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日本でもペットブームと言われて久しく、 犬 や 猫 といったポピュラーなものだけでなく、両生類や 爬虫類 を含めて様々な動物が育てられています。
なかでも飼育スペースが狭くても飼いやすい「 カエル 」は人気です。
その独特の質感のある見た目や顔の愛らしさから、子供から女性まで幅広い人気があります。
雨の多い日本ですので、住んでいる地域によってはよく見かける身近な動物だと思います。
今回はそんなカエルの中でも代表的な「トノサマガエル」についてまとめました。
飼いたいと考えている方も、ちょっと興味があるという方も、ぜひ参考にしてみてください。
トノサマガエルは アマガエル などと並んで、最も一般的でおそらくいちばんイメージしやすいカエルだと思います。
その基本的なデータについて紹介します。
学名:Pelophylax nigromaculatus(Hallowell, 1861)
分類:カエル目 アカガエル科 トノサマガエル属
体長:オス 38~80mm メス 6094mm
体重:15~40g程度
寿命:3~5年
近縁種:トウキョウダルマガエル(関東付近に生息)、ダルマガエル(中部地方から近畿地方に生息)
北海道を除く日本全国に幅広く分布しており、本州から四国、九州まで生息しています。
しかし関東周辺から仙台平野にかけては基本的にはいません。
関東で見かけた場合はどこかから逃げ出してしまった個体が野生化したか、あるいは近縁で見た目もよく似ている「トウキョウダルマガエル」などと見間違えられてしまっている可能性があります。
日本のみでなく、朝鮮半島や中国の一部にも分布しています。
あまり標高が高いところでなく、平野や低山部に多く見かけます。
トノサマガエルという生き物のもつ特徴を紹介します。
どんな生き物かわかってくればさらに愛着もわいてくるはずです。
見た目はけっこうかわいらしいですが、肉食です。
おもに生きている コオロギ などの昆虫やミミズ、クモなどを食べます。食欲は旺盛でときには小さな トカゲ や ヘビ などを獲物にすることも。
大きな口をあけて獲物を捉える姿はけっこう迫力があります。
また、カエルは胃を体の外に押し出せるという特徴があり、これによって実際に何を食べているかを調べている研究者もいます。
カエルは両生類であり沢や池などの水場を住み家にしていることが多いです。
水田などにもよく生活しており、日本の田園風景には欠かせません。
カエルは変温動物であり、寒くなるとそれだけ動きが鈍くなってしまいます。
春から秋くらいまで餌を食べたり繁殖活動を積極的に行いますが、寒い冬は地中で冬眠しています。
実はそれほど深くまでは潜らず、地上から数cmや落ち葉の下辺りで冬眠していることもしばしばです。
3月~4月になって気温が上がってくるとまた土から這い出てきます。
小さな体ですが後ろ足の力はとても強く、45cmほどもジャンプすると言われています。
手に持ってみるとその力強さを感じられると思います。
だいたい4~6月の春から初夏にかけてが、トノサマガエルの繁殖シーズンです。
繁殖期になるとオスは全体的に黄色がかった色になります。
よくイメージされる頬を膨らまして鳴いている姿は、このときによく見かけます。
オスは自分のなわばりをアピールするために、鳴嚢(めいのう)と呼ばれる部分を使って大きく鳴き声をあげます。
小さな体からすると驚くくらいの声量です。
「ゲロゲロ」となくのはアマガエルで、トノサマガエルの鳴き声は「ググググッ」といった感じです。
これによって他のオスにナワバリを主張し、かつメスを誘います。
オスは緑から茶褐色で、メスはそれよりも灰白色ぎみです。
オスもメスも背中に黒い斑点が分布していて、それが学名の由来にもなっています。
体色の変化する繁殖期以外ではオスとメスの区別がつきにくいですが、全体的に丸みを帯びていて体が大きい方がメスです。
しかし並べて見比べないとわからないかもしれません。
カエルが幼生期から大人になるにつれて見た目を大きく変化せせることはよく知られています。
子供のころはいわゆる「おたまじゃくし」と呼ばれる存在です。
繁殖期に産み落とされた卵は寒天のような物質に覆われています。
大きさは1.5mmほどと小さいですが数は2000~3000個にもなり、卵は1週間ほどで孵化します。
おたまじゃくしは丸っこい体に尾びれがつき、水の中で生活します。
植物や藻などを食べながら成長し、秋ごろまでには「変態」して大人のトノサマガエルの姿になるのです。
トノサマガエルという大仰な名前はその通り「殿様」から来ています。
日本のカエルの中ではトノサマガエルは大型の部類です。
さらにヘビなどの天敵に遭遇したときには、お腹をプクーっと膨らませながらのけぞり威圧します。
その姿が威張っている「殿様」のようだからトノサマガエルと呼ばれているという説があります。
トノサマガエルは野生にも普通に生息しているカエルのですので、屋外で捕まえることもできます。
ただし野外ではとても敏捷で、道具がない場合には素手で捕まえるのはなかなか難しいです。
すぐに泥の中などに身を隠してしまいますので、警戒させないように後ろからそっと近づいて網などで捕獲します。
ちょっと判別が難しいのですが、トノサマガエルを飼いたいという場合には見た目が似ている近縁種と混同してしまわないように気をつけましょう。
都内などで近くにトノサマガエルが生息していない場合は、ペットショップで販売されていることもあります。
トノサマカエルはその見た目や鳴き声、ジャンプなどからカエルの中のカエル!といった印象があります。
そんな親しみやすさが魅力です。
また世界には様々なカエルがいますが、環境への順応性が高く飼いやすいカエルとも言われています。
餌は変わったものはいりません。
ペットショップなどで手軽に購入できるコオロギやミルワームなどで大丈夫です。
たまにミミズやダンゴムシなどの生きた餌を与えられるとなお良いです。
餌は毎日あげなくても2,3日に一回でも良いとされますが、繁殖期であれば毎日あげても問題ありません。
さきほども紹介したようにトノサマガエルのジャンプ力はとても高いです。
そのためかなり大きめのケージが必要のようにも思いますが、不用意に脅かしたりしなければそれほど跳ね回って体をぶつけたりもしません。
45cmほどのプラスチック製のケースで十分に飼育できます。
ケージ内は水陸の双方が必要になります。
野生状態で生活している環境に近づけるには砂利などの石でなく、土を敷き詰めた陸地部分と水を張った水場部分を用意します。
水場はケージ内に水を張れるとよいですが、そうしてしまうと交換などが非常に手間になってしまいます。
タッパーなどの容器に水を入れておくだけでも代用可能です。
土はやや湿り気のあるものが好ましく、通気性を確保するためには上蓋などは網目状のものがよいです。
それだけでも最低限な生活はできるのですが、あまりにも見通しが開けていて身を隠す場所がないとカエルにとってストレスになってしまいます。
余計な飛び跳ねなどを防ぐためにも、できるだけ草や木などの自然物でシェルターを作れると理想的です。
また冬場は冬眠するので、柔らかい土や湿った落ち葉も大事になります。
環境を整えれば土の中に潜って冬眠をはじめます。
あまり氷点下にならないくらいの薄暗いところに保管しておくと、暖かい春にまた土から出てイキイキと活動を開始します。
カエルは野生化では捕食者と同時に、ヘビや 鳥 などに食べられることもある被食者なので、3~5年程度が平均寿命になります。
しかしそういった外敵がいない飼育下では、10年くらい生きつづけることもあります。
基本的には人馴れしないようですが、愛情をかけて育てればまれに懐くようです。
手の上に乗せながらいっしょにテレビを見るなんてケースもあります。
ぜひ長い目で付き合ってください。
トノサマカエルは穏やかそうな見た目をしていますが、なわばり意識がとても強く、自分のなわばりに他のカエルがいることを嫌います。
群れでの行動をしない生き物です。
小さな容器内に2匹以上飼っているときには共食いしてしまう可能性があるので注意が必要です。
土を多く使って住み家を作るのでケージ内も汚れやすいですが、とくに水はこまめに入れ替えないといけません。
カエルが罹りやすくかつ危険な病気に「ツボカビ病」があります。
細菌に侵されることで発症するとても致死率が高い病気です。
だんだんと体が麻痺していって最終的には死に至ります。
根本的な対策は難しいようですが、水を定期的に交換することで清潔に保つことが予防には大切のようです。
カエルはその親しみやすさや捕獲しやすさから、学校などで生き物を観察するときに対象としてよく選ばれます。
みなさんのなかでも理科の授業やクラスで、カエルを飼っていたという方もいるのではないでしょうか?
とくに子供にとっては生き物を飼う経験はとてもプラスになります。
犬や猫と並んで飼育するにはぴったりな生き物です。
トノサマガエルは日本の田園風景のなかには欠かせない生き物で、稲の害虫でもあるバッタやイナゴを食べてくれるので、人間にとっても有益な動物です。
とくに農業に携わる人にとっては古くから大切にされ、物語のモチーフになることも少なくありません。
またとても多くの卵を産むことから多産のシンボルとして用いられることもあります。
しかしそんなトノサマガエルですが、いまは環境省のレッドリストに準絶滅危惧種指定されてしまうなど、種の存続が危ぶまれています。
これは使われている水田が減少していることに加えて、近縁のカエルとの競争にさらされてしまっているからと考えられています。
トノサマガエルはニホンアマガエルなどよりは大きく、在来種の中では最大クラスの大きさです。
しかし、アメリカなどから持ち込まれて日本に定着した「ウシガエル」などと比べると体格は小さく、体長も半分ほどしかありません。
そのため餌や住み家をめぐっての競争に強くはないです。
また、同じく外来種である ザリガニ などの天敵も、トノサマガエルを減少させる一因です。
トノサマガエルを始めとするカエルは、日本の水辺における生態系と密接な関係にある貴重な捕食者です。
ハエやバッタといった人間にとっては害になってしまう生き物を食べてくれるほか、カエルの皮膚の成分から作り出された薬などもあります。
ただかわいらしいだけでなく、様々な恩恵を人間に与えてくれるトノサマガエルを保護していく観点も重要になってきています。
「トノサマガエル」について、その特徴や生態、飼い方などについてまとめました。
様々なキャラクターとして描かれることも多く、日本人には馴染みの深い生き物です。
飼育もそれほど難しくなく、野外で捕獲することもできるためペットとしても向いています。
一度飼えばそのカエルらしさのあふれる魅力をさらに体感できるはずです。
両生類や爬虫類に興味がある方はチェックしてみてください!
最終更新日 : 2020/10/20
公開日 : 2017/12/28