります。
羽ばたくクジャクの姿もダイナミックでとても美しいですが、飼育小屋の中等では爪にひっかけられないよう気を付けましょう。
クジャクは甲高く、なかなか大きな声で鳴きます。
擬音にすると形容しがたく、「イヤーン、イヤーン」あるいは「ニャオー」のような、独特のうねりがついた鳴き声です。
繁殖期によく聞かれますが、日常ではあまり聞くことのない音です。
時に騒音としてご近所のトラブルとなってしまうこともあります。
小屋の向きを考え、覆いで防音するなど、飼育場所によっては鳴き声対策をしておくことも必要です。
クジャクの寿命はおよそ20年程度と長生きの鳥です。
大体2~3年で成鳥となり、繁殖が可能な状態になります。
クジャクには、基本的にニワトリと同じ餌を与えて構いません。
雑食で植物性の餌・動物性の餌をどちらも食べます。
ニワトリは青菜が大好きですが、クジャクも小松菜、大根の葉などを食べます。
細かく刻んであげてください。
動物性の餌としては、広く小鳥用の餌として使われるミールワームやミミズを好んで食べます。
ミールワームはゴミムシダマシ科の虫の幼虫で、イモムシのような姿をしています。
生タイプ・乾燥タイプのものが販売されています。
参考価格:463円(税込)
メーカー名:ナチュラルペットフーズ
内容量:35g
様々な栄養が配合された人工飼料にはクジャク専用のものがなく、ニワトリ用の配合飼料を与えて構いません。
1日に1羽あたり、100g程度が目安の量です。
参考価格:1,960円(税込)
メーカー名:ニッパイ
内容量:8㎏
生産国:日本
餌は1日に1~2回与えます。
餌入れにまだ残っていても、毎回きちんと取り替えましょう。
クジャクは基本的に丈夫な鳥ですが、かかりやすい伝染病もあります。
「ヒストモナス メレアグリディス」という寄生虫によって起こる病気です。
肝臓に病変が生じて出血し、食欲不振や下痢の症状が出ます。
進行すると腹膜炎を併発して死んでしまいます。
ニューカッスル病はウイルスによって発症します。
ほとんどの鳥類がかかる病気ですが、特にクジャクは発症しやすいと言われています。
発症するとくちばしが開き、呼吸が荒くなり、足が麻痺することもあります。
また、緑色の下痢便をします。
予防のためには日頃から飼育小屋の掃除をきちんとし、清潔に保っておくことが必要です。
時に小屋の消毒をすることも重要です。
家畜保健衛生所、あるいは獣医師のもとでワクチンを投与することもできます。
日頃から呼吸が苦しそうでないかどうか、排泄に異常がないかどうかをチェックしておきましょう。
発病した場合には速やかに獣医師の診断を受けてください。
一般的なペットショップではなかなかクジャクに出会えませんが、キジの仲間を販売しているショップで購入することができます。
インドクジャク1羽あたり5,000円~20,000円程度の値段です。
鳥 を扱っているオークションで購入することもできます。
クジャクはニワトリと同じような飼育小屋で飼うことができます。
小屋には以下の設備が必要です。
これに加えて餌入れや水入れ、繁殖させるのであれば産卵箱を置いていきます。
水入れはひっくり返さないようにバケツなどを使うのが良いでしょう。
複数羽で飼育する場合には、どのクジャクもじゅうぶんに餌や水をとれるよう、大きめのものを使ってください。
クジャクは砂浴びをするのが好きです。
砂に体をこすりつけると寄生虫を落とすこともできるので、運動スペースは土や砂にしておいてください。
できれば定期的に土を取り替えて、いつも清潔な砂で遊べるようにしておきたいところです。
また、大きな鳥ですからゆったり動き回るためにはかなりのスペースが必要になります。
つがいで4坪、およそ12㎡ほどの広さが望ましいと言われています。
天井も高く、2.5m~3m程度にしつらえることが必要です。
相当広い敷地がいることになりますね。
クジャクが逃げ出さないように、運動スペースは金網などでしっかり閉じておきましょう。
また、暑い国を原産とする鳥でありながら、以外にもクジャクは暑さが苦手です。
直射日光が差し込まないよう、特に夏場にはすだれなどを小屋にかけて日陰をつくってあげてください。
クジャクはとまり木にとまって眠ります。
オスがかざり羽を引きずらなくてもすむように、1m~2mほどの高さにしてあげると良いでしょう。
クジャクは1年の中でも様子が少し変わります。
気になるそのサイクルを見ていきましょう。
春から夏にかけての時期は、クジャクの見頃です。
クジャクの繁殖シーズンはだいたい5月から9月の間。
ひなや卵を購入したい人は、この時期のショップやオークションを気にしておくと良いでしょう。
クジャクは1回につき4個~8個の卵を産み、28日程度で孵化します。
それに先立ち、4月~6月にかけてオスの求愛行動であるディスプレイがよく見られます。
時期を過ぎてしまうと意外になかなか羽を開かなくなるので、この時期にたくさん見ておきたいところです。
クジャクは日中の間休む習性があるため、朝日が高くなる前の10時頃までと、少し日差しがやわらぐ15時頃から暗くなり始めるまでの間がチャンスです。
動物園にクジャクを見に行くときにも、この時間帯を目安にしておくことをおすすめします。
メスが求愛を受け入れるとお互いにくちばしをつつきあう行動が見られます。
夏から秋にかけては、クジャクの違った一面を見ることができます。
繁殖期がピークを過ぎる7月から11月にかけては「換羽」の時期にあたり、かざり羽がどんどん抜けていきます。
豊かなかざり羽が抜けてしまったクジャクは、びっくりするほど小さな鳥に見えます。
目玉模様の美しい羽を拾うことができるのもこの時期です。
拾った羽は、ふんなどがついている可能性もありますのできれいに拭き、さわった後はよく手を洗いましょう。
クジャクの羽は秋から冬にかけて、再び生え揃い始めます。
年が明ける頃にはいつもの面影を取り戻すでしょう。
次の春にまた美しい姿が見られるよう、たんぱく質をしっかり補給してあげてください。
クジャクというと羽を広げたディスプレイの姿だけをイメージしがちですが、一緒に暮らすと様々な面を見せてくれます。
かざり羽の抜けた秋の姿もとても愛らしいものです。
クジャクを飼うには複雑な設備はいりませんが、十分なスペースが必要です。
クジャクのたくましい適応力と繁殖力は魅力ではあるものの、野に出てしまった時には大変危険でもあります。
生き物に対して最後まできちんと責任を持つ、そんな姿勢を養わせてくれるのがクジャクを飼うということなのかもしれません。
これから飼ってみようと思われた方も、やっぱり見るだけの方が良いと思われた方も、クジャクの魅力をより知って頂けたら幸いです。
最終更新日 : 2021/04/07
公開日 : 2016/10/04