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・保護をする時は本当に保護が必要な個体なのか確認してからにしてください。
「ホーホケキョ」という独特の鳴き声が特徴のうぐいすは、その美しい声から日本三鳴鳥(うぐいす、 オオルリ 、コマドリ)の1種に数えられています。
しかし、鳴き声は聞いたことがあるけれど鳴いているその姿を見たことはない・・・という方は意外と多いのではないでしょうか。
実はうぐいすは警戒心がとても強く、人前に姿を見せることは滅多にありません。
また、姿かたちや体の色も少々似通っていることから メジロ とよく混同されています。
今回はそんなうぐいすについて、生態、特徴、保護の際の注意点とともにメジロとの違いについても解説していこうと思います。
うぐいすは主に東アジアに分布している 鳥 です。
渡り鳥というわけではありませんが、寒さが強い東北地方や北海道では冬に関東や関西へ移動します。
特に北海道では暖かくなり始めるのが少し遅いため、うぐいすが鳴き始めるのも4~6月からです。
「春告げ鳥」と呼ばれる通り、早春に鳴き始めることから気象庁ではうぐいすの鳴き声を初めて聞いた日を「うぐいすの初鳴き日」と呼び、生物季節観測の指標にしています。
繁殖を行う時期は初夏が多いのですが、その時にオスのうぐいすは一日に1000回も鳴くこともあることが確認されています。
また、「春告げ鳥」以外にも多くの呼び名があり、その数なんと14種類。
歌詠鳥(ウタヨミドリ)や初音(ハツネ)など、可愛らしい呼び名が多いことも特徴です。
「ホーホケキョ」という特徴的な鳴き声は他のオスに対する縄張り宣言であり、求愛の歌、そしてつがいとなったメスへ対する安全への合図でもあります。
美しく鳴くことができるオスのうぐいすはメスにモテる可能性が高くなるため、綺麗に鳴けるうぐいすのほうが多いのかと思いきやそういうわけでもありません。
特に、若い個体などは鳴き声もまだまだ上手ではなく、「ホーホケキャ」と一音ずれていたりそもそも鳴き方がおかしかったりすることもあります。
試行錯誤をしつつさえずっている若いうぐいすの声にはどこか微笑ましさも感じられます。
鳴き方が上手な個体だけではないことも、うぐいすの魅力の一部です。
親が鳴いている様子を聞いて鳴き方を覚える個体が多いので、鳴き方に一定の特徴があるうぐいすの声を何か所かで聞いた場合は、もしかしたら親子かもしれません。
このようにちょっぴり歌が下手な個体が繁殖した場合はその地域のうぐいすの鳴き声がちょっと下手になる可能性があります。
「ケキョケキョケキョ・・・」という短く連続した音で鳴くこともありますが、これはつがいのメスに縄張り内の危険を知らせる合図です。
うぐいすの縄張りに近づいたときに警戒音を出されたときは、刺激しないようにゆっくりとその場を離れるようにしましょう。
うぐいすは雑食で、夏場にはクモや羽虫などの昆虫を食べますが、それらの昆虫が姿を消す冬には木の実などを食べています。
冬には庭に小鳥用の餌場を作っておくと現れるときもあるのです。
餌が乏しい冬場は、小鳥たちにとって厳しい季節になります。
鳥たちは案外目ざとく、餌場を設置すると恐る恐るながらも餌をつつくなど、可愛らしい姿を見せることがありますよ。
うぐいすは比較的見かけることが少ないかと思われますが、スズメやムクドリ、オナガや ヒヨドリ 、果物を置いておくとメジロなども来てくれます。
どうしても糞の問題などはありますが、家で気軽にできるバードウォッチングに鳥のための餌場は非常に最適です。
うぐいすは実はスズメの親戚です。
そのため、オスもメスもスズメ程度の可愛らしい大きさをしています。
また、卵のサイズが ホトトギス の卵のサイズと似通っていることから托卵をされ、時々ホトトギスの子を育てている姿が見かけられています。
オスの鳴き声が有名なことからメスは鳴かないと思われていることが多いですが、メスも「チャ、チャ、」と笹鳴きと呼ばれる小さなさえずりを出します。
オスが「ホーホケキョ」と鳴くのは繁殖期のみで、その他の季節に鳴くことは稀と言っても良いです。
そして、実はうぐいすのフンは洗顔料やにきびの治療薬として非常に高い効果が得られることが分かっています。
脱色作用があることから、着物の染み抜きなどにも使われるなどしていました。
うぐいすの大量飼育は難しく、また飼育で得られる糞はとても少ないため、現在「うぐいすのフン」を謳われている商品はその殆どがソウシチョウと呼ばれるスズメ目の小鳥の糞が原材料となっています。
うぐいすとメジロは両種とも春告げ鳥として有名であり、かつ姿形も似ていることから古くから混同されてきました。
しかし実際は全くの別種で、双方とも雑食性ではあるものの、主食にするものも違いますし鳴き声も全く違います。
メジロは警戒心が少なく、比較的その姿を間近で見ることができる鳥の一種ですが、うぐいすは警戒心が強いことで有名です。
背中から頭にかけての体色も異なり、うぐいすが濃いオリーブ色なのに対して、メジロは黄緑に近い体色をしています。
うぐいす餡、と呼ばれるエンドウを使った餡子がありますが、うぐいすの体色はその餡子のような暗めの濃い緑色を想像していただければと思います。
実際に写真で比較してみると、その色の違いは一目瞭然です。
また、メジロは「目白」という名前の通り、目の周りに白い模様がありますが、うぐいすにはありません。
食性も異なり、メジロは花の蜜なども食べますが、うぐいすは基本的に昆虫食です。
ちなみにソメイヨシノなどの桜や梅の花の蜜を吸い、花を地面に落としていく犯人の一種がメジロだったりもします。
甘いものが好きなようで、餌場にリンゴやみかんなどの果物を置いておくとメジロが嬉しそうに食べている様子を観察できますよ。
庭に来た鳥がどちらだかわからない・・・となった時は2種の違いの最大の特徴である目の周りの色と、背中の色を観察して見てください。
現在うぐいすは鳥獣保護法により捕獲、飼育が禁止されています。
千葉県と東京都では準絶滅危惧となっており、埼玉県でも地域別危惧の指定が受けられています。
うぐいすの声の美しさを競う「鳴き合わせ」と呼ばれる行為が以前はありましたが、うぐいすの捕獲が禁止となってからは行われていません。
また、個人店などで販売されているうぐいすは密猟されたものが殆どだと思われますので、見かけても購入することは避けましょう。
しかし、何らかの事故によって巣から落ちてしまったヒナや怪我をして飛べなくなってしまったうぐいすを保護する時は別です。
今回はうぐいすを保護したときはどのような対処をすればよいのかを説明させていただきます。
巣立ち前に飛び方の練習をする鳥が殆どです。
巣立ち前の雛はまだ羽もきれいに生えそろっておらず、少しぼさぼさとした毛並みなのも特徴です。
そのため地面にいると、まるで巣から落ちてしまったのか、それとも怪我をしてしまったのか、と不安になる見た目をしています。
うぐいすを保護する前に気を付けてほしいことは、 近くで親が見守っている巣立ち前の雛は保護をしないこと です。
地面に落ちている雛を見かけたとき、上手ではないものの羽ばたく様子を見せたり、近くで親の「ケキョケキョケキョ・・・」という警戒音がしたら保護をするのはやめておきましょう。
怪我をしている、もしくは衰弱が激しいようでしたら、やはりまずは病院に行きましょう。
保護をしたとき、地面の上や、草むらの中に落ちている個体が殆どだと思いますが、まず真っ先にするべきことは保温です。
鳥の体温は40度程度と人間よりも高く、冷たい地面に体をつけている場合は低体温になってしまっている可能性が高いです。
ぐったりとして身動きをしていなかったり、羽を膨らませて明らかに体が冷えている場合は、一旦服で包んで体温をそれ以上逃がさないような措置を行ってください。
体温が奪われることは体が小さな鳥にとって大きなダメージになってしまいます。
保護した鳥を入れる巣箱の中は、常に30度近い温度を保つような工夫が必要です。
具体的にはお湯を入れたペットボトルをタオルでくるむ、電気あんかを底に敷く、白熱電球の熱を利用する、などの方法があります。
体温の低下は消化器官の動きなどの低下にもつながりますから、スムーズな餌やりのためにも温度には気を付けましょう。
温めたら水で薄めたポカリスエットや5%濃度のブドウ糖液で補液を行います。
ヒナも成鳥もそこまで大量に水を飲まないため、2,3滴で十分です。
スポイトを使う、綿棒に含ませるなどして、嘴の端に当てると飲んでくれます。
ここで注意するのが、直接嘴を開けて無理やりに与えないことです。
肺に入ってしまい、死んでしまう場合があります。
うぐいすは基本的に昆虫を食べるので、 コオロギ やミルワームを与えるとよく食いついてくれます。
幼いヒナの場合は昆虫の中身をこし出して与えたほうが良いかもしれません。
成鳥でしたら問題はありませんが、それらが手に入らない、与えるのに抵抗がある場合はすり餌や茹でて細く割いたささみ、ふやかした ドッグフード などをお勧めします。
野鳥の餌として生米を与える場合もあるのですが、うぐいすは米を食べる鳥ではありません。
米が大好きなスズメも、生後一年未満のヒナのうちは炊いたものでないと消化できないのです。
ですので、ヒナを保護したときに与えられそうなものがお米しかなかった場合は、炊いたものを水で洗い、ぬめりをとってから与えるようにすると良いでしょう。
他の鳥もそうなのですが、羽に大怪我をしてしまったり、羽毛が生えていないようなヒナの時に保護したうぐいすは自然に戻すことは難しいと言われています。
一時的な保護であれば可能でも、継続的な飼育が難しい場合は鳥獣保護センターなどに連絡をして引き取ってもらうこともできます。
保護が難しい場合も同様です。
野生動物に人間の手を加えるべきではないと言う意見もありますが、うぐいすが良く巣を作っている藪が減ってしまっていることから、その個体数は年々減りつつあります。
保護をするべき状態の個体を見かけたら、是非その手を差し伸べてあげてください。
特徴的な美しい鳴き声は古来から親しまれてきました。
寒い冬が終わり、春を喜んで詠う和歌としていくつか詠まれています。
なんと、中々独創的な鳴き声を持つ子もいます。
特に若い個体はまた歌うのに慣れていないのか、ちょっと不思議な鳴き方をするようです。
「ホーホケキョ」と美しく鳴ける個体は案外少数なのかもしれません。
一度違いが分かってしまえば見分け方は簡単です。
うぐいす色はどんな色だったかな?と思ったときはうぐいす餡を思い出してください。まさにあの色です。
警戒心が緩く、餌場に良く姿を見せることから、メジロのほうが沢山その姿を見かけられると思います。
うぐいすもそうですがメジロも特に害のある小鳥ではないので(花の蜜を食べて花を落とされる時もありますがそもそも小食です)安心してください。
羽が生えていないようなヒナや、明らかに怪我をしている成鳥の時は別です。
鳥を診ることのできる動物病院、もしくは鳥獣保護センターに連絡をして、可能な限りの処置をして頂けると助かる可能性が高まります。
開発による自然環境の減少や外来生物の繁殖で、以前はよく見られた日本独自の生き物はだんだんとその姿を減らしてしまっています。
至る所で目にできるスズメなども、実は昔と比べると大幅に個体数が減少しているのです。
うぐいすだけではなくそうした野鳥たちも、保護が必要な個体を見かけたら是非保護してあげてくださいね。
この記事がうぐいすの知識を深めたいと考えている方や、うぐいすの保護をした方に少しでも役に立てば幸いです。
最終更新日 : 2024/03/12
公開日 : 2017/11/29