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チャウチャウは中国原産の犬種です。
がっしりとした体格に、しかめっ面のように全体が中心に寄ったような顔が特徴的。
マズルが短く、平坦な顔つきです。
北海道犬のような北方ルーツの古代種に見られる青黒い舌を持っており、耳は立ち耳です。
中型犬または大型犬に分類される犬種で、体高は標準的な成犬のオスが48〜56cm、メスは46〜51cm。
体重は平均20〜27kgです。
北方派生の犬種らしい厚い毛に覆われており、ダブルコートの長毛またはスムースコートが多く見られます。
被毛の色はレッド、ブラック、ブルー、シナモンなど。
チャウチャウは穏和で物静かな性格。
警戒心が強く、飼い主家族以外や初めて会う犬に対しては心を開きにくいという特徴があります。
冷静で生真面目ながら、マイペースな一面も。
飼い主に対しても積極的に愛嬌を振りまく犬種ではありません。
チャウチャウは、古くから人間と関わってきた犬種です。
中国では2000年以上前から飼育されており、人間のパートナー、食肉用、毛皮用に飼育されてきました。
狼に比較的近いとされており、初期は猟犬として使われていた犬でした。
北欧系のスピッツと血縁があり、マスティフの血も混じっているとされています。
その後、猟犬や番犬、犬肉用、毛皮用と用途を分けて飼育されるようになります。
猟犬としては運動能力が高くないことから、太りやすく交配されていき、食肉用になっていったと言われています。
19世紀までは鎖国政策のために中国国内のみで飼育されていましたが、1880年頃イギリスのロンドン動物園で「中国の野生犬」として展示されることになりました。
時の女王ビクトリアが大層の犬好きで、この展示に彼女が関心を示したことで家庭犬としての改良が始まり。
1895年にイギリスで「チャウチャウクラブ」が設立され、1906年にはアメリカでもケンネルクラブに登録されました。
日本でも高度成長期のテレビコマーシャルの影響で流行の犬種となった過去があります。
ブームにより乱繁殖や幼齢期の売買の乱行が起こり、問題行動の多い系統が広がってしまいました。
現在では「飼いにくい犬」とされ、ペットショップで見ることも少なくなりました。
高度経済成長期にテレビの影響で人気が高まったものの、現在ではペットショップでほとんど見られなくなったチャウチャウ。
頑固な一面があるので、ある程度のしつけが行われた個体を購入するのがおすすめです。
乱繁殖や幼齢期に母犬から離して性格が不安定になることを避ける意味で、優良ブリーダーから直接譲り受けるのが良いでしょう。
チャウチャウの子犬の販売価格は平均20万円前後。
繁殖が難しい犬種であり、他犬種と比べて高い設定となっています。
国内にはチャウチャウ専門のブリーダーもおり、かなりこだわりを持って繁殖が行われています。
ここからは、実際にチャウチャウを飼いたいと考えている人に向けて、押さえておくべきポイントをご紹介します。
チャウチャウは中型犬ながら運動量は多くないため、マンションなどでも飼育が可能です。
ただし、関節が弱い犬種なので床材に注意を。
滑りやすいフローリングだとストレスになるうえ、関節を痛めてしまいます。
運動量をあまり必要としない犬です。
散歩は1日1〜2回、犬のペースに合わせて行いましょう。
激しい運動や猛スピードで駆け回るのは向いていません。
チャウチャウは大きさのわりに体重があります。
もともと食用犬として太りやすく改良された歴史もあるので、肥満には十分に注意してください。
特に成長期に肥満になってしまうと、関節に負担がかかり、股関節形成不全などの関節疾患を引き起こしやすくなります。
低脂肪・高タンパクの ドッグフード を与え、適量を知っておきましょう。
チャウチャウは飼い主には従順で忠実。
信頼関係があればしつけはさほど難しい犬ではありませんが、良好な信頼関係を築かないと指示を全く聞かなくなります。
もともと番犬として使われていた犬種らしく飼い主以外の人や動物には友好的でないことから、家庭犬として飼育するためにはしっかりと社会化させることが必要です。
子犬のときからいろいろな人や犬と触れ合うようにして、色々な場所にも慣らしておきましょう。
チャウチャウは子犬のときのしつけがかなり重要であり、この頃に飼い主をリーダーであると認識させる必要があります。
自身で訓練するのが難しい場合は、しつけ教室や出張トレーニングなどを利用するのも良いかもしれません。
チャウチャウの被毛は厚く、週に1〜3回のブラッシングが必要です。
暑い時期は被毛による炎症などが起こりやすいので、ブラッシングの際に健康チェックをするのが良いでしょう。
チャウチャウは特に気を付ける病気が多い犬種です。
日頃から健康チェックを行い、定期的な健康診断を受診しましょう。
目が小さいチャウチャウは眼病の発生が多い犬種です。
緑内障やまぶたの淵が目の中に入り込む瞼腱内反、まつ毛の生え方が不規則になることで傷つきやすくなるなど、日々の健康チェックでは目と目の周辺に注目する必要があります。
特に緑内障は放置すると失明する恐れもあります。
目に異常があるときは、速やかに医師の診断を受けるようにしてください。
被毛が厚いこと、免疫疾患や内分泌疾患により、皮膚の異常も起こりやすい犬種です。
アレルギー性皮膚炎、脂漏性皮膚炎、天疱瘡、苔癬化などによる脱毛など注意が必要となります。
また、原因不明の薄毛や脱毛症が発症することもあります。
チャウチャウは、胃がんなど消化器系のがんの発生率が他犬種より非常に多いです。
内臓のがんは発見しにくいとされていますので、食欲や便の様子など普段の健康チェックを徹底する必要があります。
がんは早期発見が何よりも重要。
適切な食事と定期的な健康チェック、獣医師の健康診断を心がけてください。
羊毛のような厚い毛に覆われているため、夏は熱中症に特に注意。
なるべく夏場は室内で過ごさせましょう。
グルーミングなどで被毛ケアをしてあげるのも有効です。
水分補給を欠かさず、温度管理を徹底する必要があります。
チャウチャウは特徴的な容貌のため、短頭種気道症候群、軟口蓋過長症、股関節形成不全にもなりやすいです。
生まれつきの疾患とも言えるため、事前に保険加入や動物病院資金をためておきましょう。
前述したように、チャウチャウは中国では食肉用として昔から繁殖されてきました。
中国の一部の地域では、犬は身体を温める効果があるとされており、今も犬を食べる人もいます。
実は、日本でも古くは犬を食べることがあったのはご存知でしょうか。
これがなくなったのは、675年に犬を含む「肉食禁止令」が出されてから。
それ以前はうさぎや鳥と同じく、犬食文化が一般的に見られました。
チャウチャウは国際畜犬連盟に登録されており、今でも食用として繁殖されています。
骨は漢方に、毛皮はコートなどの製品に利用されています。
世界的には賛否両論ある犬食文化。
日本を良く知らないヨーロッパなどの国々では、「日本人も犬を食べる」という誤解を持っている人も少なくありません。
チャウチャウを飼っている人なら、チャウチャウのグッズは抑えておきたいと思うはず。
シルエットが丸く毛のモフモフ感が可愛いチャウチャウグッズは、チャウチャウと暮らしていない人にとっても魅力的なもの。
ここでは、チャウチャウのグッズをいくつかご紹介します。
上品な皮にチャウチャウの表情が愛らしいパスケース。
チャウチャウ以外にも多くの犬種を取り扱っています。
犬を飼っている人に人気の犬種別カッティングシール。
丸いチャウチャウのシルエットが可愛いですね。
チャウチャウプリントのパーカー。
チャウチャウの困った顔が愛らしい、普段使いしやすいパーカーです。
チャウチャウの魅力は見た目だけでなく、その背景の人間との長い歴史にもあることがお分かりいただけたでしょうか。
チャウチャウは一緒にいるほど味の出る犬。
生涯パートナーとして愛してあげたいものです。
特徴的な体格をしているために、病気はとても多い犬種なので、飼育する前から医療費をためておいた方が良いでしょう。
また、ガードドッグ(番犬)としての気質があるため、家族以外の人には間違っても怪我をさせないように、しっかりとした社会化とトレーニングを実施することが必須です。
他の犬種と比較するとチャウチャウとの生活は手間も資金も必要ではありますが、その分とても愛情をかけられる犬種とも言えます。
あなたとチャウチャウの暮らしがよりより幸せなものになることを願っています。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2023/11/09
公開日 : 2017/02/16