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三角の耳までふかふかとした毛並み、モコモコと丸まったシッポ、引き締まった口元、黒く丸い鼻、お尻がフワフワで白いところが魅力的です。
また、誰にでも愛想を振りまくということは少ないため、以前は番犬としての地位も確立していました。
どの柴犬もそれぞれに個性があり、一概に性格を決めつけることはできません。
それでも大体の柴犬は足先を触られるのが嫌いで、嫌なことは嫌とハッキリ言えるタイプが多いです。
また、飼い主さまにべったりと甘えるよりは、サッパリとした関係を望みます。
大きな音や高い音を嫌うような繊細な性格であることが多く、近所で花火大会がある時には必ず下痢になってしまう柴犬もいます。
そのためか、子供が嫌いで噛んで困るというご相談も頂いたことがあります。
ごく稀に優しく子供の面倒を見てくれる柴犬もいるため、やはり個性というものは幅広くあり一概には言えません。
病院においての表情では、物凄く喜んで診察台で甘えてくれる柴犬はほとんどいません。
だいたいの柴犬は、不穏な雰囲気を感じ取ってか、触ろうとすると低く唸っています。
それでも事前に唸ってくれているので、こちらとしては気持ちが分かりやすくありがたいと言えます。
中には何の予兆もなく噛む犬種もいるため、比較すると柴犬は表現豊かで可愛らしい犬種と言えるでしょう。
大型の洋犬が10歳前後で寿命がきてしまうことが多いなか、柴犬は基本的に12歳〜13歳までは何事もなく健康で過ごし、15歳くらいから寿命を迎えることがことが多く、20歳近くまで頑張ってくれることもあります。
内臓系(肝臓や腎臓、膵臓)や循環器系(心臓や肺)に問題が出やすい犬種ではないため、生まれつき問題が無く、良質のご飯(総合栄養食)と適切な運動をしていれば、15歳以降まで何の病気にもなったこともないという柴犬も多いです。
近年の住宅事情から、無駄吠えが問題行動として飼い主さまを悩ませることが増えているのですが、柴犬でこの悩みを聞くことは少ないです。
犬なので意思表示として吠えることはあるかもしれませんが、他犬種よりも飼い主さまへの依存や要求が高くないため、過剰な吠えに繋がらないのかもしれません。
ただ「嫌なことは嫌」と言えるタイプが多いので、意思表示に噛むという方法を学習してしまうと、後にとても大変なことになります。
小さな頃から体に触られることにも慣れて、爪切りや歯磨きにもご褒美で良い印象をつけておくと良いでしょう。
寿命に直結するような病気(腎臓病や肝臓病、心臓病など)が出ることは少ないのですが、アレルギー体質である柴犬をよく見かけます。
その症状はごくごく軽度なものから、毎日の飲み薬でも抑えきれないほどの重度なものまで様々です。
その他にも柴犬によく見られる病気はあるので、よく理解して、正しい対処をするようにしましょう。
犬のアトピー性皮膚炎の参考画像ですぐに出てくるものは柴犬です。
それほど柴犬に好発する病気であると知っておきましょう。
アトピー性皮膚炎は、遺伝的な問題(つまり生まれつきの体質)によって、皮膚のバリヤー機能が弱く、外側からの様々な刺激に過剰に反応してしまう状態です。
特徴的な症状は、眠れないほどの痒みや、皮膚が黒く変色するほど長く続く皮膚炎が、目や口の周り、内股、脇、足先などに左右対称に出ます。
症状が完治することはほとんどなく、何かをすれば治るというものではありません。
食べ物やシャンプー、飲み薬や塗り薬を常に使用することによって、繊細な皮膚とお付き合いしていくと考えてください。
季節によっても変化するので、悪化した時には重点的に治療をして、良化してきたときには、治療も少しずつ軽減してみるという形になります。
良化したので、治療を止めたり環境の管理を止めるとまた悪化してきてしまうので、必ず獣医師の診察と判断に従うようにしましょう。
体質による皮膚炎は、ノミやダニ、細菌や真菌(カビ)の感染のコントロールが大切です。
感染が併発していることも多いので、皮膚の検査はしっかりと実施してもらいましょう。
体質による皮膚炎は重度なものであれば治療薬と療法食、薬用シャンプーなどで多大な費用がかかるため、その覚悟が必要です。
柴犬が自分の尻尾に対して唸り声をあげたり、追いかけまわしてクルクルと回ったり、血が出る程に噛みちぎる…そんな行動が見られる場合は注意が必要です。
シッポに皮膚炎や痒みなどの明確な原因も見当たらないのに、執拗にシッポを追いかけまわして止まらないという声も聞きます。
色々な情報をお聞きして、噛む様子を動画で確認し、皮膚の検査や血液検査を実施しても何も問題が無い場合には、『てんかん発作』による常同行動(自分でやりたくてやっているわけでは無い、遺伝的な神経の問題行動)の可能性があります。
無理に噛むのを止めさせたり、クルクル回るのを止めようとすると、間違って飼い主さまが噛まれてしまうこともあるので、手を出すのはやめましょう。
まずは尾かじりの動画を撮影し、どんな様子なのかを獣医師に伝えるようにしましょう。
確定診断には全身麻酔での画像診断(MRIやCT撮影)が必要です。
お薬によって治まることもあるので、シッポが千切れる前に受診するようにしてください。
もともと大きな音や環境の変化に敏感な柴犬ですが、雷や花火には特に恐怖を感じるようで、過剰な興奮やパニック状態になってしまうケースがあります。
雷が鳴ると呼吸が速くなり、ソワソワと落ち着かない様子で歩き回ったり、ご飯も食べず狭くて薄暗い部屋や物陰に入り込んで震えているという柴犬さんは多いようです。
いざ近くに雷が落ちて爆音が鳴り響くと、パニックによってケージを破壊したり、何かの拍子に逃走してしまうことがあり危険です。
もし飼い主さまが雷を怖がっていると、犬も更にパニックになってしまうので、飼い主さまは怖くてもいつも通りを装いましょう。
「雷なんて鳴っている?」という演技で乗り切ってください。
「いや、自分も怖くて犬と共にパニックです…」という方は、なるべく音が聞こえない部屋に移動してください。
どうにも恐怖心がひどく、パニックによってケガをしてしまうほどであれば、気持ちの落ち着くサプリメントを活用しましょう。
また、涎を流して震え、尋常ではない恐怖心を味わっている様子があれば、抗不安薬を獣医師から処方してもらいましょう。
雷の予報がある日には、ゴロゴロし始める前にお薬を飲ませてあげるのが良いです。
日本犬の多くは長生きで、その結果として認知症を患います。
11歳~12歳の犬の約28%、15歳~16歳の約68%で認知機能の低下を示すという報告があります。
人間のように、原因による細かい定義や分類は無いものの、画像診断(MRI)を実施すると、犬も人と同様に脳の萎縮などの変化が見られ、様々な行動の変化を見せるようになります。
その症状には家の中をウロウロとずっと歩く、障害物をよけられずにじっと立ち止まったままになる、怒りやすくなる、昼夜が逆転する、トイレのしつけを忘れる、何も無い所を見つめたり吠えたりする、ずっと舐め続けるなど、様々なものがあります。
このうち、もっとも飼い主さまを悩ませるのが、昼夜の逆転による夜鳴きです。
昼間はずっと寝ているのに、飼い主さまが寝ようかなというタイミングで夜鳴きが始まります。
キュウキュウと甘えるパターンもあれば、はっきりとワン!ワン!と吠えるパターンもあります。
また、飼い主さまが対応するまで鳴き続けることが多く、集合住宅などで周囲に鳴き声が迷惑となっていないかどうかと、精神的な負担になることも多いです。
優しい飼い主さまは、夜中でも鳴き声が聞こえると「トイレかな?歩きたいのかな?」と対応してあげるため、全く寝られずに体調を崩してしまう方もいます。
加齢による問題行動は、飼い主さまが我慢をすればなんとか乗り切れてしまうこともあり、気付かぬうちに家族にとって大きな負担になっていることがあります。
困っている、大変な事態になっていると気付いていない飼い主さまも多いのですが、犬にも認知症があるという事実を知って、獣医師に相談するようにしてください。
まだ症状が軽い、不自然な行動が増えてきた段階であれば、脳神経に対するサプリメントが有効である場合もあります。
ただし、確証のないものも多く売られているため、必ず獣医師から処方してもらいましょう。
また、不安感が多く出ているための症状に対しては、抗不安薬を服用するのも効果的です。
飲み始めてから2週間以上しないと効果が発現してこないことが多いので、すぐに飲むのを止めるのは良くありません。
用法と用量は必ず守る必要があります。
その他、夜鳴きや昼鳴きには犬本人にも体に負担が出てしまうため、鎮静剤で落ち着いてもらうこともあります。
ただ、落ち着くというより、ぐっすり寝てしまうという表現が正しいかもしれません。
高齢では効き目が強くでることもあるため、二日ずっと寝てしまったということもあります。
ケースバイケースで、薬との相性は服用してみないと分からないことが多く、事前に獣医師に確認しておくことが大切です。
飼い主さまにとっても、寝られない犬にとっても鳴き続けることは非常に辛い状況です。
薬で無理に寝かしてしまうのは可哀想と思うかもしれませんが、睡眠は人にも犬にも大切なので、犬のためにもお薬を使うことに罪悪感を持たなくても良いでしょう。
トリミングといえば、トイプードルやヨークシャーテリア、マルチーズなど、毛がどんどん伸びる犬種に必須なものです。
しかし、実は皮膚の繊細な柴犬にもとても重要です。
まず、多くの柴犬は水に濡れることが好きではありません。
さらに嫌なことは嫌としっかり表現するので、お家でしっかりと洗うことが困難なケースが多いです。
柴犬の魅力であるフワフワの毛質は、シャンプー後のブローにとても時間がかかり、家で行うには困難でしょう。
犬自身も同じ体勢では疲れてしまうこともあるため、トリマーのプロの技術でしっかりと根本から乾かしてもらうことが大切です。
トリミング犬種のように毛足が長いわけでもなく、カットが必須なわけでもない柴犬ですが、トリミングサロンへ行くとい選択肢は持っておきましょう。
繊細なタイプが多い柴犬は、排泄時に毛足に汚れがつくのをとても嫌がります。
トリミングサロンでオシリ(肛門)周りの毛をサッパリと短く切ってもらい、清潔に保てるようにしましょう。
また、お尻を丸くカットしてもらうと、柴犬の可愛さに磨きがかかるためにおすすめです。
季節の変わり目に毛の生え変わりがあり、大量の抜け毛が生じます。
この抜け毛をしっかりとブラシで取り除くことが出来る飼い主さまは少なく、プロのトリマーでも一時間近くブラッシングに時間がかかることがあるほどです。
家でのブラッシングは毎日のメンテナンスとして大切ですが、最低でも三ヶ月に一度はトリミングサロンで抜け毛をしっかりと処理してもらいましょう。
柴犬は、個体差はあるものの攻撃性が出てしまう可能性があり、飼い主さまが噛まれて困るというケースも多く存在します。
本来は家族として愛らしい存在になるはずが、噛まれるかもしれないと恐怖心を持って接するのでは、柴犬にも飼い主さまにも悲しい状況と言えるでしょう。
そうならないためにも、子犬の頃から社会化を学ぶことが大切です。
ところが、これが非常に難しく、知識も時間も必要で、飼い主さまだけで実施するのは負担が大きいでしょう。
そこで、最近は犬の幼稚園を活用する方が増えています。
飼い主さまの仕事の関係で昼間はずっと一人でお留守番をするというのは、犬の生態からすると無理のある状況です。
無理のある状況から問題行動(吠え、噛みなど)が発生することが多く、解消することも困難です。
人と同様に、子犬の時に他の子犬と触れあう、プロのトレーナーによって基本的なコマンドを学ぶというのが犬には必要です。
また、飼い主さまにも、正しい犬との接し方をそこで学んでいただくという大切な場所でもあります。
柴犬が幸せに人間社会に溶け込むためにも、犬の幼稚園という選択肢が大切であることを知っておきましょう。
柴犬は致命的な病気にもかかりづらく、長寿である傾向にあります。
性格的には攻撃性が出る可能性もありますが、だいたいは事前に警告してくれる(うなって牙を出す)ので、分かりやすくて良いと言えます。
高齢の柴犬の介護に疲れているけれど、それが常態化して受け入れてしまっている飼い主さまも多いため、そこは是非とも獣医師に相談して、少しでも介護の負担を軽減できるようにしてください。
執筆・監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2021/09/15
公開日 : 2021/09/15