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秋に越冬をするため東南アジアへ渡り、青葉のころに夏鳥として日本へ帰ってくるので「アオバズク」という名前が付きました。
中型の フクロウ で、可愛らしい見た目をしています。
しかし、フクロウは猛禽類の仲間であるため、爪やくちばしは鋭く、虫や小型の哺乳類も食べます。
夜行性で普段はあまり見る機会がないかもしれませんが、身近に生息している鳥です。
アオバズクの見た目や生息地、繁殖など、生態について幅広くご紹介します。
海外においては、シンガポールや韓国などのアジアを中心に生息しています。
日本では全国に分布しており、夏鳥(夏に日本で繁殖し、南国で越冬をする鳥)として渡来します。
その中でも、奄美・沖縄諸島では留鳥(年間を通して同じ場所に生息し、時期により移動を行わない鳥)として分布しています。
亜種アオバズクは九州以北で夏鳥、亜種リュウキュウアオバズクは奄美大島以南の南西諸島で留鳥としての記録もあります。
冬の南西諸島には亜種リュウキュウアオバズクと亜種アオバズクが生息していると言われていますが、両亜種の識別は難しいです。
主に平地から山地の林に生息し、大木の樹洞に巣を作って繁殖をします。
町や都会にも生息しており、神社やお寺の境内にある大木で暮らしていることがあります。
全長は約30cmほど、翼開長時は約70cmほどです。
羽角がなく丸い頭と黒っぽい顔をしており、顔盤(がんばん)は発達しません。
虹彩は黄色のため、目を見開くと黒っぽい顔によく映えます。
頭部から尾にかけての上面は黒褐色で、下面は白く太いこげ茶の縦斑があります。
翼下面や尾にはタカ類のような横斑があるので、アオバズクの飛翔時に下から見るとタカ類と見間違えてしまうこともあるでしょう。
本来フクロウ類は、獲物の位置を正確に知るために左右の耳の位置がずれています。
しかし、アオバズクは他のフクロウ類と異なり、耳の向きが左右同じ位置に配置されているのです。
そのため、狩猟時は視覚に頼っていると考えられています。
羽はツミによく似ており、尾羽は縞模様のように黒帯がはっきりしています。
初列風切羽は外弁にわずかに茶褐色の部分があり、次列風切羽は丸みがある形をしていて淡い白斑が目立ちます。
「ホーホー」「ホッホウ ホッホウ」のように鳴きます。
大きな鳴き声だと、2kmほど離れた場所でも聞こえることがあります。
聞きなし(鳥の鳴き声を人の言葉に当てはめて覚えやすくした表現)は「ホッホッ坊主っ来い」というものがあります。
アオバズクの雌雄はほぼ同色なので、見た目で判別をするのは難しいです。
オスよりもメスの方が大きいと言われており、オスはメスより斑が太く濃い傾向にありますが、個体差があるので識別は困難と考えてよいでしょう。
メスに比べてオスの方が鳴き声がよく響くとも言われています。
繁殖時であればオスのアオバズクは巣の近くで見張りをしているので、行動で雌雄判別ができることもありますが、バードウォッチングの初心者では見分けが容易ではありません。
群れで暮らさずにペアで樹洞に巣を作り、1回に2〜5個の卵を産みます。
抱卵期間は約25日でメスのみ抱卵し、その期間オスはエサを運んだり外で見張りをしています。
約28日ほどで巣立ちをするので、営巣木があれば、都市公園や社寺林でも幼鳥を見ることができます。
フクロウ類は小型で10〜15年ほど、中・大型で30〜40年前後生きると言われています。
正確な寿命は判明していませんが、アオバズクは中型種なので、30年近く生きる可能性もあります。
アオバズクは動物食です。
主にスズメガなどの蛾や、コフキコガネのような大型の昆虫類を食べます。
育雛期には、 コウモリ や小鳥をよく食べることもあります。
夜行性のため昼間に捕食をする姿を見られることが少ないです。
夜でも空中で獲物を捕らえることができ、市街地や都市部では、街灯に集まった昆虫を捕食することもあります。
分類:鳥綱 フクロウ目 フクロウ科 アオバズク科 アオバズク
和名:アオバズク(青葉木菟)
英名:Brown hawk-owl
由来:青葉のころに夏鳥として日本へ帰ってくるため
行動時間帯:夜行性
生息地:シンガポールやインド、日本全国
巣:神社やお寺の境内にある大木の樹洞に作る
見た目:
羽角がない
丸い頭と黒っぽい顔
虹彩は黄色
上面は黒褐色
下面は白く太いこげ茶の縦斑
耳の向きが左右同じ
全長:約30cm
翼開長:約70cm
狩り:視覚に頼り、空中で獲物を捕らえる
鳴き声:「ホーホー」「ホッホウ ホッホウ」
雌雄判別:微妙な違いはあるが、見た目での識別は難しい
産卵数:1回に2〜5回
抱卵期間:約25日
巣立ち:約28日
寿命:およぼ30年前後
食性:動物食(大型の昆虫類、コウモリ、小鳥など)
日本では原則野鳥を飼育することはできないので、アオバズクの飼育もできません。
例外として、アオバズクを保護した場合は一時的に飼育することになる可能性もあります。
どうしてもアオバズクのような鳥を飼育したい場合は、種類は違いますが、オーストラリアやニュージーランドに生息するニュージーランドアオバズクを飼育することができますよ。
ニュージーランドアオバズクは、おおよそ30〜40万円で販売されており、中型種のフクロウの中では若干安めの値段となっています。
普通のペットショップではまず見たことがないかもしれませんが、販売されている場所があるため入手がとても難しいわけではありません。
フクロウ専門店や鳥類の販売も行っている鳥カフェ、多くの店舗が参加するイベントで販売されていることがありますので、購入を検討している場合はそのような場所に訪れてみてはいかがでしょうか。
鳥カフェでは飲食をしながらのんびり鳥を眺めたり、忙しくなければ店員さんにフクロウの飼育方法を聞くこともできるので、ニュージーランドアオバズクを飼育してみようかと検討している人におすすめです。
東京都の台東区や浅草に店舗がある「 鳥のいるカフェ 」や、フクロウのエサや飼育用品の販売も行っている「 ふくろう茶房 」など、東京都内でもいくつかあります。
アオバズクは、日本で最も人の身近に存在するフクロウの仲間です。
しかし、営巣のために必要な大木の伐採により住処が減少し、個体数が減ってきている鳥でもあります。
とても貴重な存在なので、野生のアオバズクを見つけたら静かに見守ってあげてください。
アオバズクの観察が難しい場合は、アオバズクの仲間でもあるニュージーランドアオバズクであれば鳥カフェや動物園で展示されていることもあるので、見に行くこともできますよ。
※合わせて読みたい: フクロウをペットとして飼う方法。フクロウの種類、エサ、しつけ、飼い方
最終更新日 : 2021/11/03
公開日 : 2018/10/13