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犬に与えても問題の出にくい野菜を列挙します。
ただし、犬は雑食に近いとはいえ肉食の動物なので、与える際はごく少量に留めてください。
このうちニンジンやジャガイモは大手メーカーのドッグフードにも使用されており、少量であれば毎日摂取しても問題ないと言えるでしょう。
トマトやキュウリは食べても問題ないですが、青いトマトや苦いきゅうりは毒性があり、吐き気や下痢が出ることがあります。
そのため、完熟したトマトをあげたり、ヘタや茎を与えないようにしてください。
きゅうりはまず人が食べてみて苦味が無いことを確認した上であげるようにしましょう。
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ジャガイモ、サツマイモ、カボチャは炭水化物が多く、犬も喜んで食べることが多いです。
しかし、炭水化物は人でも問題になっているように、犬も肥満の原因になってしまうことがあるため、与えるのは時々に留めましょう。
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キャベツや白菜、ゴボウなど、食物繊維が多く含まれているのが野菜の良いところですが、多すぎると下痢や軟便になってしまうことがあります。
少量であればほとんど問題ないですが、便の状態は常に観察しておくようにしてください。
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野菜が好きかどうかは犬の好みによって大きく変わります。
そのため、まずは犬が好んで食べるのかどうかを確かめましょう。
生野菜でも問題ないことが多いですが、あらかじめ火を通しておいた方が安全です。
また、与える時間は午前中がおすすめ。
万が一アレルギー症状が出た時のことを考えると、動物病院の開いている時間が安心だからです。
犬に野菜を与える時には味付けはせず、野菜そのものの味を楽しんでもらいましょう。
味付けをすると、どうしても犬にとっては塩分が多くなってしまうことが多いです。
塩分が多くなると人と同様に犬の血圧にも影響しますし、血圧が高いことは犬の腎臓や心臓の負担にもなります。
薄い味付けでも犬にとっては塩分過多になる可能性があることを考慮し、毎日与える場合は味は付けないようにしてください。
犬が野菜を気に入ってくれれば、添加物のないオヤツやご褒美として理想的なものになります。
愛犬とのコミュニケーションを取るのに最適なアイテムとなるでしょう。
その他にも、以下のように犬の身体に良い効果が期待できます。
野菜には食物繊維が多く含まれており、噛むという動作が犬の本能的な欲求を解消することに役立ちます。
不溶性の食物繊維は、水分に溶けずに存在するため便の硬さや水分保持に役立ちます。
大手メーカーの総合栄養食では、フスマが用いられていることが多いようです。
犬が満足するほどに野菜を大量にあげるわけにはいきませんが、噛んで食べて繊維も多いというのはオヤツとしては最適です。
減量中の犬であれば、市販の炭水化物が多いオヤツをあげるより、野菜をあげる方が健康的と言えます。
犬の腸内細菌バランスも、健康にとっては非常に大切だということが近年分かってきました。
腸内細菌は色々な種類のものがいる方が良く、何か数種類の細菌だけが多いというのは良くないようです。
可溶性繊維は腸内細菌の発育を良くすることが知られており、犬でも摂取することが大切です。
また、腸内細菌の種類を考える上ではいつも同じ食餌ではなく、少量で色々な種類のものを食べることがポイントとなります。
ドッグフードをコロコロと変えるのはカロリー計算や体質への配慮から難しいのですが、野菜をおやつとして与えるのは問題が出ないことが多いでしょう。
野菜の摂取によって腸内細菌の種類を増やしたり、善玉菌の発育に効果が期待できます。
野菜には多くのビタミン類が含まれています。
特に緑黄色野菜にはβカロテンやビタミンA、ビタミンB、ビタミンC、ビタミンEなどが豊富に含まれており、人と同様に犬にも健康への効果が期待できます。
ビタミン類の効果は多岐に渡り、有名な抗酸化作用から免疫調節作用、細胞の安定化、神経調節など体になくてはならないものばかりです。
水溶性ビタミンのビタミンBやビタミンCは多く摂り過ぎるということが基本的にないですし、脂溶性ビタミンであるビタミンAやビタミンEも過剰に入っているわけではないので、安心して愛犬にも野菜を食べてもらうことができます。
葉物野菜や夏の野菜であるトマトはキュウリには、水分が多く含まれています。
水分が多い=低カロリーということになるので、ダイエット中の愛犬にはぴったり。
体積当たりの含有カロリーは、小麦粉を使用したオヤツに比べると10分の1程度に抑えられます。
もちろん、新鮮なお水による水分補給がもっとも大切ですが、補助的な役割で野菜も活用することができます。
健康な犬であれば、野菜を食べても問題が出ることはほとんどありませんが、持病がある犬ではどうでしょうか。
ここでは、食べ物に注意が必要な病気について解説していきます。
腎不全を持っている犬に野菜をあげるのは注意が必要です。
あげてはいけない訳ではないのですが、どの程度の腎不全状態なのか、治療食を使っているのかが大切なポイントになります。
高齢期の犬では腎不全になることが多く、また腎不全の治療食を食べているケースも多いでしょう。
腎不全の治療食は腎臓に良い成分が沢山入っているという訳ではなく、腎臓に負担がかかる成分を抜いているというところに効果があります。
腎臓に負担がかかるけれど、体には必要な成分であるタンパク質やミネラルの量が絶妙に調整されているのが腎不全の治療食です。
そのため、治療食の他に野菜を食べてしまうと、そのバランスを崩してしまう可能性があります。
ただし、腎不全で食欲がなくなってきた、体重が落ちてきたという時に、野菜ならどうにか食べるというのであれば、野菜を許可する獣医師が多いと思います。
腎不全では体重を減らさないことが大前提になるため、ジャガイモやサツマイモ、カボチャなどのカロリーの多いものであれば、寿命を少しでも伸ばせるかもしれないという考え方もあるためです。
前述の通り腎不全の状態にもよるので、まずはかかりつけの獣医師に確認するようにしてください。
野菜をあげてほしくない持病のトップと言えるのが尿石症です。
尿路結石、膀胱結石、腎結石、ストルバイト結晶、シュウ酸カルシウム結晶などのキーワードを獣医師から指摘されている犬では野菜を与えるのは止めておきましょう。
なぜなら、野菜には少なからずカルシウムやマグネシウムなどのミネラルが含まれているためです。
ほうれん草にはシュウ酸カルシウム結晶の大敵であるシュウ酸がたくさん含まれているので、人よりも体の小さな犬には推奨しません。
特に尿路疾患に配慮した治療食を食べている犬に野菜をあげるのは止めておきましょう。
野菜はあげても大丈夫であることが多いです。
犬の膵炎には急性膵炎と慢性膵炎があり、原因は体質によるところが大きいとされています。
急性膵炎が重症なケースでは命に関わることも多く、入院治療が必要であったり、通院を長く続けることもあります。
膵炎の犬はタンパク質と脂肪が少しでも多くなると再発してしまう傾向があるので、食事管理がとても大切です。
しかし、膵炎の犬は食欲が無いので、飼い主さんが愛犬に食べてもらうために治療食以外のオヤツをあげてしまうケースも多いです。
そしてすぐに再発してしまうので、愛犬も飼い主様も辛い思いをしてしまいます。
そこで推奨できるのは、脂肪やタンパク質は低めでカロリー含有は多いジャガイモやサツマイモなどの野菜です。
ただ、消化器の状態には個体差があるので、あらかじめ担当医に確認した上で与えるようにしてください。
アレルギー体質によって皮膚病が出ていたり、軟便や下痢が出やすい犬であれば、野菜もアレルゲンになる可能性があります。
特に加水分解タンパクと呼ばれる特殊なタンパク質の治療食を食べているような犬では、せっかくの高価な治療食の効果が少しのオヤツで台無しになることも。
野菜はアレルゲンになる可能性が高い食材ではないですが、こればかりは食べてみないと分からないところではあります。
かかりつけの獣医師から重度のアレルギー体質があると言われたことがある犬であれば、野菜であっても安易に与えることは止めておいた方が良いでしょう。
そこまで重度なアレルギーではなく、軽度な症状で治療食も厳密ではない犬は野菜を食べても大丈夫な可能性が高いので、獣医師に確認後にごく少量から野菜を与えてみるようにしましょう。
血糖値をあげ過ぎてしまう可能性があることから、糖尿病の犬には炭水化物が多く含まれているジャガイモやカボチャ、ニンジンなどを与えるのは推奨しません。
逆に炭水化物の少ない葉物野菜は繊維が多いため、他の食材による血糖値の上昇を防ぐことができるでしょう。
重度な糖尿病で膵炎を併発している犬では、食欲がどうしても安定しないため、手作り食を実施している飼い主様もいます。
手作り食は栄養バランスを整えるのがとても大変なので、手作り食と糖尿病について専門的な知識を持つ獣医師のもとで治療をすることが必須です。
市販の治療食は全く食べてくれず痩せてしまうようなタイプであれば、手作り食と内分泌に強い動物病院を探して受診して頂くことをおすすめします。
人が食べても問題が無いのに、犬が食べると命に関わる野菜がいくつか存在します。
有名どころであるネギ類と、まだあまり認知度の高くないゆり根、そして腸に詰まりやすいトウモロコシの芯などです。
ネギ類を食べてしまった犬は、徐々に赤血球が壊されて貧血となり、輸血が必要となったり、重症の場合は多臓器不全となり死亡してしまうこともあります。
ネギへの感受性が犬によって異なるため、少量であれば大丈夫ということもないのが怖いところです。
目安として「体重1kgあたり20gのネギは致死量」という値はありますが、当てはまらない事例も多く、あくまで参考程度にしかなりません。
もし犬がネギ類を食べてしまった場合、以下のような変化が起こります。
輸血が出来る施設であれば命が助かる可能性は高くなりますが、多臓器不全ともなると何をしても助からないことがあります。
ネギそのものだけでなく、ネギの成分が入ったスープやドレッシング、お惣菜など全てが危険です。
誤食の原因になりそうなものは、必ず犬が食べないようにしまっておいてください。
※合わせて読みたい: 【獣医師が解説】犬がネギを食べたら危険!?犬にネギを与えてはいけない理由や中毒量について
和食に時々入っているゆり根ですが、犬には酷い中毒症状が出るのをご存知でしょうか。
ユリは根だけでなく花や葉、茎の全てが中毒物質なので、花瓶にユリをさして飾っていたものを食べてしまったり、花瓶の水を飲んでしまっても中毒症状が出ます。
主な症状は下痢や嘔吐ですが、神経症状に及ぶケースもあります。
通常の下痢や嘔吐と異なり、ほとんどの治療に反応が見られず、吐き気と下痢が止まりません。
治療は、支持療法といって点滴や電解質の補正がメインとなります。
トウモロコシは食べても問題ないのですが、食べ過ぎると消化不良による下痢になるため少量にしておきましょう。
トウモロコシの問題は、ツブツブの可食部分ではなく、固い芯の部分にあります。
芯は人が食べ残して置いてあることが多いせいか、犬が盗食するケースがあります。
トウモロコシの甘い匂いにつられて犬がトウモロコシの芯を食べてしまうと、芯は消化できずに腸に詰まってしまうことが多いです。
内視鏡で取り出せれば良いのですが、大きすぎて取り出せなかったり、十二指腸の奥まで進んでしまって内視鏡が届かないというケースも多く、開腹手術で取り出さなければならないという大変な事態にまで進みます。
トウモロコシの芯に中毒症状はないものの、消化管に詰まることが多いので食べさせないように注意してください。
犬がネギ類やゆり根などの野菜を食べてしまった時にまず大切なのは、すぐに体から出すことです。
そのためにはまず動物病院に連絡をして、受診が可能かどうかを確認しましょう。
受診が可能であれば、食べてしまった野菜の量を伝えるために、残っている野菜があれば持参します。
動物病院では問診を行い、吐かせる処置が可能かどうかを確認します。
吐かせる処置が可能であれば催吐処置が行われますが、ここで食べたものの大半を吐き戻してくれれば被害を最小限にできるでしょう。
もし食べてから時間が経ってしまっていて消化吸収されてしまった後だった時には、ビタミンの注射や点滴治療、吸収阻害の活性炭の投与が行われます。
そして、中毒症状が出てくるようであれば、対症療法や支持療法を実施することになります。
大切なのは、食べてからすぐに受診することです。
「2日前にゆり根を食べたのだけれど、下痢と吐き気が昨日から止まらない…」
このように飼い主様に言われても、獣医師としてできることがごく僅かになってしまっており、犬の体力や感受性にかけるほか無いということになります。
もし夜間でかかりつけ医が閉まっているときには、夜間救急病院を受診することが大切です。
翌日まで待って受診するということの無いようにしてください。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2023/12/21
公開日 : 2023/02/14