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猫はパンを食べることができます。
パンには猫にとっての中毒成分は入っていないので、パンを食べても問題ありません。
ただ、惣菜パンには猫にとって有毒となる玉ねぎ成分や香辛料が入っていることもあるので、安易に食べさせないようにしてください。
もともと猫がパン好きというケースもありますが、基本的にはパンそのものではなく、中に入っている生クリーム成分やお肉の成分、チーズ成分の方を好みます。
猫は完全に肉食の動物なので、パンの中の生クリームやバターなどの乳脂肪に惹き付けられます。
なお、猫は炭水化物や繊維質の消化吸収が得意ではありません。
猫は血糖値を下げるのも不得意な動物なので、血糖値を上げる糖分や炭水化物は体質に合っていないのです。
そのために、猫は甘味を感じないと言われています。
では、なぜ猫がパンを食べたがるのかと言えば、パンの中に入っているもの以外にも、人とのコミュニケーションとしてパンを欲しがっているという可能性があります。
猫が単独行動を好むとはいえ、全く他者との関わりを必要としない訳ではないのです。
人が食べているものは、猫にとっても美味しそうに見えているのかもしれません。
一緒に同じ食餌を取るというのは猫の仲間意識を刺激するため、同じものを食べて美味しいと感じたい猫がいてもおかしくありません。
シンプルに小麦粉と塩、バターでできているようなパンであば、猫に有害なものは入っていないので、少量であれば食べても大丈夫です。
しかし、持病がある猫はどうでしょうか。
ここでは、猫に多い持病である慢性腎臓病と尿路結石とパンの関係について解説していきます。
慢性腎不全と診断されていて、食餌療法中であれば、パンを食べさせるのはおすすめできません。
人用のパンは猫にとって塩分が多すぎます。
塩分は血圧を上昇させるので、猫の腎不全の悪化要因にもなりかねません。
体内の塩分を外に出すために腎臓が頑張らなくてはならないので、パンの塩分が腎臓に負担をかけることもあるでしょう。
慢性腎臓病用のフードは、腎不全の進行を遅くするために、タンパク質やカルシウム、リン、マグネシウムの配合バランスが絶妙に調節されています。
そこにパンが混ざってしまうと、せっかくのバランスが崩れてしまいます。
腎臓に負担がかからないバランスで作られている腎臓病用のフードの効果が、パンを食べることによって弱くなってしまうのです。
もし初期の腎不全であまり症状が無いのであれば、パンは与えずに治療食をメインにしてあげた方が寿命は延びるでしょう。
しかし、末期の腎不全で、食欲がかなり低下していて体重もどんどん減少してるのであれば、治療食以外に猫が食べたいと思うものをあげるケースもあります。
そのような場合は、かかりつけの獣医師に相談した上でパンもあげてみても良いでしょう。
尿路結石のある猫にはパンを与えないようにしてください。
食べ物によって尿中の成分に変化が出るので、治療食で石ができるのを予防している猫にパンを与えてはいけません。
なお、尿路結石に影響を与えるのは以下の成分です。
パンの中に多く含まれているものではありませんが、バランスが崩れると尿中に結晶ができてしまいます。
せっかく高価な尿路結石ケアのフードを食べているのであれば、猫にパンをあげるのは止めておきましょう。
特に持病のない健康な猫であれば、パンを食べても問題ありません。
ここでは、どのようなパンがおすすめなのか、反対に与えてはいけないパンはあるのかをご紹介します。
猫用に販売されているものであれば、人用に比べて塩分が少なく製造されているでしょう。
人用のパンは種類で塩分量に差があるのかといえば、食パンもロールパンもクロワッサンもベーグルも大差ありません。
フランスパンは少量ですが、他のパンよりも塩分は多いようです。
人用の塩バターパンなどあからさまに塩分と油分の多いパンでなければ、猫に少量を与えても大丈夫でしょう。
猫に与えてはいけないのはぶどうパンです。
猫や犬にとってぶどうが腎不全を起こすということが分かっていますが、特に干したぶどうであるレーズンにはその毒性が強いと言われています。
もし猫にぶどうパンを食べさせてしまったら、とにかく早く処置を開始することが大切です。
何も症状が出てないからと言って、家で様子を見るということはしないでください。
ぶどうの中毒成分がゆっくりと吸収されて、いざ症状が出る時には後戻りできない腎不全にまでなってしまう可能性があるためです。
猫が急性腎不全にならないように、ぶどうパンの誤食があった時にはすぐに動物病院を受診するようにしてください。
また、玉ねぎが入っている惣菜パンも食べさせてはいけません。
ソースの中に玉ねぎ成分が入っている可能性もあるので、サンドウィッチなど挟んである惣菜パンも危険です。
その他、チョコレートが入っているパンにも注意が必要です。
猫にとってはチョコレートが中毒物質になることがあり、体に悪影響が出ます。
▼猫のNG食材に関する記事
・ 【獣医師監修】猫に玉ねぎは危険!理由と食べてしまった際の対策
・ 【獣医師監修】猫がチョコレートを食べてはいけない理由と対処法まとめ!
猫はパンを食べても大丈夫です。
飼い主とのコミュニケーションとして、人が食べているものをほんの一口程度あげるのであれば問題が起きることは少ないです。
ただし、猫にとって有毒なぶどうパンや塩分の多すぎる塩バターパン、玉ねぎが入っている惣菜パンなどはあげてはいけません。
人に飼われている猫は、室内飼育によってあまり刺激のない生活を送っているので、人とのコミュニケーションは大切です。
そこに一欠片のパンがコミュニケーションツールとして活用されるのは悪いことではないでしょう。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2024/06/17
公開日 : 2023/02/05