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アマガエル や ザリガニ 、 カメ などと同様に、水田や湿地に生息するどじょうは、昔から日本で親しまれてきた生物の一種です。
どじょうを掬う動作をコミカルに踊りにしたどじょう掬いは、今でこそ廃れましたが、昔の忘年会では定番の踊りでした。
非常に栄養価が高く、たった一匹でうなぎと同じぐらいの栄養を持つことを指した「うなぎ一匹、どじょう一匹」という言葉もあるほど。
このように、滋養のある食材として重宝されてきたどじょうですが、実は 水槽 の掃除屋さんとしても役に立ってくれる魚なのです。
どじょうは日本だけではなく、中国、台湾、朝鮮半島にも生息しているコイの仲間です。
日本では、以前と比べると食用にされる頻度も減りましたが、他の東アジアではまだまだ食用としてどじょうが養殖されています。
そのため、スーパーで売られているどじょうは、中国などの日本以外のアジアで養殖されたものがほとんど。
純日本産の食用どじょうは希少なので、超高級食材として扱われています。
日本にはマドジョウ、シマドジョウ、ホトケドジョウの三種が主にペット、または食用として販売されています。
もちろん、日本の自然でその姿を見かけられないというわけではないのですが、どじょうは基本的に水田や湿地などの泥が多く、隠れやすい場所に好んで住み着いていることが多いです。
危険を察知するとぬるぬるとした細い体でたやすく泥の中に隠れ、敵をやり過ごすという習性を持っているため、その暗褐色の体と相まって野生の個体を見つけることは中々難しいと言えるでしょう。
可愛らしい形の口に、その周りにある10本程度のひげ。
どじょうはよく見てみると愛嬌のある顔つきをしている魚です。
このひげが案外重要なもので、どじょうのひげには味蕾(みらい)と呼ばれる味を判断する機能がついており、このひげで水底をつつくことで餌と泥を見分けています。
ちなみに、同じく水槽の掃除屋として有名な コリドラス や タニシ などの貝類も、その顔には餌を探知するためのひげ、もしくは触覚が生えています。
一方で 金魚 や メダカ のように、水底を回遊しない魚たちにはそうしたひげが生えていることは少なく、そうした特徴からも「掃除屋」であるか、またはそれ以外かを見分ける判断にもなるのです。
それから、スーパーで売っているどじょうが一瞬だけ水面に顔を出して、すぐに戻っていく様子を見たことがある方も多いのではないでしょうか。
他の魚も酸欠の時にはよく行う仕草ですが、なんとどじょうは腸でも空気呼吸をすることができます。
そのため、肛門からおならのように空気を出すこともあるのです。
これはナマズを除いた他の魚類では中々見ることができない現象なので、どじょうを飼育した際には是非観察してみてください。
また、現在日本で多く流通している3種のどじょうはどのようにして見分ければ良いのでしょうか。
実は案外、その見分け方は簡単です。
一般的にどじょうというと、このマドジョウを指します。
水田でもよく見られるどじょうで、成長すると一見うなぎのような大きさにもなるため、食用として古くから親しまれてきました。
大きく育った個体はシマドジョウやホトケドジョウと比べると一目瞭然。
本当にうなぎなのではないかと思ってしまうほど大きくなります。
そのため力強く、またどじょうは飛び跳ねたりもするので、飼育の際には蓋つきの水槽が無難です。
特徴としては他の2種と比べると体の模様が少なく、黒褐色一色の個体も多いです。
こちらは日本固有種のどじょうです。
シマドジョウには亜種が非常に多く、地域によって個体の模様に差があるため、とても見分けがつきにくいどじょうとされています。
そのことから異名や地方名が多く、カワドジョウ、ササドジョウ、スナメ、スナサビなど他のどじょうと比べると様々な名前が付けられています。
なぜか山口県西部や四国南西部には生息していないのですが、その他の淡水域でどじょうの生息条件を満たしている場所ではほぼその姿が見られると言っても良いでしょう。
また、名前の「シマ」の通り、体の側面に円形~楕円形の黒い斑点が点々と並んでおり、遠目に見るとそれが縞模様のように見えます。
ホトケドジョウも日本固有種のどじょうです。
青森県や北海道などの寒い場所、中国地方を除いた本州、四国に生息しています。
どじょうというと黒褐色の体を思い浮かべる方も多いとは思いますが、ホトケドジョウは茶褐色から赤褐色。
基本的に水田などで暮らしていますが、よく似た姿を持ち渓流で暮らすナガレホトケドジョウという種類も存在します。
鑑賞に向いた容姿をしているため現在でも時折ペットショップなどで販売されていますが、実は環境の開発による生息地の減少のため絶滅危惧の指定を受けている水生生物です。
特徴としてはうっすらとしたオレンジ色の体に、いくつか黒点が見られます。
かつ、ほかのどじょうが基本的に水底で暮らすのに対して、ホトケドジョウは中層あたりを泳いでいることが多いです。
スーパー、ペットショップ、通販、野生の個体など、実はどじょうは案外簡単に手に入れることのできる水生生物です。
ペットショップでは暗褐色の普通のどじょうだけではなく、ヒドジョウと呼ばれる綺麗なオレンジ色の個体が鑑賞用として販売されているときもあります。
一番安価で手に入れられるのはスーパーの鮮魚コーナーですが、そうした場所で過密状態で売られているどじょうには強いストレスがかかっており、水槽に導入したけど弱っていてすぐに死んでしまう・・・という可能性が非常に高いです。
そうした意味では、食用を目的としたどじょうを飼育するというのはあまりおすすめできません。
また、鮮魚コーナーのどじょうは中国や台湾などの外国産であることが非常に多いです。
自然の生態系を壊さないよう、絶対に川や池に逃がさないようにしてください。
飼育用のどじょうはその種類にもよりますが、平均して一匹300~600円程度になります。
野生のどじょうは、落ち葉の下や土の中、用水路などに生息しています。
他の色々な生き物も捕まえられる罠(ペットボトルで簡単に作ることができます)を仕掛けておくと、どじょうや他の生き物を傷つけることもなく安全に捕獲できるのでおすすめです。
もちろん、網で捕まえることもできるのですが、網で水底をさらうことはその環境を少なからず乱してしまうことになります。
どじょうにかかるストレスのことを考えても、罠での捕獲が良いでしょう。
しかし、野生のどじょうは寄生虫がいる可能性もあります。
また、ペットショップで売られている水生生物に全く寄生虫がいないわけではありません。
ただ、自然の厳しい環境を生き抜いてきた野生の生物と、繁殖されてある程度保証された環境で生きてきた生物では耐性も違うと思われます。
その点を考えての混泳や飼育をおすすめします。
こちらはペットボトルで作った罠にどじょうがかかっている様子の動画です。
ペットボトルの罠は、簡単に作ることが出来ます。
ペットボトルの上部をカッターで切り取り、逆さまにしてペットボトルの口が本体の中を向くようにセットします。
そのままテープなどで固定して完成です。
ペットボトル本体には、捕獲されたどじょうが酸欠にならないよう、きりで多数穴を開けておきましょう。
中に石や砂利をいれておけば、川底に罠を沈めておくことができます。
どじょうの飼育はそう難しいものではありません。
単体、複数飼育、もしくは他の魚との混泳にしても、淡水であれば問題なく飼育できると言っても良いです。
そんなどじょうの飼育について、できれば必要なのは水底に泥や砂を敷くぐらいでしょうか。
野生のどじょうも飼育下のどじょうも、泥や砂などに潜るのが大好きです。
どじょうは冬眠もするのですが、その時には比較的暖かな泥や砂に潜り冬眠をします。
もちろん、飼育下であればヒーターを付けたり比較的暖かな室内に入れることで、どじょうを冬眠させなくてもすみます。
冬眠には沢山エネルギーが必要で、他の冬眠する生き物、例えばカエルやカメなども初心者は安易に冬眠させるべきではないと言われています。
そのため、どじょうの体調が整っていない、もしくは冬眠に必要なエネルギーがあるほど太っていない場合は、冬眠の条件を揃えるのは避けるのが無難です。
鑑賞用として飼育するなら、泥だと水の濁りなども気になると思うので砂のほうが良いかもしれません。
水槽の底に何も敷かなくても飼育はできますが、その場合はどじょうが隠れられるような隠れ家を与えてあげるとストレス緩和にもなります。
ただ、せっかく水槽に植えた水草を水底にもぐる拍子になぎ倒してしまうケースも確認されているため、どじょうを混泳・飼育する場合は、ホテイアオイなどの浮いている水草を使うのがおすすめです。
また、死んでしまうとどじょうは強いぬめりを出します。
どじょうの体は他の水生生物とくらべて決して小さいとは言えませんし、水質の悪化の原因にもなるので、死亡したどじょうはすぐに取り除くようにしてください。
他の魚との混泳であれば、どじょうはその魚たちの食べ残しを食べてくれます。
その場合はできれば浮く餌ではなく、沈殿する餌が望ましいです。
どじょうは水に浮いている餌を積極的に食べようとはしません。
混泳しているどじょうが明らかに痩せてきたら、どじょうのための餌を水槽に落としてあげてください。
どじょうは雑食なので、大抵の沈殿する餌なら食べてくれます。
金魚やメダカの餌だけではなく、イトミミズ、 ミジンコ 、豆腐や麩などの柔らかいものも大好きです。
どじょうのための餌も販売されているため、そちらを与えても良いですね。
雑食性ではありますが、 水草 は進んで食べません。
苔は食べてくれます。
これはコリドラスなどもそうなのですが、水草を食べ始めたら餌が足りてないことが原因です。
飼育しているどじょうが水草を食べ始めるようでであれば、追加で餌を与えてあげると食害は止まります。
どじょうの繁殖は非常に難しいと言われています。
現在販売されている食用どじょうは、繁殖の際にホルモン剤を打って強制的に繁殖させているというのが実態です。
そうとはいっても、あまり実例がないだけで繁殖自体は自然に近い条件を整えてあげれば可能ではあるとされています。
具体的にはたっぷりの泥、水草、どじょうが産卵するのに適した水温です。
飼育がしやすいホトケドジョウは、どじょうの中では比較的簡単に産卵をしてくれます。
ホトケドジョウの産卵行動の動画です。
他のどじょうよりもゆうにひと周りは大きく太ったどじょうがいるのがおわかりでしょうか。
これがメスのどじょうで、他のスリムはどじょうはオスです。
オスのどじょうがメスを追尾し、生殖行動を行います。
繁殖期は春から夏にかけて。
水温が15度を超える季節がどじょうの繁殖期です。
産み落とされた卵を親どじょうが食べてしまうことがあるので、卵はできるだけ早く回収しましょう。
卵は直径1mmほどの球形をしています。
コリドラスと同じように食べ残しを食べてくれます。
だからと言って餌が必要ないというわけではないので、どじょうの体の様子を見ながら餌を与えてあげてください。
外で飼育しているとユスリカの幼虫であるイトミミズやボウフラ、ミジンコなどが水槽に沸くときがありますが、どじょうはそれらを喜んで食べてくれるため、その場合はあまり餌を与えなくても大丈夫です。
今では専門料理店はありますが、自分の家で調理をするという方は少なくなってきたのではないでしょうか。
昔と比べて様々な食材が増えたため、どじょうを食す文化も廃れ始めています。
しかし、今でもうなぎのかわりとしてどじょうをかば焼きにして食べる文化をもつ地域もあるのです。
ちなみに、どじょうの味は少し苦みのまじった大人向けの味です。
味蕾のあるどじょうのひげは、私たちの舌のような存在になっています。
このため、なんらかの事故でひげが欠損した場合、食欲がなくなって最悪亡くなってしまうこともあるのです。
感染症にかかると溶けたりもしてしまいます。
ひげが再生しないというわけではないので、もしひげ部分に怪我をしているどじょうがいたら、他のどじょうとは隔離をして安静にさせておくのが賢明です。
上に挙げた以外にも、飼育が難しかったり、絶滅危惧種となっているどじょうは沢山います。
飼育しやすい、手に入れやすいという面ではやはり上に挙げた3種が一番です。
しかし、ホトケドジョウは絶滅危惧の可能性があるので、野生のものを捕獲すること、またペットショップで売られていても購入はおすすめしません。
掃除屋というとコリドラスのイメージが強いかと思われますが、実はどじょうも日本産のお掃除屋さんです。
植えた水草を倒してしまう可能性もありますが、コリドラス系と比べてしまうとメジャーではないのはどうしても食用のイメージが強いからかもしれません。
実際は可愛らしくて頼りになる生き物ですので、興味があれば是非飼育してみてください。
本記事がどじょうについての知識を深めたいと考えている方の参考になれば幸いです。
公開日 : 2018/01/19