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コブラは主にアフリカ大陸やアメリカ大陸、パプアニューギニアや太平洋、さらに日本南部などの暖かな場所に生息する毒蛇です。
体長が5mを超えるものもいれば、30cmほどの小型のものまでその大きさはさまざまですが、共通する特徴として非常に毒性が強いことが挙げられます。
コブラの毒は主に神経毒で、獲物を迅速にマヒさせることを目的としていますが、血清で命を取り留めても噛まれた場所や四肢の末端が壊死を始めてしまうという症状が残ることが殆どです。
日本では特定動物に指定されており、申請をすれば飼育すること自体は可能ですが、現実的ではないと言っても良いでしょう。
日本に生息する ヤマカガシ やハブ、マムシなどもそうですが、個人で毒蛇を飼育する場合は必ず血清の入手が必要となります。
蛇 は素早い個体が多いため、不要な事故を避けるためにも毒蛇の飼育には様々な制限が敷かれています。
しかしコブラに関わらず毒蛇は非常に美しい模様をした個体が多く(警戒色のためです)、鑑賞のみであれば非常に私たちの目を楽しませてくれるのです。
今回は世界各地に生息するコブラの中でも有名な種や、最も危険とされている種、更に日本に生息するコブラだけでなく日本で毒蛇を見るならココ!というお勧めスポットの紹介をさせて頂きます。
かま首をもたげ、頸部を大きく広げて威嚇している姿が有名な非常に大型のコブラです。
世界最大の毒蛇ともいわれており、記録として559cmもの大きさにまで成長した個体が確認されています。
キングコブラはカンボジア、タイやネパールなどのインド亜大陸やインドシナ半島などの森林に生息するコブラ種の中でも最大の毒蛇です。
他の蛇と同様、食性は トカゲ や 小動物 などの動物食ですが、なんと他の種類の蛇も主食にしています。
属名のOphiophagusは「蛇を食べるもの」の意味であり、英名のキングもそこに由来されています。
大きさ、食性などからまさに蛇の王様と言っても過言ではない種族です。
一度の出産で20個から50個ほどの卵を産むというかなり多産な蛇でもあります。
また、メスは卵が孵化するまでまわりにとぐろを巻いて守り、非常に攻撃的になるため抱卵期のメスには決して近づいてはいけないと言われています。
「象をも殺す」と言われているキングコブラですが、実はその性格は温和な個体が多いことで知られています。
ただし、下記で説明するタイパンやブラックマンバに比べればという話であって、決して簡単に触ることができるという意味ではありません。
成体になると平均3mほどの大きさになるため、威嚇の際に大きく頸部を広げ、かま首をもたげると頭部が大人の胸元にまで達することもあります。
キングコブラは他のコブラと違い、威嚇形態の際にもゆっくりと移動することができるため威嚇をされたときは近づいてはいけませんが、そこで自ら攻撃を仕掛けてくるということは滅多にないと言われています。
日本に生息するヤマカガシなどもそうですが、攻撃的でない蛇は威嚇後に刺激をしなければそのまま去っていくことが多いです。
実は毒も他のコブラと比べると強いほうではなく、温和な性格もあって現地ではそこまで恐れられている蛇ではありません。
では、何故「象をも殺す」と言われているのかというと、その理由は体長に見合った大きな牙につながっている毒腺にあります。
毒腺が発達しているキングコブラがひと噛みで獲物の体に注入する毒は非常に多く、他のコブラの数倍になるのです。
とても強い猛毒というわけではないのですが、注入される量が多いため素早い処置が必要となり、また大量の血清を必要とします。
最も、基本的に森林で暮らしている蛇なため人間との接触は多くないです。
タイ王国ではキングコブラは神聖な動物として扱われており、人里に入り込んだキングコブラを丁寧に捕獲して森へと返すことを専門とする職業もあります。
コブラを含めた毒蛇が多く出没するインドでは非常に恐れられている毒蛇が4種います。
インドコブラ、アマガサヘビ、ラッセルクサリヘビとカーペットバイパーです。
ちなみにインドで誕生した仏教の中に孔雀明王と呼ばれる邪気(毒)を払う象徴の信仰がありますが、こちらはクジャクに神経毒の耐性があることに起源があります。
インド、スリランカ、ネパール、パキスタンの草原や農耕地に生息する毒蛇です。
場所を選ばず人里に出没することも多いため、インドでは毎年1万人ほどがインドコブラに噛まれる事故が起きていると言われています。
現在は血清が開発されていることもあって死亡率は比較的低いとされていますが、噛まれた場所の皮膚の広範囲の壊死という症状が残ることが多いです。
大きくても1mほどのインドコブラが主食とするのは小型の哺乳類や カエル などの小動物です。
そのため、人家に入り込んだり農耕地に生息する餌を求めて人間と接触するという事故が多発しているのです。
繁殖は卵生ですが、キングコブラより多くはなく、8~20個程度の卵を産み落とします。
インドコブラの最大の特徴は、なんといっても頚部のフードと呼ばれる場所の背面に眼鏡模様の斑点が入っていることです。
有名なゲーム、ポケットモンスターに出てくるアーボックの姿を想像して頂くと分かりやすいでしょうか。
また、コブラというと「コブラ踊り」と呼ばれる見世物を思い出す方もいらっしゃると思います。
こちらはインドの名物で、人が吹く笛の音に合わせてコブラがかま首をもたげ、ゆらゆらと踊るというものです。
実際は笛の音ではなく、地面を伝わる振動や笛を揺らすことでコブラに威嚇行動をとらせ、まるで笛の音で踊っているように見せているのです。
インドコブラは体の模様などからも見世物として優秀なためよく使われていますが、蛇使いがコントロール出来ているというわけではないので現地で見る場合は距離を取って見物することをお勧めします。
タイワンアマガサとも呼ばれることもある、140cmほどのコブラの一種です。
中国南部や台湾、ベトナムなどにも生息しています。
こちらもインドコブラのように農耕地などの人がいる場所や、また、魚類を好んで食べるという性質を持っているため水場にも表れます。
下記するラッセルクサリヘビとカーペットバイパーに比べると大人しいですが、人家付近にも生息するため夜に誤って踏んでしまうという事故が多発しています。
暖かい場所を好むため、寝床に入られてしまうパターンも同様に多いようです。
また、アマガサヘビと近縁のインドアマガサはアマガサヘビよりも危険で凶暴性も高く、その致死率は50%にもなります。
アマガサヘビの特徴として、こちらも非常に強力な毒が挙げられます。
α-ブンガロトキシンと呼ばれる猛毒を持っているのですが、こちらはニコチン性アセチルコリン受容体というタンパク質に作用する強いペプチド毒になります。
この毒が体内に入ると体中の全ての筋肉が凝固してしまい、結果として死に至るケースが非常に多いです。
噛みつかれた箇所も特に痛みが現れないため、アマガサヘビに噛みつかれた場合、症状が進んで手遅れになってしまう場合が殆どと言っても良いでしょう。
人間の致死量はわずか2,3mgで、針にひと塗りしてどこかに刺すだけでも十分に人を殺める力を持っています。
このため、現地で蛇取りを生業にしている人もアマガサヘビにはよほどのことでもない限り手を出しません。
ラッセルクサリヘビとカーペットバイパーは正確にはコブラではなく、ガラガラ蛇などのクサリヘビに属していますが、こちらも合わせて紹介させて頂きます。
インドから台湾にかけて生息している毒蛇です。
広く分布していますがその分布数はまちまちで、被害が少ない箇所と被害が多い箇所では全く噛まれてしまった人の数が違います。
ネズミ などの小動物や小鳥を食べるため、餌を追って人里に紛れることが多く、また夜行性なためラッセルクサリヘビが多数生息している地域で夜に出歩くことは危険と言っても良いでしょう。
この種の毒は非常に症状が重く、噛まれると体中に激痛が走りるため噛まれたかの判別は付きやすいですが、助かっても後遺症が残ったり手足の切断をしなくてはいけないケースが多いためとても恐れられている蛇です。
また、卵胎生なため卵をそのまま産み落とすのではなく一度に20~60匹ほどの子蛇を産むという繁殖方法を取ります。
鱗をこすり合わせるという威嚇の音がノコギリで木を引いたような音がすることから、和名では「ノコギリヘビ」と呼ばれることもある毒蛇です。
体長はあまり大きくなく40~60cmほどですが、体色が落ち葉の色に似ているため自然の中では非常に見つけづらい蛇になります。
性質は獰猛で他の蛇のように威嚇をして去るということがなく、寧ろ近づいてきた人間は積極的に襲うため、世界でも非常に危険な毒蛇の一種であるとされています。
人類史上、最も人を殺していると言われるほどに強い毒を持った獰猛な蛇がブラックマンバです。
素早く獰猛で、毒を多く注入してくる特性を持つ出会ったら最後というような毒蛇です。
実質、ブラックマンバにこれと言った天敵はおらず、生息地のサバンナの中ではほぼ頂点に位置する存在であると言われているほどです。
ブラックマンバはアフリカ大陸に生息しています。
他のマンバ類は樹上で生活することが多いのですが、ブラックマンバは基本的に地表生です。
しかし木登りも得意なので、結果的に様々な場所でその姿を見ることになります。
コブラの中でもかなりの大型で、最大で4mにもなる個体が確認されています。
しかし大型と言っても、ニシキヘビのようにずっしりとした体になるわけではなく一般的な蛇のような細長い体型が一般的です。
よって体重も軽いため、非常に速いスピードで獲物を追いかけることができるというわけです。
馬よりも早いと言われていることもありますが、その実、ブラックマンバのスピードは50mを11秒程度とそこまで早くはありません。
ただ、走り始めでしたら十分追い付かれるスピードで瞬発力も高いため、危険な蛇であることには変わりがなく、勿論噛みつきの際に神経毒もたっぷり注入されます。
ブラックマンバは名前に「黒」が入っていますが体色は実は黒くはありません。
保護色である灰色、もしくは褐色の個体が多く、メラニズムの個体のような怪しい美しさを持っているというわけではないのです。
では何故「黒」が名前に入っているのか、その理由は口腔内にあります。
ブラックマンバの口の中は上あごも下あごも、舌やなんと歯まで真っ黒なのです。
実際は黒というよりは紺色に近いですが、ぐわっと口を開いたブラックマンバの口腔はまるで吸い込まれてしまうような、どこか死を暗示させる色をしています。
ブラックマンバは即効性の毒を持つため血清があったとしても助かる可能性が少ない蛇でもあります。
治療ができなかった時の死亡率はほぼ100%という反面、後遺症はさほど残らないので毒に打ち勝つ量の血清さえ打つことができれば人間の勝ちです。
サバンナを歩くときは必ずブラックマンバの血清を一つは身に着けておいたほうが良いかもしれませんね。
また、性格は獰猛ですがカーペットバイパーのように威嚇もせずに人を襲うということはありません。
そのためアフリカではどちらかというとブラックマンバの毒で死亡する人間よりもカーペットバイパーの近縁種による死亡率のほうが高いのです。
どの動物でもそうなのですが、一度敵であると判断する、もしくは身の危険を感じるようなことがあると獰猛になることが多いです。
ブラックマンバも同様ですので、もし生息地に行って蛇を見かけたとしても近くに寄って刺激することは避けてください。
どちらかというと見た目的に「ブラック」なのはこちらのタイパンと呼ばれる毒蛇になります。
淡い褐色~濃い褐色の体に赤い虹彩を持つタイパンは美しい蛇ですが、ブラックマンバ同様その美しさは死を暗示するかのような美しさでもあります。
キングコブラ、ブラックマンバに次いで体長が大きな種類であり、現在は最大全長4mのタイパンが確認されています。
タイパンはニューギニア島南部、そしてオーストラリア北部に棲息しており、分布によって体色に変化があります。
ニューギニアに分布しているものは体色が濃く、オーストラリアに分布しているものは淡い褐色になります。
小型の哺乳類を餌とするため、こちらも農耕地や森林などに生息しており、人の生活範囲にも食い込むこととなっています。
獲物に一度噛みついて毒を注入したあとに再度噛みつくという習性を持っており、このことから非常に攻撃性が高いことがわかります。
早朝や夕方など、まだ視界が不明瞭な時に良く活動しているため、その時間帯にタイパンの分布地域を出歩く場合には注意が必要です。
専門家がブラックマンバと並んで世界でも最も危険な蛇であると言うほどにはタイパンは獰猛な気質を持つことで有名です。
タイパンが捕えた獲物には多くの歯型が見られ、何度も執拗に、かつ俊敏に噛んでいることが推測されます。
タイパンの持つ毒は神経毒以外にも出血毒や溶血毒も含んでいるとされ、非常に高い致死性を持っています。
タイパンのたったひと噛みで流し込まれる毒の量は成人男性の致死量100人分にもなるそうです。
しかしその一方でタイパンの毒には止血の効果もあるため、現在は止血剤として活用ができないかどうかの研究が進められています。
また、オーストラリアの内陸には近縁種のナイリクタイパンがいますが、こちらは血清が存在しているうえに性質が極めて大人しく、噛まれたことによる死者は少ないです。
ウミヘビはとてもたくさんの種類が存在しています。
完全に海生に適応し、水陸両用の体を持たないものもいますし、休憩や産卵時には地上に上がる種類のものもいます。
今回紹介するエラブウミヘビは後者で、陸に上がるための腹盤を持っている蛇です。
インド洋から日本の南西諸島に分布するコブラ科の毒蛇です。
人を襲うことは基本的にせず、エラブウミヘビに噛まれることは不運な接触か、もしくは捕まえるなどのちょっかいを出した時になります。
そのためハブの70~80倍もの強さを持つ毒を持っているエラブウミヘビですが、注意喚起をするほど危険な蛇というわけではありません。
水温が19℃を下回らない地域で生活をしていますが、最近では温暖化による水温の上昇により九州や四国、また本州の南海岸でもその姿が目撃されています。
しかし乱獲や環境変化によってその個体数は年々数を減らしつつあるのが現状です。
体長は70~150cmほどで頭部は小さく、つぶらな瞳と相まって愛嬌のある顔をしています。
主食はベラやスズメダイなどの魚で、時折甲殻類も捕食することがあります。
大人しい性格をしており、また臆病なため素手で捕まえることも可能です。
沖縄では干物にしたりお酒につけたりしてエラブウミヘビを食べる文化があるため素手で捕まえる方もいるのですが、ハブよりも毒性が強いため噛まれた場合は最悪死に至ります。
また、エラブウミヘビほどではない種類もいますがウミヘビは毒を持っていることが多いです。
不幸な事故を防ぐためにも、素人がウミヘビを捕まえることはお勧めいたしません。
こちらの蛇の名前を聞いたことがある方は少ないのではないでしょうか。
エラブウミヘビ同様大人しく人に害を与えるケースが極めて稀なため、こちらの蛇も大きく注意喚起をされることはありません。
しかしコブラらしく、その毒はしっかりとハブの4,5倍の毒性を持っています。
山に生息し、基本的に地表で生活している蛇です。
食性は動物食で、トカゲやメクラヘビなどの爬虫類を主に捕食しています。
一度の繁殖で産む卵の数は少なく、多くても4個程度しか産みません。
そのため、環境開発による生息地の減少で現在も数を減らしつつあります。
ヒャンは30~60cmと小型の蛇に分類されます。
奄美大島や久米島などでそれぞれ別種の個体が生息しているのですが、それぞれヒャン、ハイ、クメジマハイという学名が付けられており、ヒャンもハイも沖縄付近の方言で「日照り」を意味しています。
攻撃方法は癖のある可愛らしさで、勿論噛みつきもするのですがそのほかにとがった尻尾の先で相手の体をつついて攻撃するという方法もとります。
尻尾には毒がないので、尻尾で刺されたことにより命を落とす危険はありません。
今回紹介した蛇のうち、数種類は日本の 動物園 でみることができます。
最も、コブラは非常に毒が強い種類の蛇です。
そのため普通の動物園でコブラが飼育されていることは極めて稀で、ほとんどないと言っても良い状態になっています。
こちらで紹介させて頂く動物園、研究センターではコブラ以外の毒蛇や 爬虫類 も観察することができますので、興味がありましたら是非見に行ってみてください。
群馬県にある、非常に多くの毒蛇を飼育している施設です。
有名なキングコブラはもちろんのこと、コブラの中でも非常に危険なブラックマンバも展示されています。
エラブウミヘビも見ることができますよ。
他にもここでは紹介しなかったコブラたちも沢山いますし、日本の毒蛇であるヤマカガシ、ハブ、マムシの姿を見ることもできます。
土日に開催される、ハブの牙から毒を採集するイベントは必見です。
毒蛇以外でも カメ 類やトカゲなどの爬虫類の姿も見れますので、そうした生き物が好きな方は行って損はしないと思います。
こちらは静岡県にある珍しい爬虫類や動物を主に取り扱っている動物園です。
現在は赤い色の体が美しいアカドクハキコブラという種類のコブラが展示されているようです。
他にも毒をもつオオトカゲや名前は知っているけど、本物を見たことがある方は少ないであろう エリマキトカゲ やキモカワとして有名なハダカデバネズミなど、普通の動物園では中々見ることができない生体が沢山います。
こうした動物を扱っている動物園は珍しいため、気になる方はこちらも一度は行ってみるべきです。
コブラについて、如何でしたでしょうか。
ここで紹介しましたのは有名かつ毒性が強いコブラたちですが、数多くの種類が存在するコブラの中ではたった一部分です。
毒蛇といっても、獰猛な種類を除けば蛇は基本的に温和な生き物です。
残念ながら現地に行って観察する=死に繋がる危険につながるので、日本にある動物園で観察するのが一番だと思います。
この記事がコブラ、並びに毒蛇についての知識を少しでも深めたいという方の参考になれば幸いです。
最終更新日 : 2021/05/11
公開日 : 2017/12/21