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イングリッシュ・グレイハウンドの特徴は、アスリートのように引き締まったスマートな体型です。
「走ること」に特化して作出された彼らは、流線形で筋肉質、無駄がない力強い体つきをしています。
その被毛は短毛で滑らか、汚れにくいので体臭や抜け毛も少なめです。
耳はローズ・イヤーで体の割に小さく、尻尾は細長くて体の低い位置についています。
イングリッシュ・グレイハウンドのもう1つの特徴としては、足が速いことが挙げられます。
彼らは強靭な脚力を生かし、なんと時速70Kmを超えるスピードで走ることができます。
世界一速い犬といわれる彼らは、犬界のチーターやサラブレッドという異名で呼ばれることもあります。
また、驚異的なスタミナを持っていることも特徴の1つといえます。
イングリッシュ・グレイハウンドの祖先は、今もはっきりわかっていません。
古代エジプトの壁画にグレイハウンドに近い犬が描かれていることから、かつてその歴史は5,000年前のエジプトから始まったのではないかと考えられていました。
しかし、近年行われたDNA鑑定により、実は牧羊犬に近い犬種らしいということが判明しています。
数千年前から人間と生活してきた彼らは力強さとスピードを生かし、 猟犬 として活躍していました。
その優雅で高貴な見た目からいつの時代も貴族に愛され、その姿はたびたび美術品のモデルとなってきました。
そんな彼らは16世紀になると、イギリスにおいて市民には飼育できない貴族専用の犬種になりました。
そして コーシング という、貴族御用達の野ウサギを狩るスポーツ・ハンティングにおいて利用されてきたのです。
その後、彼らはそのスピードを生かして犬を走らせて順位を競う、 ドッグレース に活躍の場を移しました。
走ることが大好きなイングリッシュ・グレイハウンドたちは、犬版の競馬ともいえるドッグレースにおいて素晴らしい成績を残しています。
また、その美しいプロポーションを生かし、ドッグショーで活躍する個体も少なくありません。
The 2018 English Derby winner Dorotas Wildcat leads out the runners for the 2019 Star Sports, ARC & LPS Greyhound Derby before meeting his fans following the news of his retirement. What a wonderful servant 'Catmando' has been to @kevhuttonracing and Donna. #lovethedogs pic.twitter.com/QqoBDaXpyA
— Nottingham Dogs (@nottingham_dogs) May 16, 2020
イングリッシュ・グレイハウンドの体高はオスで71~76cmほど、メスで68~71cmほどです。
体重はオスで29~31kg、メスで27~29kgほどで、オスの方がやや大きくなります。
イングリッシュ・グレイハウンドのカラーは、ブラック、ホワイト、レッド、ブルー、フォーン、ファロー、ブリンドルが認められています。
なお、これらのカラーであればホワイト(白色)が混じっていても構いません。
イングリッシュ・グレイハウンドは温和で愛情深く、人懐こい性格をしています。
人好きで人懐っこく、家族との密接な関わりを求める傾向が強いようです。
また、家族に対しては忠実で従順で、正しいしつけができれば心優しい家族の一員となってくれます。
しかし、もとは猟犬であることから、やや気が強く大胆な面を持っていることも忘れないようにしたいものです。
諸説ありますが、イングリッシュ・グレイハウンドの寿命は10~14年ほどだといわれています。
一般的に犬の平均的な寿命は10~14歳程度です。
イングリッシュ・グレイハウンドは大型犬ですが、寿命は平均的な長さだと考えられます。
英名:English Greyhound
別名:グレイハウンド、グレイハウンド
原産国:イギリス
サイズ:大型犬
グループ:10G・視覚ハウンド(サイトハウンド)
大きさ:
体高・オスで71~76cmほど、メスで68~71cmほど
体重・オスで29~31kg、メスで27~29kgほど
寿命:10~14年ほど
次にイングリッシュ・グレイハウンドをおすすめしたい人、イングリッシュ・グレイハウンドとの暮らしに向いている人について説明していきます。
VIDEO: Competitive sports resume in England after 75-day shutdown - starting with greyhound racing.
— AP Sports (@AP_Sports) June 1, 2020
Watch Monday's first race from the central English city of Birmingham. https://t.co/Dmm5MPtXrf pic.twitter.com/ncCak9KIQD
イングリッシュ・グレイハウンドは、膨大な運動量を必要とする犬種です。
彼らは常に走りたいという欲求を持っていて、運動量が足りないと強いストレスを感じてしまいます。
彼らの欲求を満たすためには走らせるだけでなく、ドッグスポーツに挑戦するのも良い手段です。
フリスビーやコーシングなどのスポーツであれば、飼い主と犬が一緒に楽しむことができます。
そんなイングリッシュ・グレイハウンドは、犬と一緒に運動を楽しみたい方に向く犬種といえます
先述した通り、イングリッシュ・グレイハウンドは膨大な運動量を必要とする犬種です。
できれば広い庭や敷地があり、散歩の時以外も運動できる環境があることが望ましいといわれています。
そんなイングリッシュ・グレイハウンドは、自宅に広い敷地がある方におすすめの犬種といえます。
多くのイングリッシュ・グレイハウンドは、 “小動物を追いかけたい” という強い欲求を持っています。
そのため、猫や小動物(ウサギや小鳥など)などの小さい動物と同居させるのは難しいです。
同居させる際は他の動物を追いかけないように、子犬の頃から根気強くしつけする必要があります。
ただし、追いかけられる方が強いストレスを感じてしまうことを考えると、イングリッシュ・グレイハウンドは他の動物を飼っていない方に向く犬種といえるでしょう。
なお、イングリッシュ・グレイハウンド同士であれば同居は難しくありません。
次の項目では、イングリッシュ・グレイハウンドのお迎え方法や価格について見ていきましょう。
残念ながら、国内でイングリッシュ・グレイハウンドを繁殖・販売しているブリーダーはほとんどいません。
イングリッシュ・グレイハウンドを購入する場合は、海外のブリーダーから輸入することになる可能性が高いです。
なお、海外ではドッグレースで思うような成績を残せなかった、あるいは年齢を重ねてレースを引退したグレイハウンドが捨てられる、あるいは殺処分されるという悲しい事例が少なくなかったそうです。
しかし、現在は動物愛護団体の手によって引退犬の里親募集が盛んになり、その人気も高まっています。
日本から情報を探すのは難しいものの、縁があれば引退犬に出会うこともあるかもしれません。
イングリッシュ・グレイハウンド の具体的な価格は不明です。
海外では1,000ドルほど、優れた血統を持つ個体の場合は3,000~7,000ドルほどで販売されています。
海外から動物を輸入する場合は生体の価格に加え、輸入に関する各種費用が発生します。
また、動物を輸入する際は、さまざまな手続きと書類の準備も必要となります。
自力で輸入することが難しい場合は、輸入に強いブリーダーや動物商の力を借りると良いでしょう。
概算ですが、イングリッシュ・グレイハウンドを日本に輸入する際は、おおよそ50万円程度かかるのではないかと考えられます。
次の項目では、イングリッシュ・グレイハウンドの飼い方とそのポイントについて説明していきます。
イングリッシュ・グレイハウンドは体が大きいため、たくさんの栄養とカロリーを必要とします。
彼らの主食には年齢や状態に合わせた、品質の良い総合栄養食のドッグフードを与えると良いでしょう。
与えるフードの種類や量について悩んだ時は、ブリーダーや動物病院に相談することをおすすめします。
イングリッシュ・グレイハウンドの被毛は短毛で滑らかなので、手入れにはあまり手間がかかりません。
また抜け毛もそこまで多くないため、週に1~2回程度ラバーブラシや硬く絞った濡れタオルでグルーミングすれば十分清潔さを保てます。
ブラッシングをする際は耳の中や爪の長さを確認し、必要に合わせて耳掃除や爪切りも行うと良いでしょう。
イングリッシュ・グレイハウンドのシャンプーは、月に1回すれば十分です。
シャンプーをしすぎると必要な皮脂も流してしまい、皮膚病の原因になるので気を付けましょう。
イングリッシュ・グレイハウンドは、膨大な運動量を必要とする犬種です。
毎日最低2時間の散歩をさせるのはもちろん、休日はドッグランなどで思いきり走らせる必要があります。
家にフェンスで囲まれた広い敷地があるならば、日頃からそこで自由に走らせると良いでしょう。
脱走防止のため、フェンスは2m以上の高さにしておくと安心です。
イングリッシュ・グレイハウンドは賢く飼い主に従順なため、しつけがしやすいといわれています。
ただし、猟犬由来の気の強さやプライドの高さを持っていること、また体が大きく力も強いことから子犬の頃からきちんとしつけをすることが大切です。
どうしてもしつけが上手くいかない時は、プロの訓練士の力を借りると良いでしょう。
イングリッシュ・グレイハウンドは基本的に丈夫で、病気になりにくい健康的な犬種です。
ただ、他の大型犬と同じく、胸が深いことから 「胃捻転」 を起こしやすい点に注意する必要があります。
胃捻転は大きく膨らんだ状態の胃がねじれて胃や周辺の臓器の血流が悪くなる、もしくは遮断されて臓器が壊死してしまう状態のことを指します。
胃捻転になると急激にショック状態になり、数時間で死に至ることもあります。
また、彼らは 「骨折」 や 「関節疾患」 、 「骨肉腫」 や 「巨大食道症」 (食道拡張症)も起こしやすい傾向にあります。
愛犬と長く一緒に暮らすためにも早めにかかりつけの動物病院を作り、定期的に健康診断に行くことをおすすめします。
イングリッシュ・グレイハウンドは細身で被毛が薄いため、寒さが苦手です。
冬場はエアコンや毛布などを使うほか、必要に応じて服を着せると良いでしょう。
イギリス生まれの大型犬、 「イングリッシュ・グレイハウンド」 について説明してきました。
イングリッシュ・グレイハウンドは温和で賢く、飼い主に忠実な家庭犬向きの犬種であることが伝わったでしょうか。
そうとはいえ、彼らは体が大きく、必要とする運動量が多いことから誰にでも飼える犬種ではありません。
日本ではその存在自体が珍しく、純血犬種の登録や保護を行っている愛犬団体・ジャパンケネルクラブの犬種別犬籍登録頭数では2019年(1月~12月)に1頭の新規登録があるのみとなっています。
イングリッシュ・グレイハウンドを迎える時は十分なスペースや運動量を確保できるのか、犬に関わる全ての人と相談し、しっかりと検討してください。
そして、もし彼らを自宅に迎えたら、毎日たっぷりと運動させつつ愛情を注いであげてください。
正しくしつけられた賢くて美しいイングリッシュ・グレイハウンドは、素晴らしい家族の一員となってくれることでしょう。
公開日 : 2020/08/03