本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
カメレオンは爬虫類の仲間です。
あらゆる色に体を変色させる姿や、舌を伸ばして虫を捕る姿が有名ですよね。
一般的なカメレオンの主な生息地は、アフリカ大陸、ユーラシア大陸南西部、コモロ、スリランカで、森林に生息していることが多いです。
ほとんど木の上で生活しており、地上を歩行するのは上手ではありません。
尾を巻くことが可能なので、尾を木の枝に巻きつけてつかまることができます。
また、両方の目をそれぞれ別個に動かすことができるため、周囲の状況を把握しやすくなっています。
エサは主に昆虫を食べますが、大型種は鳥類や哺乳類も食べます。
中には補助的に葉や果実などの植物も摂取する種もいます。
体を動かさずに長い舌を素早く動かし、エサを取る早業も見物。
カメレオンは、その個性的な容姿や習性からペットとしての人気も高まっています。
カメレオンはご存知の通り、体を変色させることができる動物です。
もちろん、何色にでもなれる訳ではなく、変化できる色は種類や個体によって様々です。
どのように変色させるかを解説する前に、なぜ変色させるかということをご紹介します。
カメレオンが変色するのは、周囲に同化して天敵であるヘビや鳥類から身を守るためという理由が一般的に知られていますが、それだけではありません。
他にも威嚇、ケンカ中、オスからメスへのアピール、妊娠中、気温や体調の変化など、変色する要因はたくさんあります。
皮膚が様々な色に変化しているように見えますが、実は皮膚ではなく皮膚の奥に変色の秘密が隠されています。
カメレオンの皮膚には2つの層があり、この2つの層をつくっている細胞は「虹色素胞」と呼ばれています。
これは変温動物における色素細胞で、運動性を有する色素胞の中の種類の1つです。
その虹色素胞の中に、「ナノ結晶」と呼ばれる物質がたくさん存在しています。
このナノ結晶が変色の鍵を握っています。
カメレオンの皮膚は実は透明です。
外界の光はカメレオンの皮膚を通過し、その奥のナノ結晶まで届きます。
そして、ナノ結晶が反射した光が体色として表れています。
それでは、どのように体色の調節を可能にしているかというと、ナノ結晶を自在に動かすことで光の反射を調節し、体色を調節しています。
ちなみに、虹色素胞はメダカなど他にも持っている動物はいますが、 光の反射を調節させることができる仕組みを持っているのはカメレオンだけです。
カメレオンにはたくさんの種類が存在します。
ここでは飼育が難しいとされるカメレオンの中でも、比較的飼育しやすい種類をご紹介します。
エボシカメレオンは、カメレオンの中で最も飼育がしやすい種だとされています。
その名の通りオスの頭部が上へ伸びカスクを形成しており、烏帽子のように見えることが特徴。
流通しているのは、ほとんど繁殖(CB)個体です。
生息地はアラビア半島南部のイエメン共和国やサウジアラビアの森林地帯。
大きさはオスで最大65cm、メスは最大45cmほど。
体色はブルー系、パイド系、ホワイトフェイスなどがあり、カメレオンらしく環境、体調、気分等の刺激で変化します。
基本的には緑の地色に、白や褐色の帯が縦方向に入っていることが多いです。
値段は成体だと1~3万円程で、ベビーだと8,000円前後で購入できます。
ベビーは成体より飼育の手間が増え、飼育難易度は高いとされています。
初心者は成体を購入することをおすすめします。
平均寿命はおよそ5~8年です。
一般的なカメレオンは、昆虫などの動物性のエサしか食べません。
しかし、エボシカメレオンは、カメレオンの中でも珍しく「果物」や「葉」を食べることができます。
動物性のエサの方が好ましいのですが、エサの選択肢が広がるという点では、他のカメレオンと比べて飼育難易度が下がります。
エボシカメレオンの繁殖は比較的容易なので、生後1年が経つと産卵が可能になり、メスは妊娠すると体色が黒く変化します。
1回の産卵で20~72個の卵を地中に産みます。
卵は150~200日ほどで孵化し、1年経つと成熟した大人になります。
一度に産む卵が大量で、そのうえ幼体もたった1年で繁殖可能な大人になってしまうので、むやみに繁殖させると増えすぎてしまいます。
そのため、繁殖は計画的に行いましょう。
コノハカメレオンは、成長しても体長が5cmほどにしかならない 小型のカメレオン です。
オスの方が細長い体型をしていますが、オスとメスではサイズは同じ位です。
タンザニア共和国やケニア共和国などアフリカに生息しています。
「スペクトラルコノハカメレオン」や「ソマリコノハカメレオン」など、体色や体の形が異なる種類も多く存在しています。
コノハカメレオンはカメレオンの中で値段がとても安価で、5,000円前後で購入することができます。
安い固体だと2,000円程で購入できます。
平均寿命は3~4年で、動物性のエサを食べます。
コノハカメレオンの繁殖は比較的簡単です。
成熟したオスとメスを同じケージに入れ、正しく管理していれば自然と繁殖してくれます。
一度の産卵で卵を数個産みます。
パンサーカメレオンは成長すると約40~50cm程になる種類です。
カメレオンの中でも特に人に馴れやすく丈夫な種類で、初めて飼育する方にもおすすめのカメレオンとされています。
生息地はマダガスカル。
標高の高い地域に生息する固体もありますが、ほとんどは海岸近くの温暖な湿度の高い環境を好んで暮らしています。
産地により色々なカラーバリエーションがあるのも人気の理由のひとつ。
最近では、日本でのブリーディング(繁殖)も盛んで、国産繁殖個体も流通しています。
飼育難易度はカメレオンの中では低めですが、値段が高めで安くても4万円程。
高いものでは10万円を超えることもあります。
平均寿命は2〜5年、サイズは40〜52cmですが、室内飼育では35cm程度になることが多いです。
パンサーカメレオンは動物性のエサを食べます。
馴れれば手からエサを与えることもでき、舌を伸ばしてエサをキャッチする瞬間も見応え十分です。
産卵は交尾後30~45日後に地面に穴を掘って行われます。
10~46個程、卵を産み、8~10ヶ月程で孵化します。
カメレオンの飼育は難易度が高いとされています。
そのため、購入前にしっかり予備知識を入れておく必要があります。
野生のカメレオンは木の上で生活する動物で、昼行性つまり朝日が昇ったら活動開始です。
太陽で体を温めてからエサを探しに行き、エサを食べ、お腹が一杯になると木陰で休みます。
水分補給はスコールの雨で行います。
動くものしか存在をとらえられないので、生きた虫や滴るしずくが必要なのですね。
日が沈むと、カメレオンの就寝の時間となります。
人工飼育のカメレオンも、基本的には同じような生活サイクルを繰り返します。
ここではカメレオンを飼育する際に必要なものをご紹介します。
お迎えする前に、必ず準備しておきましょう。
コノハカメレオンだとプラケースでも飼育可能ですが、湿度管理やカメレオンのストレスを考えると爬虫類用のプラスチックケージが必要です。
エボシカメレオンやパンサーカメレオンを飼育する場合は、最低でも幅60cm×奥行60cm×高さ60cmは欲しいところです。
飼育するカメレオンの種類に応じて調節してください。
観葉植物や流木なども設置するので、広さは余裕を持って見積もっておきましょう。
また、カメレオンは木登りをする動物なので、高さもとても大切な要素です。
縦長の飼育ケージを使用している方が多いですね。
湿度や通気性、保温性などからネットケージも多く使用されています。
金網ケージも利用できるのですが、網目から出てしまうこともあるため、幼体は注意してください。
参考価格:11,226円(税込)
サイズ(幅×奥行×高さ):65.5×36×18.5cm
重量:9.2㎏
生産国:中国
カメレオンの給水機は、小動物用の物ではなくカメレオン専用の物を使用してください。
動く水、流れる水、滴る水を定期的に作り出せる給水機でなくてはなりません。
そのため、カメレオンの飼育で難しいのは、水を飲ませることだと言われています。
なお、カメレオンは動くものをエサとして認識します。
これは水も同様です。
カメレオン専用の給水機を使用した方が良いのは、こういった理由からです。
ドリップ式の給水機はおすすめ。
大きめの容器に水を入れ、エアレーションなどで流れをつくるのも1つの手です。
ミスティングシステムという霧を定期的に噴霧してくれる商品もあります。
ドリップ式も噴霧式も、湿度が上がりすぎてしまうことがあるので、通気性がとても大切になります。
高湿度すぎては病気になるカメレオンが多いので注意してください。
最適な湿度は70%前後です。
参考価格:3,758円(税込)
サイズ(幅×奥行×高さ):9.5×9.5×17cm
重量:143g
これは、給水機で水を飲ませるための補助道具です。
専用の給水機を設置していても、水だと認識できない場合があります。
そうなると脱水症状を起こして、とても危険な状態になります。
給水機で水を飲めていることが確認できるまで、目の前で水をポタポタ垂れ落としてスポイトで水を与える必要があります。
参考価格:1,041円(税込)
サイズ(幅×奥行×高さ):5×5×28.5cm
重量:100g
生産国:中国
ケージの温度管理で必要です。
エアコンで1日中温度を調節することが理想ですが、なかなかそうはいかないと思います。
日中は22℃~30℃、夜間は15℃~22℃に保つことが望ましいです。
参考価格:1,983円(税込)
サイズ(幅×奥行×高さ):10×22×7.5cm
重量:400g
紫外線を浴びることで、体内でビタミンD3を生成し、骨が丈夫になるなど健康的になります。
ビタミンD3が不足すると「くる病」になるので紫外線ライトは必須です。
くる病とは、カルシウムが不足して手足に力が入らなくなる病気です。
エサも食べなくなってしまい、病院へ連れていかないといけなくなります。
参考価格:1,854円(税込)
サイズ(幅×奥行×高さ):9.5×9.5×13.95cm
重量:80g
生産国:中国
カメレオンの飼育環境を作る上で重要なことは、自然の環境に近付けてあげることです。
流木、人工枝、ケージ内でのカメレオンの足場になります。
観葉植物は、より自然状態に近づくため、置くことが望ましいです。
写真のようにケージとセットで販売されているものもあります。
給水機などに辿り着けるように、ちゃんと「道」を意識して設置しましょう。
参考価格:1,249円(税込)
サイズ(幅×奥行×高さ):幅5〜7cm、長さ13~22cm
カメレオンは湿度が高い環境を好むので、湿度管理でケージ内に吹きかけるために使います。
目が細かい物を選ぶと良いです。
100均でも購入することができます。
ただ、常にジメジメしている状態は良くありません。
かといって常に乾燥していてもいけません。
湿度が高い状態と、乾燥している状態をしっかりつくり出してあげなければなりません。
朝と晩の2回、しっかりと湿度を高めてあげましょう。
闇雲に湿らせるのではなく、風通しを良くし、蒸れないようにてください 。
参考価格:1,200円(税込)
サイズ(幅×奥行×高さ):約18×11×27.5cm
重量:325g
生産国:中国
カメレオンは、昆虫と無脊椎動物を食べて生活しています。
主食はコオロギになることが多いです。
フタホシコオロギが有名で、爬虫類ショップならどこでも入手できます。
自分で繁殖させるか、定期的に購入するなどして用意します。
コオロギは、飼育しているカメレオンの頭の大きさの1/3ぐらいがちょうどいい大きさです。
水と同様に、エサも動いていないとカメレオンは認識しないので、コオロギを生かした状態で与えなければなりません。
そのため、カメレオンを飼育する時は、エサのコオロギも一緒に飼育する必要があります。
なお、カメレオンのエサの量は明確に決まっていません。
生後1年ごろまではほぼ毎日食べるだけたくさん与えます。
1年を過ぎた頃からは2~3日に1回、与えすぎない程度にします。
同じ昆虫だけでは飽きて食べなくなることもあるので、バッタ、カマキリ、セミなど昆虫採集をして与えている飼い主さんもいます。
その場合、口に入る大きさかどうかを確かめるようにしましょう。
偏った昆虫だけでは、代謝性疾患などになりやすいので、カメレオンに与えるコオロギにはビタミンやミネラルをダスティングしてから与えることも大切です。
サプリメントによるカルシウムやビタミンの補給を忘れないようにしましょう。
参考価格:1,170円(税込)
体長:2~2.8cm
数量:約80匹
カメレオンを飼育する上で気をつけるべき点がいくつかあります。
これらがカメレオン飼育の難しいところであり、しっかり理解しておかなければならない点なのです。
カメレオンは、ペットとしては 非常にデリケート な生き物です。
ストレスを感じやすいので、他のカメレオンとの複数飼いはできません。
1匹だけにしていても、別ケージのカメレオンが視界に入ったり、ガラス越しに自分の姿が写っただけでもストレスになってしまします。
カメレオンの視界に入るところで飼い主が急に動いてもストレスを感じるほどの繊細さなので、ケージを置く場所をよく考えなければなりません。
見下ろされるとストレスを強く感じるので、人の目線より高い位置にカメレオンがいる場所を作るのが理想です。
そのため、ケージは床置きではなく、台の上に乗せるようにしましょう。
また、 ケージ内に姿を隠すことができる場所を作ってあげてください。
すでに軽く触れましたが、カメレオンは基本的には 動いているものをエサとして認識しています。
これは水も同様です。
つまり、エサに関しては生きているエサしか食べません。
エサとなるコオロギも飼育するか、生きている状態で頻繁にエサを手に入れる環境が必要になります。
水も、流れがあったり水滴のついた葉が揺れていたり、水滴が落ちていたりしないと飲み水として認識しません。
給水機や霧吹きも工夫が必要です。
カメレオンにエサを与えるのは、並みのペットよりはるかに難しいです。
カメレオンは熱帯性が高い動物であるため、寒さには当然弱いです。
しかし、高温すぎてもいけないので、適温のラインをしっかり守る必要があります。
また、 湿度は比較的高く保つ必要がありますが、蒸れないように風通しはしっかり良くしておかなければなりません。
当然、風通しを良くすれば、ケージ内の保温も難しくなるため、温度と湿度の調整は簡単ではありません。
一番はエアコンをつけっぱなしにすることが理想です。
ゆったりとした動きがかわいらしいカメレオン。
確かに飼育は簡単ではありませんが、ペットとしての魅力は充分あります。
飼育難易度が高めということもあり、事前に飼育ガイドを2冊ほど読んでから、自分に合ったカメレオンのお迎えを検討してみてください。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2023/07/19
公開日 : 2016/10/03