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烏帽子を被っているようなカメレオン「エボシカメレオン」の特徴や飼い方を解説






「エボシカメレオン」という、中東のイエメンに生息するカメレオンをご存知でしょうか。
エボシカメレオン最大の特徴は、体が大きく、頭にまるで「烏帽子」のような突起が生えていることです。

飼育が難しいといわれるカメレオンの中では比較的飼いやすく、カメレオンの入門種とも呼ばれています。
しかし、基本的な飼育難易度は高く、は虫類飼育の初心者にすすめられる動物ではありません。

本記事ではエボシカメレオンについて、その生態や飼い方を詳しく解説していきます。

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【目次】烏帽子を被っているようなカメレオン「エボシカメレオン」の特徴や飼い方を解説

 

エボシカメレオンの生態

分布

大きさ

鳴き声

食性

特徴

繁殖

寿命

エボシカメレオンの生態まとめ

エボシカメレオンはペットとして飼えるのか

エボシカメレオンのお迎え方法

エボシカメレオンの値段

エボシカメレオンの品種(カラーバリエーション)

エボシカメレオンの飼い方

エボシカメレオンのエサ

飼育ケージ

止まり木や植物など

保温器具(保温球、バスキングライトなど)

温度計・湿度計(温湿度計)

ドリッパー・霧吹き

紫外線ライト

さいごに

 

 

エボシカメレオンの生態

 

エボシカメレオン全身

 

エボシカメレオンは 「爬虫綱 有鱗目 カメレオン科 カメレオン属」 の動物です。

成長するにつれて頭部が伸び、その様子がまるで「烏帽子(えぼし)」のように見えることからこの名前が付けられました。

 

そんなエボシカメレオンの飼い方について解説する前に、まずはその生息地や大きさ、特徴などを見ていきましょう。

 

分布

 

枝の中にいるエボシカメレオン

 

野生のエボシカメレオンはイエメン、サウジアラビア南部の高地にある湿度の高い森林に生息しています。

日中に活動する昼行性の動物で、群れは作らずに単独で生活しています。

 

大きさ

 

エボシカメレオンの大きさ

 

エボシカメレオンの体長はオスで60cm、メスは45cmほどです。

ふ化したてのベビーの体長は5cmほど、体重は1gほどですが、非常に成長が早く、あっという間に大きくなっていきます。

 

鳴き声

 

エボシカメレオンの鳴き声

 

エボシカメレオンは鳴かないため、鳴き声はありません。

なお、鳴き声ではありませんが、機嫌が悪い時や威嚇をする時には体をふくらませて体の色を変化させ、「シャー」という威嚇音を出すことがあります。

 

食性

 

エボシカメレオンの餌

 

エボシカメレオンは動物食(肉食)傾向の強い、雑食性の動物です。

野生では昆虫類や節足動物を主食にしていますが、カメレオンの仲間にしては珍しく植物の葉や果実などの植物質も食べます。

 

特徴

 

黄色い背景のエボシカメレオン

 

エボシカメレオン最大の特徴は名前の由来にもなっている、「烏帽子」のようなカスク(頭部の突起のこと)です。

カスクは体の成長とともに性別を問わず伸びていきますが、オスは特に著しく発達します。

 

カスクはメスへのアピールになるほか、夏場はラジエーターのような役割を果たし、体温を下げる役割があるのではないかと考えられています。

 

繁殖

 

 

エボシカメレオンはオスメスともに生後5~6ヵ月ほどで性成熟を迎え、繁殖可能になります。

 

メスは妊娠すると体の色が黒色に変色し、産卵の時を迎えると地中に楕円形の卵を産み落とします。

1回の産卵で20~80個の卵を産み、卵は150~200日程度でふ化します。

 

オスとメスは体の大きさで見分けられますが、体が小さいうちに性別を見分けたい時は後肢のかかとを確認します。

オスのかかとには突起が生えていますが、メスにはないため簡単に見分けられます。

 

寿命

 

エボシカメレオン目のアップ

 

エボシカメレオンの寿命は5年ほどだといわれています。

野生下、飼育下とも寿命に大きな違いはないものと考えられています。

 

エボシカメレオンの生態まとめ

 

分類:爬虫綱 有鱗目 カメレオン科 カメレオン属

学名:Chamaeleo calyptratus

英名:Veiled chameleon

別名:ヘルメットカメレオン

分布:イエメン、サウジアラビア南部

大きさ:オスで60cm、メスは45cmほど

鳴き声:鳴かない

食性:動物食(肉食)傾向の強い雑食

繁殖:

性成熟・生後5~6ヵ月ほど
産卵数・20~80個
ふ化までにかかる日数・150~200日程度

寿命:5年ほど

 

 

エボシカメレオンはペットとして飼えるのか

 

枝につかまるエボシカメレオン正面

 

エボシカメレオンは、ペットとして飼育できます。

この項目ではエボシカメレオンのお迎え方法と、その値段とカラーについて解説します。

 

エボシカメレオンのお迎え方法

 

右上を見るエボシカメレオン

 

エボシカメレオンは、ペットショップで販売されています。

 

カメレオンの中でも特に人気が高く、流通量が多い種類です。

入手難易度は低めですが、特に初めてカメレオンを飼う方はカメレオンをはじめとしたは虫類に関する専門知識があり、信頼できるショップから購入することをおすすめします。

 

なぜなら、そういったショップであれば、購入後も飼育の相談に乗ってくれる可能性が高いからです。

 

エボシカメレオンの値段

 

左上を見るエボシカメレオンの顔アップ

 

エボシカメレオンは1匹1万~4万円程度で販売されています。

 

傾向としてベビー(赤ちゃん)は比較的安価で、アダルト(成体)はやや高価になる傾向があります。

また、カラーや状態によってもやや価格に幅があります。

 

エボシカメレオンの品種(カラーバリエーション)

 

エボシカメレオンのカラーバリエーション、色

 

エボシカメレオンのカラーとしてはブルー系(ブルー、ブルーダイヤモンドなど)、パイド系(パイド、パステルパイド、ホワイトフェイスなど)があることが知られています。

 

同じカメレオンの仲間ですが、パンサーカメレオンほどのカラーバリエーションはありません。

 

 

エボシカメレオンの飼い方

 

白背景のエボシカメレオン

 

エボシカメレオンは“カメレオンの中では”飼いやすい種類だといわれています。

そうとはいえ、飼育の難易度は高いため、お迎えする際には入念な準備を行いましょう。

 

この項目では、エボシカメレオンを飼育するために必要なものを説明していきます。

 

エボシカメレオンのエサ

 

 

エボシカメレオンの主食にはコオロギ(フタホシコオロギ、ヨーロッパイエコオロギ)、デュビア(ゴキブリ)を与えます。

 

ただし、コオロギやデュビアなど単一のエサを与え続けると、栄養が偏る可能性があります。

そのため、エサを与える際は、は虫類用のサプリメント(カルシウム剤)をまぶしてから与えましょう。

 

 

その他には、小動物やは虫類用として販売されている、ワーム類(ミルワームやシルクワームなど)も与えられます。

ただし、ワーム類は脂質が多いこと、主食への嗜好性が落ちる可能性があることから、拒食や病気の時など特別な時に与える程度に留めておいた方が良いでしょう。

 

また、エボシカメレオンの主食はあくまで昆虫ですが、ときおり野菜や野草、果実類も与えましょう。

野菜はコマツナ、サラダ菜、サニーレタス、白菜、キャベツなど、果物はイチゴ、リンゴ、オレンジ(ミカン)など、野草はタンポポなどが与えられます。

 

エサの頻度についてはベビーのうちは毎日、ある程度成長したら2~3日に1回与えると良いでしょう。

個体差があるため、生体の様子を見て腹八分目に与えることを意識しながら与えるようにしてください。

 

拒食について

 

エボシカメレオンは突然エサを食べなくなる、「拒食」を起こしやすいことが知られています。

拒食を起こす理由は様々ですが、理由としては下記が考えられます。

 

  • 強いストレスがかかった
  • 脱水を起こしている
  • 気温が急激に変化した
  • エサに飽きた
  • 体調が悪い

 

拒食が起きた場合はなるべく早く原因を探って突き止め、解消するようにしてください。

エボシカメレオンが数日の拒食を起こすことは珍しくありませんが、不安に思うことがあればすぐには虫類の診察ができる動物病院に連れていきましょう。

 

飼育ケージ

 

 

ケージは十分な高さがあり、エボシカメレオンがある程度動き回れる大きさの物を選びましょう。

特にオスは最大60cmとかなり大きくなるため、最初から大きめのケージを用意するか、成長段階に合わせてケージを変更するようにしてください。

 

ケージはは虫類用のケージ、もしくは鳥カゴや水槽を使うと良いでしょう。

水槽は見栄えは良いものの湿気がこもりやすいため、どのケージが良いかわからないという方は、は虫類用ケージや鳥カゴといった通気性が良いものを使うことをおすすめします。

 

カメレオンはストレスに弱く、他の生物から視線を感じると強いストレスを感じるといわれています。

特に野生では空を飛ぶ猛禽類に狙われることが多いため、見下ろされる視線にストレスを感じる傾向があるようです。

そのため、できればケージは人間の目線よりやや高い位置に置くと良いとされています。

 

止まり木や植物など

 

 

エボシカメレオンは樹上性の動物であり、野生では1日のほとんどを木の上で過ごします。

そのため、ケージには止まり木や植物を複数個レイアウトし、床ではないところを自由に移動できる状態にしてください。

 

止まり木は市販されている物でも、公園や庭に落ちている枝や剪定された枝を使っても構いません。

市販品以外は念のために一度煮沸消毒を行い、しっかりと乾かしてから使うことをおすすめします。

 

なお、エボシカメレオンは植物を食べる習性があるため、ケージ内に観葉植物(ポトスやガジュマル、ベンジャミンなど)をレイアウトするのもおすすめです。

食べられて枯れてしまうこと、毒性などが気になる場合は、人工の観葉植物を使っても良いでしょう。

 

保温器具(保温球、バスキングライトなど)

 

 

エボシカメレオンはは虫類であり、気温に合わせて体温が変化する 「変温動物」 です。

 

そのため、ケージの中には保温球やバスキングライトを設置し、体を温められる場所を作ってください。

自分で温度調整ができるように、ケージの中で温度勾配を作ってあげるのが理想です。

 

温度は一番暖かいところ(ホットスポット)で30~32℃ほど、低いところで26~29℃ほどに設定します。

生息地の環境に近づけるために夜はもう少しだけ温度を下げ、昼と夜の温度差をつけた方が良いとされています。

 

なお、カメレオンは熱さに弱いため、夏場の温度管理には特に注意する必要があります。

夏場は必ずエアコンを入れ、室温が30℃を超えないように調整してください。

 

温度計・湿度計(温湿度計)

 

エボシカメレオンの体調を管理するためには、温度計と湿度計が欠かせません。

ケージ内に複数個の温度計と湿度計を設置してどの部分が暖まりやすいのか、湿度がたまりやすいのか把握しておきましょう。

 

ドリッパー・霧吹き

 

 

エボシカメレオンの健康を維持するためには、しっかりと水を飲ませることが非常に大切です。

なぜならエボシカメレオンは水分不足になると脱皮不全を起こし、指先などが切れて落ちてしまう可能性があるからです。

 

エボシカメレオンは樹上で暮らしているため、水分は植物の葉や樹皮から流れ落ちる水(露)から摂取しています。

そんな習性があることから、エボシカメレオンは動かないと水を水だと認識できないといわれています。

 

そのため、エボシカメレオンは他の動物のように、水入れを用意してもそこから水を飲むことはありません。

エボシカメレオンに水を飲ませるためにはは虫類用のドリッパーを使って葉っぱや枝にぽたぽた水を落とす、あるいは葉っぱや枝、ケージの壁に霧吹きで水を吹きかけるなどの工夫をする必要があります。

 

紫外線ライト

 

 

エボシカメレオンはカルシウムを吸収するために、紫外線を浴びてビタミンD3を合成する必要があります。

日光浴ができる場合は日光浴をさせますが、日光浴をさせることが難しい場合は、紫外線ライトを使用して紫外線を浴びさせてください。

 

紫外線を浴びない、もしくは浴びる量が足りない状態が続くと、「クル病」を発症する可能性があります。

クル病になると骨が変形してしまう、エサが食べられなくなる、木に登れなくなるといった様々な症状が出てしまいます。

 

クル病を始めとした病気を予防するためにも、必ず日光浴か紫外線ライトの設置を行ってください。

 

 

さいごに

 

サムネイルと同じエボシカメレオン

 

飼いやすく魅力的なカメレオン、 「エボシカメレオン」 について解説してきました。

エボシカメレオンはカメレオンの中では性格が温厚で、温度や湿度にも寛容な傾向があります。

 

しかし、記事中で何度も説明した通り、カメレオンの仲間は総じてストレスに弱く、飼育難易度が高い動物です。

そのため、カメレオンを飼う前には事前にトカゲやヘビなどのは虫類を1度飼育して「は虫類を飼うこと」に慣れておくこと、最低でも1冊以上のカメレオンの飼育書(本)を読んでおくことを強くおすすめします。

 

そうとはいえ、エボシカメレオンはやはりカメレオンの中では飼いやすく、繁殖にも挑戦しやすい種類です。

エボシカメレオンを自宅に迎えたら、繁殖させることも視野に入れつつ、日々大切に飼育してあげてください。


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