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【獣医師が解説】突然の災害時にペットを守るために飼い主が出来ること






災害はいつ何時起こるか分かりません。
そんなとき、愛するペットを守るためにどうすれば良いのでしょうか。

「避難所にペットを連れて行くときはどうすれば良いのか?」「持ち物は?」「犬猫以外の鳥やハムスター、爬虫類などの動物は連れて行けるのか?」など、疑問や不安な点は沢山あると思います。

本記事では、災害時にペットと避難する際のポイントや、日頃から出来る災害対策についてお話します。
大切なペットのために、出来ることから災害対策を始めていきましょう。

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【目次】【獣医師が解説】突然の災害時にペットを守るために飼い主が出来ること

 

ここが大変!ペットとの同行避難

家から避難するときの問題点

避難所での問題点

日頃の備え

ペットの健康管理、飼養管理(しつけなど)

家の備え(家具の転倒防止など)

迷子にならないために

災害時の持ち物、大切なのはこれ!

ペットの健康や命にかかわる物

キャリーバッグやケージ

トイレ用品

衛生用品

ガムテープ

目隠しになる毛布やタオル

その他いつも使っている物

もっと話そう!災害時のペットのこと

避難所と経路の確認

集合場所や預け先の確認

被災地でペットを飼養する際の注意点

1. 避難所

2. 車の中

3. 自宅

犬猫以外の動物はどうすれば良いの?

同行出来る動物は、避難グッズの準備を

同行出来ないとき

預け先の確保を

さいごに

 

 

ここが大変!ペットとの同行避難

 

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地震や豪雨などで避難所へ行かなければならないとき、ペットとの同行避難をすることになります。

人だけで避難する場合と比べ、ペットを連れて行くことは様々な困難を伴います。

 

実際に起こった災害での事例を参考に、ペットと避難する際に想定される問題点についてお話します。

 

家から避難するときの問題点

 

災害が起こり、いざ家から避難しようとしたときに、家具が倒れたり、床一面にガラスが飛散したりして、人もペットも怪我をしてしまうことが考えられます。

また、猫を外飼いにしていて、被災当時、家に猫がいなかったため、同行避難出来なかったという事例も多く見られました。

 

「ペットを家から連れ出したところまでは良かったけれども、ペット連れを受け入れている避難所がどこにあるのか分からず困った」といった声もありました。

 

避難所での問題点

 

ペット受け入れ可能な避難所が見つかっても、課題は沢山あります。

東日本大震災や熊本地震のときには、実際に多くのペット連れの方が、ペットの食べ物の確保やしつけの問題でのトラブルに苦労したようです。

 

避難してしばらくすると、人への支援物資は届けられますが、ペットフードの支援はなかったり、避難者とトラブルになって、やむを得ず車中泊になったりした事例が見られました。

 

また、救援物資のペットフードが手に入った場合でも、「普段食べ慣れていないフードを食べなくて困った」「ペットに持病があるが、療法食の入手が難しかった」などペットの健康管理に苦労された方が多かったようです。

 

 

日頃の備え

 

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なるべく安全に避難し、安心してペットとの避難生活を送るために、日頃から出来ることがあります。

 

ペットの健康など「ペットに対する備え」と、ケージや家具の転倒防止など「家の中の備え」を万全にしておきましょう。

また、万が一迷子になってしまったときに備えることも重要です。

 

ペットの健康管理、飼養管理(しつけなど)

 

日頃からペットの健康管理をしておくことは、感染症予防の点からも重要です。

ご自身のペットを守ることはもちろん、飼い主さんや避難所生活をする他の避難者、ペット同士の感染を防ぐことにも繋がります。

 

また、基本的なしつけをしておくことで、周りとのトラブルも防ぐことが出来ます。

 

健康管理

 

犬猫は、ワクチンを接種し、ノミ・ダニ、フィラリアなどの寄生虫を予防、駆除しておきましょう。

臭いによるトラブルも多く見られます。

 

皮膚病予防のためにも、日頃からシャンプーやトリミングにより身体を清潔に保つことも大切です。

 

飼養管理

 

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犬の場合、徒歩での避難の場合はリードをつけて犬を歩かせることも考えられます。

「待て」「おいで」「お座り」「伏せ」などの基本的なしつけをしておくことで、犬がパニックになって逃げてしまうのを防ぐことが出来ます。

 

また、排泄場所に困らないように、ペットシーツの上など決められた場所で排泄が出来るようにしておくと良いでしょう。

自己流で言うことを聞く場合は問題ありませんが、難しい場合には、動物病院や訓練所などが主催する、しつけ教室に参加することをお勧めします。

 

猫の場合は、災害時に行方不明にならないように、出来るだけ室内で飼うようにしましょう。

 

その他、どんな動物にも言えることですが、ケージなどの中に入ることを嫌がらないように、日頃から慣らしておくことが大切です。

他の人や動物を怖がらないように慣らしておくことも心がけましょう。

 

家の備え(家具の転倒防止など)

 

ペットの上に物が落ちて怪我をすることがないように、家具やケージを固定しましょう。

 

外飼いの場合は、小屋の設置場所が適切か確認します。

外塀やガラス窓の近くは、小屋が塀でつぶされたり、ガラスが飛んできて怪我をしたりする可能性があるので避けてください。

 

迷子にならないために

 

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万が一逃げてしまったときのために、首輪に連絡先を書いた「迷子札」を付けておきましょう。

また、首輪だけだと外れてしまう可能性もあるので、マイクロチップの挿入を行っておいた方が良いです。

 

マイクロチップは、専用のリーダーで読み取ることで、飼い主や動物の情報が分かる仕組みになっています。

マイクロチップを挿入した場合には、必ず日本獣医師会などで情報登録を行ってください。

 

 

災害時の持ち物、大切なのはこれ!

 

emergency_bag

 

避難する際の持ち物はまとめておくと、いざという時安心です。

優先順位の高い順に見ていきましょう。

 

ペットの健康や命にかかわる物

 

優先して持っていくべきものとしては、薬や療法食など健康にかかわるものです。

 

療法食は、少なくとも5日分、出来れば7日分以上持って行くのが理想です。

普段から余分にストックしておき、古いものから順に使っていくと、避難するときにフードがないという事態を防ぐことが出来ます。

キャリーバッグやケージ

 

避難時に欠かせないアイテムです。

持ち運びしやすいものを選び、普段から中でおやつを与えるなどして慣らしておきましょう。

 

犬の場合は、予備の首輪とリードも用意しておきましょう。

 

トイレ用品

 

cat_toilet

 

慣れない場所でも出来るだけ動物にストレスを与えないために、トイレ用品はいつもと変わらないものを使用してください。

 

猫の場合は、いつもの猫砂に加え、使用済猫砂の一部を持って行くと良いでしょう。

排泄物の処理に困らないよう、ビニール袋も忘れずに準備しておくと安心です。

 

衛生用品

 

災害時は埃が多く発生するため、目や耳のトラブルも起こりがちになります。

ウエットティッシュや清浄綿などを持っておくと、目や耳など顔周りを清潔に保つことが出来ます。

 

ブラシやタオルなども皮膚を綺麗に保つのに有用です。

 

また、猫の場合は洗濯ネットを持って行くと、野外で診察を受けさせる際に役立ちます。

 

ガムテープ

 

ケージを補強するために使います。

動物がパニックになって暴れてしまったときに、扉が開いて逃げてしまうのを防ぐことが出来ます。

 

目隠しになる毛布やタオル

 

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「ペット同行避難受け入れ可」となっている避難所でも、多くは「ペットは避難所の専用スペースなどで過ごすこと」とされており、飼い主とずっと一緒にはいられないことが考えられます。

 

犬以外の動物は、一日のほとんどをケージの中で過ごすことになるため、毛布やバスタオルで目隠しをしてストレスを減らす工夫をしましょう。

 

その他いつも使っている物

 

いつもの食器や匂いのついたおもちゃなども動物を落ち着かせるために持っておくと良い物です。

 

 

もっと話そう!災害時のペットのこと

 

discussion

 

万が一に備えて、ペットと避難するときに考えるべきことを家族と話し合ってみましょう。

少し確認しておくだけでも、いざという時の行動が変わってきます。

 

落ち着いて避難するためには、日頃からの心がけが大切です。

 

避難所と経路の確認

 

まずは、自宅で簡単に出来る紙の上でのシミュレーションから始めましょう。

 

市町村のホームページなどに掲載されている、ハザードマップで危険箇所を把握します。

 

ペットの受入れが可能な指定避難所について確認し、避難所までの道順と、瓦礫などで通行出来ないときの迂回路についても確認します。

 

指定避難所が被災していることも考えられます。

二次避難先も想定しておきましょう。

 

集合場所や預け先の確認

 

ペット同行避難に限ったことではありませんが、災害時の連絡方法や集合場所はあらかじめ決めておきましょう。

ペットと避難する際の役割分担や、ペットだけが家にいた場合どうするかなども話し合っておくと良いです。

 

また、災害時のペットの預け先の確保も忘れてはいけません。

避難所に同行避難する以外にも、親戚や友人など、複数の一時預け先を探し、前もって協力をお願いしておくと安心です。

 

預け先を検討する際には、被害がおよぶ可能性が低い、遠方の知人にも協力を依頼すると良いでしょう。

 

もし預けられそうな知人がいない場合、施設に預けることも検討しておいた方が良いかもしれません。

その場合は、後でトラブルが生じないように、条件や期間、費用などを確認しておきましょう。

 

 

被災地でペットを飼養する際の注意点

 

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災害で被災したとき、その後過ごす場所として、大きく分けると避難所・車中・自宅の3つが考えられます。

それぞれの場所でペットを飼養する際の注意点についてお話します。

 

1. 避難所

 

一度避難したものの、自宅にペットの物を取りに行く必要が生じるかもしれません。

その場合は慌てず、自宅の安全確認をよく行った上で戻りましょう。

 

また避難所では、動物が苦手な方やアレルギーを持っている方もいます。

⾃治体の指⽰に従って行動しましょう。

 

2. 車の中

 

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ペット同行避難が出来る避難所までたどり着けない場合や、小動物など周りの環境が気になる場合など、やむを得ず車の中での避難生活になってしまうことも考えられます。

その場合、支援物資などを必要に応じて避難所に取りに行く必要があります。

 

ペットだけを車内に置いて行くときは、車内の温度に注意し、必ず十分な量の飲み水を用意して出かけましょう。

もし長時間にわたって車を離れることが考えられる場合には、ペットを安全な飼養場所に移動させてください。

 

また、ペットと共に長時間車内にいることで、飼い主がエコノミークラス症候群になってしまうことがあります。

定期的に外に出て体を動かすなど充分注意しましょう。

 

3. 自宅

 

自宅にとどまる場合は、余震などで家具が転倒・落下しないようにしっかりと固定しましょう。

自宅で過ごしている場合でも、救援物資などを取りに行く必要が生じることもあります。

 

ペットにとっては安心して過ごせる自宅ですが、二次災害の危険があるときは、ためらわないで同行避難しましょう。

 

 

犬猫以外の動物はどうすれば良いの?

 

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鳥やハムスターなどの小動物、爬虫類、魚などを飼っている場合、どうすれば良いのでしょうか。

環境省は、ペットとの同行避難についてガイドラインを示しているものの、その他の小動物については殆ど記載がありません。

 

ペットを受け入れている避難所であれば同行避難は可能ですが、他の避難者の理解を得るのが難しい場合もあるようです。

車内や自宅での対応も含め、災害対策として出来ることを見ていきましょう。

 

同行出来る動物は、避難グッズの準備を

 

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リスやハムスター、チンチラ、モルモット、ハリネズミ、小鳥などの小動物は、救援物資が届かないことが想定されます。

 

避難する際には、いつも食べているフードを持って行くことが必要不可欠です。

動物種によって多少用意するものは異なりますが、フードの他にも床材やトイレ砂、温度管理のためのカイロなど、いつもの生活で必要なものをまとめて用意しておくと良いでしょう。

 

同行出来ないとき

 

魚類など連れて行くのが難しい場合、やむを得ず自宅に残していかなければならないかもしれません。

 

魚類は、乾電池式のポンプを準備しておくのが良いでしょう。

爬虫類などは、温度管理が重要です。

ヒーターが使えない場合に備え、お湯を入れたペットボトルやカイロを常備するようにしてください。

 

預け先の確保を

 

犬猫以外の動物は、温度や環境の変化に弱く、他の動物も沢山いる避難所生活は難しいことも考えられます。

遠くの知人を含め、預け先を確保することが大切です。

 

 

さいごに

 

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災害が起きた時、ペットと安全に避難するためには、平常時からの健康管理や飼養管理が重要です。

避難経路やペットと同行出来る避難所についても調べておくと、いざという時、落ち着いて行動することが出来ます。

 

また、避難する際の持ち物は、飼い主自身の物と共に定期的にチェックするようにしましょう。

飼い主の安全を確保することが、災害時にペットを守ることにも繋がります。

 

「ペットの命を守るのは飼い主である」という意識を持ち、防災に取り組むことが大切です。

 

 

執筆・監修:獣医師 近藤 菜津紀(こんどう なつき)

 

原因不明の難病に20年以上苦しみながらも、酪農学園大学獣医学科を卒業後、獣医師免許を取得。

小動物臨床や、動物の心理学である動物行動学を用いたカウンセリング、畜場での肉の検査(公務員)など様々な経験を経て、現在は書籍の執筆や講演活動などを行なっている。

 

車椅子生活をしながら活動する、日本で唯一の「寝ながら獣医師」。


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