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勘違いされることがありますが、 実は「アリゲーター」というワニは存在しません。
ワニには20を超える種類がいて、アリゲーター科、クロコダイル科、ガビアル科の3種に分類されています。
当記事で取り上げるアリゲーター科のワニは、さらにアリゲーター属とカイマン属に分かれています。
アリゲーター属はヨウスコウワニとミシシッピーワニが、カイマン属はメガネカイマンやコビトカイマンが有名です。
今回はアリゲーター科アリゲーター属のヨウスコウワニ、ミシシッピーワニに焦点を当てていきます。
ミシシッピーワニ:アメリカ合衆国
ヨウスコウワニ:中華人民共和国(揚子江下流)
ミシシッピーワニ:全長2〜5m程、体重250〜500kg程
ヨウスコウワニ:全長1.5m程、体重35kg程
ワニは爬虫類にしては珍しく、声を出すことができる動物です。
大きな声を出して繁殖期のオスがメスを呼んだり、仔ワニが母親を呼んだりします。
中でもヨウスコウワニは、非常に大きな声で鳴くことで知られていています。
その声はまるで雷鳴のようで、非常に遠くまで届くと言われています。
アリゲーター科に限らず、 ワニは全て肉食性の動物です。
ただし、アリゲーター科のワニは大きな動物よりも、小さな動物を食べる傾向にあります。
ミシシッピーワニ:魚を主に、甲殻類や鳥などを食べています。
ヨウスコウワニ:貝類や甲殻類を主に、魚や鳥なども食べています。
ミシシッピーワニに関しては体が大きくなると大型の哺乳類を襲うことがあり、気性が荒くなっている子連れのワニは稀に人を襲うこともあります。
ワニは水辺で生活する、は虫類の仲間です。
まるで恐竜のような見た目をしていますが、実際のところ彼らの祖先は恐竜と同じ時期に生まれ、その後ほとんど形態を変えることなく現代まで生き残ってきたと言われています。
そのため、シーラカンスやオウムガイなどと同じく 生きた化石 と呼ばれることもあります。
アリゲーター科のワニは口先が丸く、口を閉じた時に下顎の前から4番目にある歯が見えないのが特徴です。
クロコダイル科のワニより性格が温和で、滅多に人を襲うことはありません。
ミシシッピーワニの場合は、産まれてから繁殖可能になるまで8年程かかります。
1度に20〜60個程の卵を産み、卵は9〜10週間程で孵化します。
変温動物であるワニは自分で卵を温めることができないため、枯れ木や泥で巣を作り、太陽熱や発酵熱を利用して卵を温めます。
産卵後7〜21目の間の温度が30度以下ではメスに、34度以上であればオスになり、30~34度であればオスメス両方が生まれてくるという不思議な法則があります。
ミシシッピーワニの寿命は野生下で35〜50年程と言われています。
飼育下では50年を超え、60年以上生きる長寿個体もいるようです。
実はミシシッピーワニもヨウスコウワニも、一度絶滅の危機に瀕したことがあります。
しかし、このままでは確実に絶滅してしまうと思われた時に、ミシシッピーワニはアメリカ政府が、ヨウスコウワニは中国政府が主となって保護・繁殖活動を行いました。
その結果両種とも飼育下で大きく数を増やし、ミシシッピーワニについてはほぼ絶滅の危機を脱しています。
ヨウスコウワニについては飼育下での数は増えたものの、野生下での絶滅の危機は今もなお続いています。
分類:爬虫綱 ワニ目 アリゲーター科 アリゲーター属
学名:Alligator mississippiensis
英名:American alligator
分布:アメリカ合衆国
大きさ:全長2〜5m程、体重250〜500kg程
鳴き声:「ゴロロロ」「グルルル」
食性:肉食性
繁殖:
性成熟:8年程
産卵数:20〜60個
寿命:野生下で35〜50年、飼育下で50年以上
分類:爬虫綱 ワニ目 アリゲーター科 アリゲーター属
学名:Alligator sinensis Fauvel
英名:Chinese alligator
分布:中華人民共和国(揚子江下流)
大きさ:全長1.5m程、体重35kg程
鳴き声:「ゴー」「グォー」
食性:肉食性
繁殖:
性成熟:5〜7年程
産卵数:10〜40個
寿命:野生下で50年、飼育下で70年以上
アリゲーター科のワニはペットとして飼うことができます。
特にヨウスコウワニは小型でおとなしいことからペットとしての人気が高く、 最も飼育に適したワニ とも言われています。
上記理由から、当項目では主にヨウスコウワニについて解説します。
ちなみに、ミシシッピーワニも飼うことはできますが、大型になることからペットにするのは現実的ではありません。
個人で最大5mにもなるワニを飼育するための施設を用意するのは困難を極めます。
数が激減して保護されている野生のヨウスコウワニに関しては、ペット向けに入手するのはほぼ不可能です。
しかし、飼育下にはかなりの数のヨウスコウワニがいるため、タイミングが合えば中国現地の繁殖施設から購入することが可能です。
個人で輸入の手続きを取ることが難しい場合は、動物の輸出入に強い業者に依頼すると良いでしょう。
安定的に流通する動物ではないため、半ば販売者の言い値になると考えられます。
少なくとも100〜200万はする と考えておいた方が良いでしょう。
ワシントン条約(CITES)の附属書Iに掲載されている動物は、基本的に国際間の商用取引が禁止されています。
しかし、ヨウスコウワニは古くから食用とされて皮を利用されてきたという側面があり、また飼育下の数が1万頭を超えていることから繁殖施設で繁殖させた個体に限り、国内外に流通することがあります。
そうとはいえ、国同士が関連する取引になるため、欲しいと思った時にすぐに入手できるとは限りません。
どうしてもヨウスコウワニを飼育したい場合は、動物の輸入ができる業者に依頼し、入手できるまで辛抱強く待つ必要があります。
ヨウスコウワニを自宅で飼育する場合、どんなものが必要になるのでしょうか。
お迎えをする前に必要なものを全て揃え、準備を整えておきましょう。
ここでは、最低限必要になると思われるものを紹介します。
ヨウスコウワニは貝類や甲殻類を好んで食べています。
新鮮なジャンボタニシやザリガニなどを与えると良いでしょう。
甲殻類を継続的に用意することが難しい場合はヒヨコやラット、ウズラやマウスを与えましょう。
ただし、肉類は本来のヨウスコウワニのエサと比較すると高カロリーであるため、与える量は控えめにしましょう。
ヨウスコウワニは、気温が下がると冬眠する習性があります。
野生下であれば特に問題がないのですが、飼育下で冬眠をさせるのは非常にリスクが高いです。
秋~冬はヒーターを使用して保温し、冬眠をさせない方が良いでしょう。
ワニは水がない環境では生きていくことができません。
最低でも120cmサイズのなるべく大きな水槽を用意してあげましょう。
ワニは常に水の中にいる訳ではないため、水から上がって体を休ませる部分も必要となります。
岩や木の板などを置いて、陸地を作ってください。
ワニは水の中でも食事をするため、それなりに水が汚れます。
水槽の大きさにあったフィルターを用意しましょう。
いくらヨウスコウワニがおとなしいといっても、ワニであることは変わりがありません。
ワニは噛みつく力が非常に強いため、本気で噛みつかれたら間違いなく大怪我をします。
人間を害するくらい力がある動物だということを常に頭に刻んでおいてください。
ヨウスコウワニもミシシッピーワニも人間に危険を及ぼす恐れがある、 特定動物 に指定されています。
飼育施設は動物が脱走しないように、一定の基準を満たす必要があります。
また、特定動物を飼育している旨を都道府県知事に届け出る必要があります。
届け出は5年ごとの更新手続きが必要になることも忘れないようにしてくださいね。
ワニを飼育している動物園は多く、アリゲーター科のヨウスコウワニとミシシッピーワニのどちらか一方を飼育している動物園も少なくありません。
しかし、せっかくならアリゲーター科のワニ2種を見比べることができると良いですよね。
ここでは2種とも飼育している動物園を紹介します。
ぜひ直接彼らを観察して、2種の体つきや大きさの違いを感じてください。
今日はポカポカ陽気でワニ達も気持ちよさそうに、思い思いの場所で過ごしています🐊熱川では熱川桜も綺麗に咲いていてすっかり春です🌸 #バナナワニ園 #伊豆 #ワニ pic.twitter.com/Sj3RIEjNE4
— 熱川バナナワニ園 (@bananawanien02) March 12, 2019
静岡県にある、バナナとワニをメインにしたテーマパークです。
ヨウスコウワニとミシシッピーワニを含む、16種ものワニが飼育されています。
ワニを観察してみたい方やワニ好きの方にオススメしたい施設です。
住所:静岡県賀茂郡東伊豆町奈良本1253-10
マップ: Googleマップ
電話番号:0557-23-1105
入園料:
一般 1,500円
こども(4歳〜中学生) 750円
4歳未満 無料
開園時間:8時30分~17時
休園日:年中無休
公式ホームページ: 熱川バナナワニ園
天王寺動物園でも、ヨウスコウワニとミシシッピーワニが飼育されています。
ワニは他の動物からと少し離れたアイファー(爬虫類生態館)にいるため、マップを確認してから動くことをオススメします。
住所:大阪府大阪市天王寺区茶臼山町1-108
マップ: Googleマップ
電話番号:06-6771-8401
入園料:
大人 500円
小・中学生 200円
未就学児 無料
開園時間:9時30分~17時
休園日:毎週月曜日(祝祭日の場合は翌平日)、年末年始
公式ホームページ: 天王寺動物園
※合わせて読みたい: 展示されている動物は約200種!なにわの人気スポット「天王寺動物園」をまとめてご紹介!
実はおとなしくてほとんど人を襲うことがない、アリゲーター科のワニについて解説してきました。
怖い顔をしていますが、十分に調べて準備をすれば自宅で飼育することも不可能ではない、不用意に怖がる必要がない動物であることが伝われば幸いです。
ワニの仲間は、古くから皮や肉を利用するために狩猟されてきました。
皮を取るためのワニは人工的に飼育されているものが多いものの、今なお野生ワニの密猟が絶えません。
ハンドバッグや財布の素材に使われるワニも、もともとは生きていたことを忘れたくないものですね。
最終更新日 : 2021/11/02
公開日 : 2019/05/23