本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
「 ハリネズミ 」という名前から種類を推測してみると、ネズミ目のげっ歯類だというイメージのある人も多いのではないでしょうか。
名前に“ネズミ”と付いているので、ついつい ネズミ の仲間だと思い込んでしまいがちですが、ハリネズミはハリネズミ科。
実はネズミではなく“モグラ”の方が近い存在にあたるのです。
よく観察してみると、見た目や生態もネズミよりもモグラに近いことが分かります。
最近では「ハリネズミカフェ」も人気を集めていることから、ペットとしての需要も高まっており、ペットショップやショッピングモールで販売しているところも増えてきました。
しかし、まだまだメジャーなペットではないこともあり、ハリネズミの寿命や病気について理解している人はそう多くはありません。
仮にペットに対しての理解が乏しくて、「可愛い」という理由だけで飼育した場合、本来生きるであろう寿命よりも遥かに短い寿命で一生を終えることになってしまう可能性があります。
そのため、今回は「ハリネズミの寿命や病気の注意点」などを詳しくまとめました。
ハリネズミの飼育を検討している人は、是非とも理解を深めるのにお役立てください。
ペットを飼育する上でまず把握すべきなのは寿命です。
平均の寿命を把握していると「どうすれば平均寿命よりも長く生きることができるか?」ということを考えた上で、ハリネズミの飼育環境を整えることに役立ちます。
その前に、まずは「ハリネズミの特徴」についてご紹介します。
ハリネズミはとてもデリケートな性格の持ち主。
“小さくて可愛い”といって乱暴に扱ったりしてしまうと、触れられることに警戒して、すぐに針を立ててしまうようになってしまいます。
基本的にはスキンシップを好まない性格であることを理解してあげましょう。
無理やり触れようとはせずに、触れる際は針を立てて警戒していないかチェックしてください。
ストレスを感じてしまうと病気になる恐れがあるので注意が必要です。
基本的に夜行性なので、昼間はゆっくりと寝かせてあげるようにしましょう。
夜は活動性が上がるため、遊びやご飯など交流の時間も取れるようになります。
野生のハリネズミの場合は寿命が3年ほど。
ペットとしてハリネズミを飼育する場合であれば寿命が5年~10年ほどと、ハムスターなど他の 小動物 に比べると寿命が長いです。
しかしながら、栄養バランスや温度管理、適度な運動などの飼育環境が悪ければ、寿命である5年~10年には到底及ばない3年未満という短い期間で亡くなってしまう個体もいます。
小動物の中では丈夫な体質として知られているハリネズミですが、病気を患ってしまえばいくら丈夫といえども衰弱してしまい、死に至るケースもあります。
そのため、ハリネズミがかかりやすい病気について把握しておけば、万が一病気を患った際でも適切な対応・処置をする事ができるので、知識を有しておくことが大切と言えるでしょう。
病気によって寿命よりも短く死んでしまうハリネズミも多いので、長い時間一緒にいるためにも病気についての理解を深めておきましょう。
人間には様々なアレルギーが存在していますが、ハリネズミも同様にアレルギーがあるのです。
ハリネズミがアレルギーを起こすというとイメージの湧かない人もいるかもしれませんが、ハリネズミも松、ヒノキ、杉、といった針葉樹に強いアレルギー反応を示す場合があります。
アレルギーを引き起こせば、顔やお腹、足と全身がただれてきます。
その症状は目視で分かるので、飼育しているハリネズミがアレルギー反応を示した場合、近くに針葉樹がないかチェックしてみてください。
アレルギーの原因となる松、ヒノキ、杉といった針葉樹が近くにあれば、取り除くことで、次第にアレルギーが治まっていくでしょう。
予防方法としても同様に、原因となる針葉樹を周りに置かないように注意してください。
その名の通り、急に歩き方に違和感を生じたり、足に震えが出たりと、ふらつきが見られる症状です。
始めに後ろ足が震えたりふらついたりしますが、その後前足や全身へと範囲が広がっていくので、その段階でハリネズミの異変に気付く人も多いでしょう。
この病気の原因や治療法については未だに確立されていませんが、もしかしたら「栄養失調(特にビタミン・カルシウム)」が原因かもしれないと推測されています。
ふらつき症候群は、発症してしまうと衰弱して致死率も高い病気ですが、原因解明がされていない以上、治療法もはっきりしたものがありません。
そのため、現在考えられている原因の「栄養失調(特にビタミン・カルシウム)」が予防としても有効的であると考えられるので、ハリネズミに普段与える食事のバランスを意識することを心掛けましょう。
上記のような症状を確認したら早急に病院へ連れて行き、獣医師から伝えられた適切な処置・対応をしてください。
ハリネズミがもっとも多く感染する病気が「ダニ症」。
その症状としては、顔や耳を掻く仕草が多く、毛や針が抜け落ちてしまったり、針の付け根にかさぶたのようなものができてしまったり、食欲や元気も次第に無くなってきます。
ダニが付いているハリネズミとの接触や、小屋などのケージにダニが発生する事が原因とされているので、常に清潔を意識する事が予防として効果的です。
発症を確認したら症状が悪化する前に速やかに病院に連れて行ってあげてください。
私たちにも歯周病は馴染みがありますが、ハリネズミも同様にして歯肉炎など歯周病を患います。
特に年齢を重ねたハリネズミが歯周病になるケースが多く、症状は口臭がきつくなったり歯が抜けたりと進行状況によって変わりますが、いずれの症状でも食事に影響が出ます。
食欲が低下することで気づかれることが多いようです。
食事の時間が長くなったり、食欲低下、唾液の増加、歯肉の腫れ、が確認されたら歯周病の可能性が高いので病院に連れていくなど適切な対応を心掛けてください。
口内の汚れが原因として歯周病を引き起こすので、ドライフードやかじって遊ぶおもちゃを与えて、口内の汚れを落とすことが予防策です。
ハリネズミを飼育するのであれば、寿命と言われる5年~10年は最低でも育ててあげたいところです。
飼育環境や病気によっては、平均寿命にも至らず命を落としてしまう可能性もあると思うと、飼育環境をしっかり整えることが最重要です。
ハリネズミと一緒に過ごす時間を長いものにするためにも、食事バランスや適度な運動、それに清潔な環境を提供することが必要です。
こうした普段の意識が病気の予防に繋がり、長生きすることに繋がっていきます。
長生きさせるための努力は飼い主の義務であり責任であると共に、長生きは飼い主の願いでもありますよね。
平均的な寿命以上育てられるよう、知識と愛情を持って飼育すれば、きっとハリネズミも期待に応えてくれることでしょう。
▼ハリネズミの関連記事
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/07/11
公開日 : 2017/11/13