本ページに掲載のリンク及びバナーには広告(PR)が含まれています。
・ヤドクガエルのすべてが強力な毒を持っているわけではありません。
ヤドクガエルは北アメリカ南部から南アメリカ大陸、ハワイなどに生息する有毒の カエル です。
「ヤドク」という名前は先住民がその皮膚や内臓から毒を抽出し、矢じりや吹き矢に塗って使ったことが由来となっています。
吹き矢に使われるヤドクガエルは「フキヤガエル」とも呼ばれ、様々な種類のヤドクガエルの中でも特に毒が強いと言われています。
20μgという少ない量で大人を死に至らしめるほどの強い毒を持つモウドクフキヤガエルは、皮膚にも強い毒を持つため素手では触ることができないほどです。
しかし、普通のヤドクガエルであれば飼育は可能ですし、命にかかわるような強い毒を出すこともありません。
飼育環境によっては無毒になる場合が殆どです。
今回はそんなヤドクガエルについて、生態、特徴、飼い方を説明していきます。
ヤドクガエルは低地の熱帯雨林から高山の雲霧林に分布しています。
一般的なカエルのように湿潤な環境を好み、体格にあった昆虫や節足動物を食べて暮らしています。
熱帯雨林などの暑くて湿度が高い場所に生息しているため、一見高い気温に耐性を持っているようにも見えますが、実は30℃を越える気温にはとても弱いです。
日本の夏は30℃を越える日が多いですから、ヤドクガエルを飼育する際にはしっかりとした温度管理が必要だと言えるでしょう。
ヤドクガエルの大きな特徴の一つに、色鮮やかな体色があります。
青や黄色、赤だけではなく様々な色が混じった警戒色は、毒を持っていると分かっていてもつい手を伸ばしてしまいそうになるほど。
アフリカに生息している ベルツノガエル なども赤や黄色が混じった体色を持っていますが、ヤドクガエルはベルツノガエルとはまた違った美しい発色を持っているのです。
また、ヤドクガエルの持つ「毒」についてですが、こちらは最初から持っているわけではありません。
生息地に生息しているアリやダニ、ヤスデなどを捕食して、そこから体内に毒を蓄えていると言われています。
毒のある生き物を食べて、その毒を体内に蓄える生き物は日本にも数種類おり、代表的な生き物として ヒキガエル やそのヒキガエルを食べる ヤマカガシ 、 アカハライモリ などが挙げられます。
テトロドトキシンで有名なフグも、毒のある藻や貝などを食べて生物濃縮を行うことで体に毒を貯めています。
しかし、無毒な餌で育てたフグは、毒を持つこともなく安全に食べることができるのです。
そのため、ヤドクガエルも CB と呼ばれている飼育下で繁殖された個体であれば、毒を持つことはありません。
一方で WC と呼ばれている野生で捕獲した個体は弱くても毒を持っている、かつ飼育環境に慣れてくれない場合が多いので、飼育するにはあまり向いていないと言っても良いでしょう。
ヤドクガエルを飼育するに当たって、しっかりと整えるべきことは
の4つです。
ヤドクガエルはあまり大きなカエルではありません。
大きくても6cm程度の個体が多く、小さな種類だと1cm程度のものもいたりします。
しかし、ヤドクガエルを飼育するにあたって必要なのが自然の環境を模したビバリウムとなるため、必然的に水槽は45cmから60cm程度のものが必要となります。
野生下では300m程度の縄張りを持つと言われているヤドクガエルですが、飼育下でそれほどのスペースを手に入れるには難がありますので、ある程度深さがあり、幅も広めな大型水槽や両生類や爬虫類専用の水槽を使用することをお勧めします。
ビバリウムは土や苔、流木や植物を使って作る小さな箱庭です。
自然の一部を水槽の中に切り取ったような環境を作ることが目標となります。
ヤドクガエルは環境の変化や刺激を好みませんので、排泄物は土や植物の浄化作用で処理をするという形になります。
ヤドクガエル用のビバリウム作成キットを販売している場合もありますが、自分で一からビバリウムを作りだすというのも中々面白いのではないでしょうか。
軽石や通気性や排水性に優れているヤシガラ、黒土などを土台にシノブゴケ等のコケ類を敷いて環境を整えたり、マングローブの根や流木、植物等を植えてヤドクガエルの隠れ場を作ったり...など、自分の好きなようにレイアウトができるのもビバリウムの利点です。
ヤドクガエルを販売している場所のビバリウムや、インターネットで自作のビバリウムを公表している方のデザインを参考にしてみるとより良いものが作れると思います。
ヤドクガエルを飼育する際は、是非こうした面でも楽しんでみてください。
熱帯に住むヤドクガエルは湿った場所を好みます。
土台に敷いたコケを弱らせないためにも、ヤドクガエルの水槽に湿気は必要と言えます。
両生類の飼育場所では70%程度の湿度を保つべきである、と言われていますが、こちらは常にコケがしっとりと湿っている状態であればあまり問題はありません。
ビバリウムのレイアウトによっては常に水が流れているような状態にしたりもできますし、毎日霧吹きで水分を補充する場合でも十分に湿度は保てます。
また、湿度とヤドクガエルが水分を摂取するということはまた別なので、水飲み場は忘れずに設置してあげてください。
ヤドクガエルが住んでいる南アメリカ大陸やハワイは、日本と違って気温の変化が激しい地域ではありません。
そのため、日本でヤドクガエルを飼育するためには、気温の徹底した管理が必要となります。
30℃を超えるとヤドクガエルは弱ってしまいますから、26~28℃程度を保つようにしてください。
低温にはある程度耐えてくれますが、それでも一度体調を崩してしまうと小さなカエルには命に関わってしまうこともあります。
夏はクーラーをつける、冬はヒーターを付けるなどして適切な気温を保つことが大切です。
飼育が可能なヤドクガエルの種類は案外多いです。
猛毒を出すヤドクガエルはほんの三種類しかいませんし、その色鮮やかな姿からヤドクガエルの愛好家は世界各地にいるため安定した飼育方法も確立されています。
ヤドクガエルの飼育に関してはどの種類でも取り立て特別なものを用意する必要があるカエルはいないと言ってもいいです。
そこで今回はヤドクガエルの体型(小型、中型、大型)に焦点を当てて、おすすめのヤドクガエルを紹介しようと思います。
最大でも2~2.5cmとヤドクガエルの中でもかなり小型のカエルです。
イチゴ、と名前にあるように、胴体の色が赤い個体が多く見られます。
四肢の色は胴体と反して青く、青いジーンズパンツを履いているようにも見えるため、ブルージーンと呼ばれることもあります。
自然の中ではあまり見かけることのない美しい赤色の体は十分に目を楽しませてくれます。
胴体が赤く、四肢は青く、という個体が多いですが、生息地によっては黒、黄色、緑など体色に変化があるため、野生での見分け方は難しいと言えるでしょう。
また、雌が幼生を運んだ水場を巡回し、そこで無精卵を産んで幼生に食物として与えるというエッグフィーダーと呼ばれる特殊な繁殖体系を持っているので、飼育下での繁殖が難しいカエルとされています。
そのため、流通している個体は野生(WC)であることが多いです。
野生の個体は確実に毒を持っていますから、イチゴヤドクガエルを飼育する場合は手袋を準備することをお勧めします。
平均体長が3cm程度の、黒色の体に黄色の帯が入っている美しいヤドクガエルです。
ヤドクガエルの中で唯一、乾季に休眠するという特性を持っています。
繁殖法が確立されていること、他のヤドクガエルと比べると乾燥や高温にも比較的耐えること、そして物怖じしない性格の個体が多いことから初めての方にお勧めできるヤドクガエルの一種です。
キオビヤドクガエルは飼育下繁殖の個体が多く出回っているため、毒を持つ個体はほとんどいないとされていますが、万が一を避けるため素手で触れることは避けてください。
最大で6cm程度になるアイゾメヤドクガエルはヤドクガエルの中では大型種です。
四肢が青く、黒い胴体に黄色い線が入った個体や青を基調とした体に白い斑点が散っている個体が多く見られますが、生息地によって体の色は変わるためオレンジ色や黄色の個体もいます。
アイゾメヤドクガエルも繁殖法が確立されていることから手に入りやすく、初心者にお勧めできるヤドクカエルと言っても良いでしょう。
ただ性格は臆病な個体が多いため、すぐに物陰に隠れてしまうので鑑賞用にはあまり向いていないかもしれません。
力強い後ろ足をつかって高く飛ぶことができるので、脱走には気を付けてください。
繁殖個体は毒を持っていないと言われていますが、素手で触れることは避けるようにすることをお勧めします。
最小で1cm、最大でも6cm程度のヤドクガエルの餌は、孵化したばかりの コオロギ やショウジョウバエなどが挙げられます。
餌を与えると言っても、ヤドクガエルにピンセットなどで直接餌を与えるのではなく、「ビバリウムの中にそれらの餌を放ち、カエルが自分で餌を捕獲する」という手段を取ります。
飛び回るショウジョウバエをどのようにしてカエルが捕らえるのかという点ですが、今では羽がない種類のショウジョウバエが餌として売られているのでそれを購入して増やすことをお勧めします。
孵化したてのコオロギは値段が張りますので、こちらもコオロギを購入して繁殖させるという手を取ったほうがコストが良いです。
与える際にはカルシウムなどの栄養剤を振りかけると、ヤドクガエルの健康面も維持することができるので飼育の際には栄養剤も購入したほうが良いと思われます。
また、ビバリウムの環境が整うまでや安定した餌を供給できるようになるまでは2週間ほどかかります。
ヤドクガエルの飼育は計画的に行ってください。
様々な蛍光色を持ったヤドクガエルは私たちの目を楽しませてくれます。
個体によって模様が違うため、自分の好みの色を持ったヤドクガエルを選ぶことができるのが、ヤドクガエルを飼育する際の楽しみとも言えます。
自然の一角を切り取ったようなビバリウムの中で暮らす美しいカエルの姿は、どこか幻想的と言ってもいいほどに美しいです。
沢山の種類のヤドクガエルの中で、人を殺せるような猛毒を持っているヤドクガエルはたった3種類です。
そういったヤドクガエルは生体として出回っていることはありません。
また、飼育環境下で繁殖されたヤドクガエルは無毒になることが多いので、安心して育てることができます。
万が一のことを考えて、素手で触ることは避けてくださいね。
ヤドクガエルは案外デリケートなカエルです。
キオビヤドクガエルは多少の変化にも耐えてくれるヤドクガエルですが、その他の個体は30度を超える気温や25度以下を超える気温は命にかかわります。
ヒーターやクーラーなどで徹底した温度管理を行ってください。
基本的にはショウジョウバエや孵化したてのコオロギが増やしやすく、購入もしやすいです。
野生のヤドクガエルは小さなアリや節足動物を食べているので、餌がなくなってしまった場合の対策として野生の昆虫などをあげるという手もあります。
しかし。除草剤や殺虫剤など、ヤドクガエルにとって毒になってしまう薬品を体にため込んでいる場合もありますから、最終手段として考えたほうが良いでしょう。
ショウジョウバエとコオロギのほかにはシロアリや孵化したてのレッドローチ(ゴキブリ)なども食べてくれるようです。
シロアリとレッドローチは繁殖力も高く、全滅もしにくいのでこちらもお勧めの餌となります。
名前に「毒」という単語が入っているヤドクガエルですが、繁殖されたもの、そして野生の個体でもしっかりと注意しながら触れ合えば人間に害がある生き物ではありません。
初めてヤドクガエルを飼育する場合は、飼育下繁殖個体で毒を持っていないヤドクガエルを選ぶことをお勧めします(生体販売では必ずWC、CBなどと表記されているはずです)。
ヤドクガエルを購入した際には是非、ビバリウムを作成するという面も楽しんでみてください。
この記事がこれからヤドクガエルを飼育しようと考えている方、ヤドクガエルの知識を少しでも深めたい方の助けになれば幸いです。
最終更新日 : 2021/04/13
公開日 : 2017/11/13