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1. インコを信頼できるブリーダーやペットショップから迎える
4. メガバクテリア症(メガバクテリア感染症、AYG、マクロラブダス症)
インコはとても種類が多い鳥で、330種類ほどの仲間がいるといわれています。
体の大きさも様々で、全長1m近くになる大きなコンゴウインコから、全長が8~10cm程度しかないケラインコまで、種類によっては同じインコの仲間とは思えないほどの差があります。
インコの仲間は体の大きさの割には全体的に寿命が長く、長生きする傾向があります。
一般的にペットとして飼われているインコの仲間の平均的な寿命は
程度とされていますが、特にコンゴウインコの仲間は寿命が長く、50年以上生きることも少なくありません。
ちなみに、ペットとして人気の高い オカメインコ はインコという名前が付きますが、実際はオウムの仲間です。
オカメインコの寿命は15~25年ほどで、こちらも体の大きさの割には長生きする傾向にあります。
インコの寿命について考えていくにあたり、まずはインコと人間の年齢を比較してみましょう。
インコは種類によって寿命が異なるため、ここでは飼育数が多いセキセイインコを例に挙げます。
諸説ありますが、セキセイインコの年齢を人間の年齢に換算すると、おおよそ下記の通りになると言われています。
セキセイインコの年齢→人間の年齢
1歳→約20歳
2歳→約27歳
3歳→約33歳
4歳→約38歳
5歳→約44歳
6歳→約51歳
7歳→約58歳
8歳→約61歳
9歳→約72歳
10歳→約80歳
11歳→約87歳
12歳→約94歳
13歳→約100歳
セキセイインコは生後1年で人間でいうところの20歳になり、13歳で100歳を迎えます。
彼らの一生が人間と比較すると非常に短いこと、またあっという間に老いていくことを忘れないようにしたいものです。
かわいいインコの寿命を伸ばすために、私たちにはどのようなことができるのでしょうか。
この項目ではインコを長生きさせるために、私たちができることを1つずつ説明していきます。
1番大切なことは、インコを信頼できるブリーダーやペットショップから迎えることです。
インコは様々な細菌やウイルスを原因とする、感染症にかかることが知られています。
特にサーコウイルスを原因とする 「PBFD」 、ポリオーマウイルスを原因とする 「BFD」 、クラミジア(細菌)を原因とする 「オウム病」 、カビを原因とする 「メガバクテリア症」 などの感染症は非常に有名です。(詳細は後述します)
そして、これらの病気は親鳥からヒナへの感染、病気に感染している鳥の羽やフンなどからの感染が多いことでも知られています。
これらの感染症を防ぐためには
といった努力と工夫が必要になってきます。
※遺伝子検査を行えば、病気の原因となる細菌やウイルスを見つけ出すことが可能です。
良いブリーダーやペットショップであれば、必ずこれらの病気に関する知識を持っています。
インコが生活するスペースを衛生的に保っているのはもちろん、あらかじめ遺伝子検査を行っているか、あるいはお迎えの際の遺伝子検査を必須事項にしているはずです。
これらの病気について聞いた時に何も答えられない、検査を行っていない場所からのお迎えは避けた方が良いでしょう。
次に大切なのは、鳥類の診察ができる動物病院を探しておくことです。
なぜなら犬や猫の診察ができる獣医は多くても、鳥類に詳しい獣医は多くないからです。
可能であればインコをお迎えしたブリーダー、ペットショップに動物病院の情報を聞いておきましょう。
情報を聞けなかった場合はインターネットやSNSの情報を活用すると良いでしょう。
インコをお迎えする前に、1つ知っておいて欲しいことがあります。
それはインコだけではなくどんな動物でも、本能的に体調不良やケガを隠そうとするということです。
特に鳥類は表情がわかりづらく、死ぬ直前まで普段通りに見えることも少なくありません。
いざという時に慌てないように、そして後悔しないようにあらかじめ動物病院を探しておくことを強くおすすめします。
先ほども説明しましたが、動物は本能的に体調不良やケガを隠そうとする傾向があります。
特にインコを始めとした鳥類は気づいた時には手遅れだった、いつの間にか死んでしまっていた…ということが少なくありません。
それでは、インコの体調の変化にいち早く気付くためにはどうすれば良いのでしょうか。
ここでは分かりやすく取り組みやすい方法として、こまめに体重を量ることをおすすめします。
なぜなら、こまめに体重を量り記録しておくことによって、以下のような様々なことがわかるからです。
急激に体重が減ったり、あるいは増えたりした時は、体重が変化する要因があったか考えてみましょう。
もし心当たりがなければ病気を疑い、動物病院に連れて行ってあげてください。
インコの心と体を健康に保つためには、適度な運動が必要です。
できる限り部屋の中で放し、放鳥させてあげる(自由に運動させること)と良いでしょう。
放鳥することによって運動不足の解消になるのはもちろん、ストレスを発散させることもできます。
放鳥する時間に明確な基準はないため、インコの様子を見ながら時間を調整してあげてください。
そうとはいえ、放鳥は時にインコの命を脅かす可能性があることを覚えておいてください。
インコを放鳥する際はロスト(逃がすこと)しないよう、必ず窓や扉を閉めてから室内に出しましょう。
なぜなら、自由に空を飛べるインコをロストしてしまうと見つけること自体が難しいのはもちろん、人間に飼われていたインコはほとんどの場合屋外でエサを探すことができず、弱って死んでしまう可能性が高いからです。
また、人間には無害でも、インコにとっては危険な物も少なくありません。
誤飲の危険がある小さい物、中毒を引き起こす可能性がある金属や観葉植物などは、放鳥する前に片付けておきましょう。
その他、テフロン加工のフライパンを空焚きした傍にインコがいると急死してしまうこともあるので要注意です。
これはテフロン加工されたオーブンの余熱や、フッ素加工されたホットプレートの加熱でも同じ事故が起こり得ます。
加熱によってフッ素ガスや油の気化などの有毒ガスが出て、それによって小鳥が急性中毒を起こして死んでしまうことがあるのです。
このように人体に大きな影響が出なくても小鳥の命を奪うことはあるため、十分に気を付けてください。
人間と同じく、インコにとってもストレスは万病の元です。
ストレスが溜まりすぎると免疫力が落ちてしまい、様々な病気を引き起こしてしまう可能性があります。
まずインコのケージは明るすぎず、うるさすぎず、振動が少ない安定した場所に置きましょう。
そして適度に放鳥をする習慣を作り、ストレスを発散できる時間を作ってください。
また、インコはとても頭の良い生き物であることから、暇な時間が長いとストレスを感じてしまいます。
ケージにおもちゃを取り付ける、複数飼育にするなど、インコが暇になりすぎないような環境を作ってあげてください。
ただし、おもちゃや同居の鳥に対して、求愛行動を始めたのであれば問題です。
発情が強く、多くなるとインコは様々な病気になり、短命になるためです。
インコの寿命や寿命を伸ばすためにできることを知った後は、インコに多い病気やケガを見ていきましょう。
それぞれの病気の症状や原因を知っておくことで、病気の早期発見・治療に役立てば幸いです。
ぴのこと私に、いいねや励ましのお言葉をたくさんたくさんありがとうございます。
— ぴのぴのこ (@1115Pinoko) October 27, 2020
今日は昨日より元気で、体重も少し増えましたし、よく食べてますし、点滴の時の「助けて〜!」の声も力強かったです。
ぴのこちゃん、今日もおりこうさん。 #PBFD pic.twitter.com/WS5GbqF4Z6
PBFDはサーコウイルスを原因とする、治療方法が確立されていない鳥類にとって致命的な病気です。
3歳以下のインコやオウムで発症しやすく、特にセキセイインコは感染しやすいと言われています。
PBFDの症状としては
といったものが見られ、時には突然死してしまうこともあります。
今のところ根本的な治療法はないものの、インターフェロンの投薬や注射、免疫を上げるサプリメントなどを使用することで回復したという事例も多いようです。
早期発見・早期治療ができるように、日頃から羽やくちばしの様子をよく観察しておくと良いでしょう。
インコ、オウムのBFDを知っていますか?? https://t.co/Xqrlei4hYO pic.twitter.com/qUrgwG1YWK
— いなば動物病院 (@inabadoubutsu) June 11, 2018
BFDはポリオーマウイルスを原因とする、若いインコに感染・発症しやすい病気です。
BFDの症状としては
といったものが見られ、症状は現れなくても実はウイルスに感染していることが多い病気としても知られています。
この病気を早期発見するためには、遺伝子検査が有効です。
根本的な治療方法はまだ確立されていないものの、PBFDと同じくインターフェロンの投薬や注射などで快方に向かったという事例は少なくないようです。
海外ではワクチンが開発・使用されているようですが、残念ながら現状国内におけるワクチンの入手は難しいです。
鳥から人に感染する「オウム病」にかかった妊婦2人が死亡していたことが、厚生労働省への取材でわかりました。鳥類のフンを吸い込むほか、エサを口移しで与えることで感染。オウム病による妊婦の死亡が明らかになるのは国内初といいます。 https://t.co/pDaskNg9Fz
— 朝日新聞東京編集局コブク郎 (@asahi_tokyo) April 11, 2017
オウム病はクラミジア(細菌)を原因とする、 「人獣共通感染症」 (ズーノーシス)です。
「オウム」という名前が付いていますが、インコやオウム、ハトなどのあらゆる鳥類に感染します。
※ズーノーシス:ヒトとヒト以外のあらゆる脊椎動物がかかる感染症のこと
オウム病の症状としては
といったものが見られ、人に感染・発症した場合はインフルエンザのような症状(高熱やせきなど)が現れ、重症化すると死亡することもあります。
オウム病はクラミジアが付着した羽根やホコリを吸い込む、口移しで餌を与えるなど鳥類と濃厚な接触をすることによって感染するといわれています。
インコと人間がともにオウム病に感染することを防ぐためにも
上記を心掛け、オウム病が疑われる時は直ちにインコも人間も病院で診察を受けるようにしてください。
メガバクテリア症🐥
— にわくま@獣医師 (@doubutsu_garden) November 2, 2019
セキセイインコに多くみられる感染症で「大きな細菌」と言いつつ実は真菌(カビ)👻
主に親鳥が雛へ口移しをする時に胃に感染。
嘔吐や下痢、血便、羽を膨らませるなどの症状もみられ、亡くなることもある。
幼鳥や免疫が下がっている場合は要注意⚠️
定期的な便検査がおすすめ👍 pic.twitter.com/6HhuO8cTSD
メガバクテリア症は、マクロラブダスと呼ばれるカビを原因とする、あらゆる症状を引き起こす病気です。
メガバクテリア症の症状としては
といったものが見られ、急性型の場合は発症から数日内に亡くなってしまうこともあります。
実はメガバクテリア症の原因となるマクロラブダスは、ほとんどの鳥類の体内にいると言われています。
そして、マクロラブダスが症状を引き起こすかどうかは、鳥の免疫や体力に左右されます。
そのため、マクロラブダスを持っていても生涯何の症状も出ないことがあれば、急激に症状が現れてしまうことも、長期に渡って症状が出続けてしまうこともあります。
メガバクテリア症は非常に症例が多いものの、症状も治療の経過も個体差が大きい病気です。
しかし、抗真菌剤での治療が有効であることから、早期発見・早期治療ができれば予後が良好なことが多いです。
インコにメガバクテリア症が疑われる症状が現れた際は、なるべく早く動物病院に連れて行ってあげてください。
本記事ではインコの寿命や、寿命を伸ばすためのコツを解説しました。
インコと1日でも長く過ごすために大切なことは、日頃からインコの様子をよく観察することです。
犬や猫に比べると表情がわかりづらいインコですが、毎日一緒に生活していくうちにちょっとした異変にも気付けるようになることでしょう。
ペットバードの研究は年々進んでいて、医療やエサの質が向上し寿命も伸びていると言われています。
しかし、セキセイインコやコザクラインコなどの一般的なインコの寿命は長くても10年ほどで、私たち人間と比べてしまうとどうしてもその一生は短いと言わざるを得ません。
そんなインコたちが生涯幸せに暮らせるように、ぜひ飼い主としてできる限りのことをしてあげてください。
監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)
日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。
ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。
その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。
今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。
最終更新日 : 2022/11/02
公開日 : 2020/11/11