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【獣医師が解説】猫の粗相におむつは使っても良い?粗相の原因、おむつの選び方、脱げない工夫などを解説






猫におむつを履かせるかどうかを悩むことが多いのは、高齢期の介護が必要なケースでしょう。
その場合は病気によってオシッコの量が非常に多くなっていたり、トイレまでオシッコに行く体力がない、あるいはトイレの場所が分からない認知症のような状態が多いです。

それ以外にも、若い猫でトイレの粗相が多い時には、おむつを付けて貰うべきか悩むこともあるでしょう。
若い猫の場合は、おむつよりも粗相の原因を減らすことが大切かもしれません。

本記事では、猫の粗相の原因と、おむつの必要性や注意点について詳しく解説していきます。

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【目次】【獣医師が解説】猫の粗相におむつは使っても良い?粗相の原因、おむつの選び方、脱げない工夫などを解説

 

猫の粗相の原因 

猫の粗相の原因が病気のケース

猫の粗相の原因になる病気

猫が粗相をする病気以外の原因

猫の介護にはおむつの着用がおすすめ

猫のおむつの選び方と着用方法

赤ちゃん用のおむつは猫に使える?

猫のおむつが脱げやすい時は

サイズ

カバー

猫におむつはストレス?

猫におむつを着ける時の注意点

かぶれ

床ずれ

膀胱炎

おむつの誤食

 

 

猫の粗相の原因 

 

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猫は本来、トイレの失敗が少ない動物なので、粗相をするのには何かしらの原因があるはずです。

猫におむつを付ける前に、粗相の原因が何であるのかをしっかりと把握しなければなりません。

 

トイレの失敗が若い猫であれば、トイレ以外の場所で排泄するのは本人の意思で行っていることが多いでしょう。

高齢の猫であれば、認知症のようにトイレの位置が分からなくなっていたり、介護が必要な状態でトイレに行けないこともあります。

 

年齢に関係なく、膀胱炎や尿量が増える病気、極度の便秘や下痢が原因でトイレに間に合わなかったり、変な場所で出てしまうこともあるので、排泄行動に変化がないのかを確認するのが大切です。

 

猫の粗相の原因が病気のケース

 

  • トイレで排泄する行動があるのに出ていない
  • お水を飲む量が増えている
  • 何度もトイレに行く
  • 一回の排泄量がとても少ない
  • 一回の排泄量がとても多い
  • 持病がある

 

上記のような場合、トイレの失敗は本人の意思ではなく、病気でトイレの失敗をしてしまっている可能性があるので、排泄行動の変化にはすぐに気付けるようにしましょう。

特に、何度もトイレに行くという行動は、出したくても出せないという可能性があるため、本人はとても辛い思いをしています。

 

原因が病気の時には、オムツを使う前にまずは病気の治療を行うことが大切です。

おむつを使わなくても、病気の治療を行うことで、トイレの失敗が無くなる可能性が高いと考えられます。

 

病気によって体調が悪くてトイレを失敗してしまったのに、人に怒られるようなことがあると猫にとっては大ダメージです。

猫からの信頼を失うことにもなるので、猫がトイレの失敗をした時には怒らず、失敗した原因を考えるようにしましょう。

 

猫の粗相の原因になる病気

 

  • 膀胱炎
  • 腎不全
  • 肝炎
  • 極度の便秘
  • 下痢
  • 認知機能の低下

 

病気ではないのに、猫がトイレ以外の色々な場所で排泄してしまう場合、それは本人の意思によるところが大きいでしょう。

つまり、トイレで排泄をしたくないか、トイレ以外で排泄することによって何かを訴えているという状況です。

 

猫が粗相をする病気以外の原因

 

  • ストレス
  • 構って欲しい
  • トイレが気に入らない
  • 縄張りを主張
  • 多頭飼育

 

猫の粗相はストレスが原因になっていることが多いのですが、何がストレスなのかが分からないこともあり、また分かったとしても解決しないこともあるため困ってしまいます。

 

ストレスが原因の場合は、猫におむつを履かせるとストレスを増やすことになることから問題の解決にならないことが多く、粗相以外にも抜毛などの自傷行為が出てしまうことがあります。

そのため、安易におむつを着用して解決という訳にはいきません。

 

おむつを付ける前に、トイレを1つ増やしてみたり、猫砂を細かいものに変えてみたり、トイレのサイズを大きくするのも良いでしょう。

さらには愛猫と遊ぶ時間を増やす、一人で遊べる知育トイを使用する、食餌回数を増やすのも効果的なケースがあります。

 

多頭飼育が原因になっている場合、根本の原因を解決することが難しいので、ストレス軽減サプリメントなどをかかりつけ医に相談してみてください。

 

 

猫の介護にはおむつの着用がおすすめ

 

 

猫に最もおむつが必要となるのは、高齢期の介護や、病気の最後のステージで体力が低下している状態でしょう。

この場合は本人もトイレに行きたい気持ちはあるものの、身体の不自由があるためにどうしてもトイレまで行けないことが多いので、おむつを履かせてあげる必要があります。

 

猫にも寝たきりの介護状態になるケースがあり、オムツを着けなければ排泄物が身体に付いたままになってしまうことがあります。

排泄物が身体に付いてしまう時間が長くなると、酷い皮膚炎が起こってしまうので、痒みや痛みが出て生活の質が著しく低下してしまうことでしょう。

 

そのために介護が必要な猫はおむつを着用することが多く、皮膚炎が起きる前におむつを着けることをおすすめしています。

 

もちろん、適切なおむつの着け方をしていなければ逆に不衛生になってしまうこともあり、オムツかぶれや床ずれなどが酷くなることも。

おむつを交換する回数は排泄する回数と同じだけ、つまり排泄が確認できたらすぐに交換してあげましょう。

 

 

猫のおむつの選び方と着用方法

 

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初めて猫におむつを履かせる時に、サイズ選びで迷うことも多いと思いますが、ポイントはウエストの大きさです。

愛猫のウエストの大きさが何センチなのかを測ってからおむつを買うようにしましょう。

体重もおむつに記載されていることが多いので、参考にしてください。

 

だいたい最初に購入したものはサイズが合わなかったり、思っていたように排泄物をキャッチできないことがあるので、少量の購入から試すようにしてください。

 

猫におむつを履かせるには、本人が嫌がって外そうとしないことが前提です。

つまり、健康で嫌なことが嫌と訴えられる状態の猫に、おむつを付けるのは不可能に近いと言えます。

 

自力でトイレに行けない状態になってしまった猫におむつを着けることは多いのですが、高齢期の猫であれば関節が痛いことが多いので、無理な関節の曲げ伸ばしなどを行わずに自然な体勢で着けるようにしましょう。

 

また、仰向けにしておむつを着けるのはおすすめできません。

猫はお腹を晒して触られるのは快感に感じるため、その体勢でおむつを付けられると強いストレスになってしまいます。

 

本人が楽な姿勢のままで、体の下からおむつを入れて、きつすぎないように調節しておむつをつけましょう。

締め付ける部分であるウエストと内股がおむつで擦れる部分なので、そこに指を入れてきつさが無いように。

猫専用のおむつであれば、メーカーが履かせ方の動画を公開しているので参考になります。

 

 

赤ちゃん用のおむつは猫に使える?

 

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人の赤ちゃん用のおむつを猫に代用されている方もいますが、初めておむつを付けるのであれば猫専用のものがおすすめです。

猫専用のおむつで、おむつの構造や漏れなどのタイミング、締め付け具合を把握しておけば、人の赤ちゃん用のものを使ってみても良いでしょう。

 

大きな違いはシッポの穴があるかどうかなので、人の赤ちゃん用のおむつを猫に使用する場合は、飼い主さんがシッポの通る穴を開ける必要があります。

このシッポの穴はおむつのズレ防止にとても大切なものなので、愛猫のシッポの位置とぴったりにして穴があけられると、ズレるリスクを減らすことが出来ます。

 

シッポ用の穴を大きく開けすぎてしまうと、排泄物がその穴から出てきてしまって大変なので注意してください。

 

 

猫のおむつが脱げやすい時は

 

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もし猫のおむつが脱げてしまう場合、以下のような工夫が有効的なことが多いです。

 

サイズ

 

大き過ぎるとズレて脱げてしまうことが多いので、ウエストサイズをしっかりと計測してみましょう。

身体の構造や関節の付き方などが違うので、脱げやすい猫であれば人用ではなく猫用おむつに変更するのもおすすめです。

 

 

サイズが合っていても、毛質や腹部の脂肪の付き方によってはどうしてもおむつが脱げてしまうことがあるので、術後服を着せている飼い主さんもいます。

普通の猫用のお洋服ではなく、術後服は猫の身体に負担を掛けずにフィットするようになっているため、おむつが脱げるリスクは減少します。

 

カバー

 

猫専用のおむつカバーをオーダーメイドで作ってくれるサイト があります。

肥満傾向や足の短さなど、猫の体型によっては何をやってもおむつが脱げてしまうことがあるのですが、オーダーメイドで体型に合ったおむつカバーを着けることによって、ズレや脱げを防止することができるのです。

 

 

猫におむつはストレス?

 

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猫にとっておむつを着用するのはストレスになります。

猫はもともと身体に何かが付着するのを嫌がる動物なので、グルーミングをして自分の被毛を清潔にしていますし、グルーミング自体が猫の精神を安定させるのに役立っています。

 

おむつは猫の毛づくろいであるグルーミングを邪魔する存在なので、健康な猫であればおむつを必死に外そうとするでしょう。

犬と比較しても、猫が洋服を着用することが少ないのはこのためです。

 

介護が必要になっている猫は、全身のグルーミングもできない状況であることが多く、おむつを付けても酷く嫌がったりはしないことが多いです。

高齢の猫や病気の末期的なステージの猫であれば、排泄での汚れの方がおむつを着けるストレスよりも上回るので、おむつを着けることが推奨されるのです。

 

 

猫におむつを着ける時の注意点

 

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猫の粗相の対策が、おむつ以外に無い時におむつを使うというのが大原則です。

未去勢のオス猫は粗相ではなく、本能として色々な場所に吹き付けるようなオシッコをしますが、このマーキング行動は当然のことなので、おむつで解決するようなものではありません。

 

猫におむつを着けなくてははならない状況では、以下のようなトラブルが起きることがあるので注意してください。

 

かぶれ

 

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おむつかぶれは猫でも発生し、酷い皮膚炎になることがあることから予防が大切です。

 

最も重要なのは、排泄が確認できたらすぐにおむつを替えること。

下痢などがあるとよりかぶれてしまうので、下痢の治療はしっかりと行うことです。

 

また、汚れてしまったら必ず洗浄することです。

おむつをしていても排泄物で全く汚れないということはなく、どうしても漏れてしまったり、皮膚にまで排泄物が付いてしまうことがあります。

それを拭き取るだけで綺麗にしようとすると、あまりきれいにならないこと多く、擦ることで皮膚炎がひどくなってしまうことがあります。

 

汚れを落とすのに推奨されるのは水による洗浄で、ぬるま湯をペットボトルや調味料ボトルに入れて少しずつかけて汚れた部分を洗浄していきましょう。

全身を洗うことになると体力のない猫は体調を崩してしまうので、おむつによって部分的な汚れに限定できれば、お尻を洗浄するだけで清潔に保つことができます。

 

洗浄する時はお尻の下にペットシーツを敷いて、濡れる部分が最小限になるようにしてください。

 

床ずれ

 

猫_シニア猫_床ずれ

 

高齢の寝たきりの猫では、おむつの下に隠れてしまう腰骨のあたりが床ずれになってしまうことがあり、これは一度なってしまうとなかなか直すことができずに辛い思いをします。

おむつで隠れてしまうので、気付きにくいというのが一つの原因でしょう。

さらにはおむつによって血流が悪くなっているとさらに悪化してしまいますので、おむつがきつくなりすぎないようにすることも大切です。

 

床ずれにならないようにするには、低反発のクッションを使用したり、理想的には2〜3時間に一度の体位変換をすることが必要です。

おむつで隠れている部分も、できれば毎日優しくマッサージやブラッシングなどして血流を良くしてあげると良いでしょう。

 

マッサージやブラッシングによって、皮膚の変化にも早く気付くことができます。

 

膀胱炎

 

おむつを着けることによって細菌感染しやすくなったり、ストレスによって膀胱炎になってしまう猫がいます。

おむつのせいで猫の排尿回数が増えているのかどうかもわからない時が多いので、膀胱炎の発見が遅くなり、細菌感染が腎臓にまで波及してしまうこともあります。

 

腎臓に細菌感染が及んでしまうと腎盂腎炎になることがあり、急性腎不全状態のために猫の命を脅かすこともあるので注意が必要です。

特に高齢猫は免疫力も低下しているため、おむつをしていると細菌性の膀胱炎になりやすくなってしまいます。

オシッコの色やにおいが何かいつもと違うと感じたら、すぐに動物病院を受診するようにしましょう。

 

おむつの誤食

 

猫がおむつを嫌がって食いちぎり、破片を食べてしまうことがあります。

 

体力のある猫におむつを着けるのは難しく、誤食のリスクも高くなってしまうため、まずはおむつ以外の対策であるトイレの変更や遊び時間の増加、ストレス軽減サプリメントなどから始めるようにしましょう。

 

 

猫におむつを着けなくてはならない状況というのは、猫にとっても人にとっても大変なケースが多いでしょう。

高齢化や病気の最後のステージで猫が寝たきりになってしまうと、おむつを使用することで得られるメリットの方が多くなります。

 

ただ、おむつをしていると皮膚炎や細菌性の膀胱炎、おむつの誤食が起きる可能性があるので、注意しながら使用するようにしてください。

 

 

執筆・監修:獣医師 山口 明日香(やまぐち あすか)

 

日本獣医生命科学大学獣医学部獣医学科卒後、2つの動物病院に勤務し、現在も臨床獣医師として働く。

ワークライフバランスを整えるため、在宅でのLINEおよび電話による健康相談、しつけ相談も開始。

その過程で、病気のみならず各種トレーニングと問題行動の大変さ、大切さを知る。

 

今後は学校飼育動物学で学んだ動物飼育と、子供の情緒の発達についても発信し、獣医動物行動研究会において問題行動の知識を深め、捨てられる動物が減るように正しい情報を伝えるべく模索中。


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